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映画のコトやら何やら綴りませう
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インディ・ジョーンズ女性版でおなじみ、シリーズ第2弾の登場です。

「トゥームレイダー2」(2003)
LARA CROFT TOMB RAIDER: THE CRADLE OF LIFE

前作「トゥームレイダー」(2001)がアクションは派手だけど内容の無さに3日後にはストーリーを忘れてしまったような作品でしたので今作も期待せずに見ましたが、残念ながら第2作目もアクションは派手だけど内容の無さに3日後にはストーリーを忘れてしまいそうな出来でした。
昨今のアクション映画ってやたらと派手になってるもので、そんじょそこらの派手さだけでは見る方もすっかり慣れちゃってるんですよね。むしろどれもこれも似たり寄ったりに見えるんで、ドラマ的な面白さや捻りのきいた展開でもないと記憶に残らないのですよ。

監督は「見た目は派手だけど内容薄い」でお馴染み、レニー・ハーリンやローランド・エメリヒと共に三羽烏の一角でありますヤン・デ・ボン。まぁこの人の監督作で感心したのは「スピード」(1994)のオープニングのエレベーターでのサスペンスシーンくらいですが、この「トゥームレイダー2」も他の監督作に劣らぬ凡庸な出来かと。ただ派手は派手なんで、少なくとも退屈はしないかも。その点で同監督の「ホーンティング」(1999)よりはマシですかね。
でもドラマ的な見せ場はほぼ無し。ここら辺が記憶に残りにくい映画になってしまっている理由なわけですが。シリーズ前作がどうにも子供っぽい内容だったので路線変更なのか主人公ララ・クロフトの恋愛模様なんぞも盛り込んではいるものの、自意識過剰女と自意識過剰男の恋物語はただただ見苦しいだけで、ヤン・デ・ボン監督って「スピード2」(1997)でも気持ち悪かったけど恋愛物がとことん不得意なのだなぁと思わされます。

ララ・クロフトのキャラも前作に比べてずいぶん変わったような気がしますが、それも悪い方向に変わったような。自意識過剰は前作からですが、やたら傲慢に振る舞い周りに当たり散らす姿にもはや可愛げも無く、適当なドラマ展開のおかげでただの行き当たりばったりのバカ女に見えます。ついでに言えば前作の最大の魅力はララを演じるアンジェリーナ・ジョリー自身の魅力に負うところが大きかったわけですが、そのアンジェリーナ・ジョリーの魅力も本作ではすでに色褪せてしまって残念無念。鍛えられた肉体は確かに美しいし、ウェットスーツに乳首浮かせたりして頑張ってはいたんですけどね。
女王陛下からの依頼で世界を救うという設定もなんだかなぁ。007じゃないんだから、「トゥームレイダー」としての魅力を自ら放棄しているみたいな。パンドラの箱を巡る戦いも「失われた聖櫃(アーク)」に比べるとかなり格下感が強く、伝説の遺物もネタギレですかと言いたくなったり(笑)。
前作でララのユニークな仲間を演じたクリス・バリーとノア・テイラーも今作では顔見せ程度で、まったくそのキャラが生かされていなかったのも残念ですが、まぁその他の問題に比べれば些細なことでしょう。

とまぁあれこれ苦言を書き連ねましたが(まだ言い足りない気もしますが(笑))、それでも最初に書きました通りただただ派手なアクションを見たいという時には悪くない作品だとは思います。最近の大味なアクション大作はどれを見ても似たり寄ったりですが、とりあえず2時間暇つぶしをしたい時のためにこういう映画があっても良いということで。

放送記録:2006年03月12日PM9:00~10:55ABCTV「日曜洋画劇場」

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昨夜はココログが重くてログインすることも出来ず、更新出来ませんでしたよ。時々あるんだなぁ。

「ノイズ」(1999)
THE ASTRONAUT'S WIFE

えーと・・・宇宙から帰ってきた宇宙飛行士が宇宙人に取り憑かれていた、というお話ですね。
なんとも散々過去に作られたようなネタです。宇宙飛行士がモンスター化するというパターンも数多く作られましたが、まんま宇宙人に乗っ取られた旦那を嫁さんが疑うという映画も昔ありましたね。タイトル忘れましたが。身近な人が宇宙人にいつの間にかすり替わっているという恐怖を描いたSF映画も色々ありますし、本当に目新しさが無いですよ、ええ。
で、こういう使い古されたネタを何の捻りもなく再利用した本作ですが、こういう典型的B級SFホラーにジョニー・デップやシャーリーズ・セロンといったスターが出演してA級ぽく見せるのは最近多いパターンですか。しかしお話のショボさまではカバーし切れなかった感じです。むしろ無名の俳優でこぢんまりと作った方が怖い作品に仕上がったのではないかと、まぁ少しだけ残念に思います。

ところで本作は「ローズマリーの赤ちゃん」(1968)のSF版なんてことも言われていますが、なるほどシャーリーズ・セロンの髪型も含めてインスパイアーされているのを感じますね。でも、その「ローズマリーの赤ちゃん」も含めてヒロインが邪悪な存在を身ごもるというパターンも多々あり、また本作ではその設定がまるで上手く使われていないのも脚本の未熟さを感じます。
最後のクラゲか宇宙怪獣ドゴラのようなデザインの宇宙人も含めて、とにかく新味のない安い作品でありました。

放送記録:2006年03月09日PM9:00~10:55TV大阪「木曜洋画劇場」

さあ、次回の「木曜洋画劇場」はプレイメイトとショボいアクションが満載、かの何を撮っても同じ映画に見える大ボケ監督アンディ・シリダスのC調エロ・アクションの登場ですよ、みなさん!
「スパイ・エンジェル グラマー美女軍団」(1990)
シリダス監督のバカ映画って昔はちょくちょくローカル局で放送していたものですが、本当に久しぶり。しかもゴールデンタイムでの放送とは流石TV東京さん、流石「木曜洋画劇場」さん。バカ映画好きは刮目して待て(笑)。

あ~、「コマンドー」やってるなぁ~。
てな感じで何となくTVを付けっぱなしにしてながら見をしてしまう映画NO.1。

「コマンドー」(1985)
COMMANDO

元コマンド部隊隊長のメイトリックスは某国のクーデターを企てる組織に娘をさらわれ、暗殺を命じられる。メイトリックスは単身組織の秘密基地に乗り込んで娘を助け出す決意をするのだった。

はっきり言ってドラマは有って無きがごとし。暗殺のために旅客機に乗らされ、さてどう暗殺任務を誤魔化して舞い戻ってくるのか。始めて観た時はそこらへんの展開をどう見せてくれるのか興味津々だったりしたわけですが、メイトリックスは飛行機が離陸する前に早くもお目付役を瞬殺し、滑走路から飛び立った飛行機から飛び降りてあっさりと帰還。このスカし具合が最高。
その後はただただアクションのつるべ打ちで、まぁそれだけで楽しい映画ですよ。
ラストの戦いで敵役が感電して終わりかと思ったら何事もなかったように殴りかかってくる爆笑シーンとか大好きです。シュワルツェネッガー主演作の中ではわりとB級っぽい本作ではありますが、でも実はシュワ映画の中では一番好きだし(ドラマが無い分)破綻の少ない作品だと思います。
まぁもう繰り返し繰り返し観た映画ですが、それでもまた放送されることがあればながら見してしまうでしょう。本作はそういう退屈させない作品であります。

ところでメイトリックスの娘役のアリッサ・ミラノ、本当に可愛かったですね~。当時まだ13歳だったそうで。その後もいろいろと出演作がありますが、ほとんど見ていないか見ていても記憶に残らない作品ばかりですねぇ。成長してやたらとエロくて安い作品ばかりに出ているのはドリュー・バリモア同様、子役時代にブレイクしてしまってその後売れない女優さんの一つのパターンでしょうか。ドリューみたいにトップスターに返り咲くなんてのは珍しい例ですけどね。
とか思ってたら、アリッサさん今はTVドラマの方で頑張っているのですね。
「チャームド~魔女3姉妹~」、1998年にスタートして現在も放送中という長寿人気ドラマに三女役で出演中。日本ではNHK-BSで放送していたりしますが、ウチではBSが見られないのでどんなのか気になりますな。

放送記録:2006年03月05日PM9:30~11:25ABCTV「日曜洋画劇場」

ニューヨークで子供達の間に謎の奇病が蔓延していた。この奇病を媒介するゴキブリを絶滅させるため昆虫学者のスーザンはゴキブリの天敵となる新種の昆虫を遺伝子操作で生み出し、街に放った。ゴキブリは全滅し、奇病の発生も収まった。新種の昆虫も一世代だけの生命しかなく、やはり絶滅したはずだった。
それから3年、あの新種の昆虫は突然変異を繰り返して高度な知能と人間への擬態能力を身につけていたのだ。彼らは今は使われていない地下鉄跡の地下坑道で繁殖し、人間を食料にしながらコロニーを増やしつつあった。

「ミミック」(1997)
MIMIC

この作品が公開される少し前に「レリック」(1997)という似たタイトルのモンスター映画も公開されたりして紛らわしかったですね(笑)。
「レリック」がわりと正統派の怪獣パニック映画に仕上がっていたのに対し、この「ミミック」はホラー色の強いモンスター映画でした。

昆虫が敵となる映画って沢山ありますが、高い知能を持った昆虫との対決というとあのウィリアム・キャッスルが制作した異色作「燃える昆虫軍団」(1975)を思い出します。ヒッチコック作品などのタイトルデザインを手がけたソウル・バスが監督した「フェイズ IV 戦慄!昆虫パニック」(1973)なども不思議な後味を残す奇妙な作品でした。共に好きな作品です。
一方地下坑道での巨大昆虫VS人間の傑作と言えば「放射能X」(1954)でしょうか。核実験の影響で突然変異した蟻の群れと軍隊の下水道での対決がサスペンスフルです。同年の「ゴジラ」(1954)同様、ある意味人類が生み出してしまったモンスターによって人類が危機に陥る設定は、本「ミミック」にも通じるところ。
さて「ミミック」をこうした作品と比べるとどうもピリッとしない。自らが生み出したモノにしっぺ返しをくらう展開も、人間に擬態するという設定ももう一つ上手く使ってくれていないのですね。物語はあくまでサスペンスホラーの常道といった感じに進みます。それはそれで悪くない出来ではあるものの、折角の突然変異をした怪物という美味しい設定が生かされていない、展開に驚きが無いというのは勿体なし。
メキシコ出身のギレルモ・デル・トロ監督のハリウッド進出第一作となる本作の演出は落ち着きがあって安心して見ていられます。が、物語的にまで安心させられては困るんですよね。良い点は多々あるのに残念です。

もう一つ残念な点と言うと、展開や画面作りが「エイリアン」(1979)に似すぎているところ。オーソドックスな演出を心がけるとどうしても似てしまうのは分からなくもないですが、これは本作に対する印象をかなり落としてしまっています。終盤、無数の卵が蠢く産卵室を爆発で焼き払うところや、最後に残ったエイリアンクイーンならぬオスの昆虫から子供を護るために主人公の女学者が大活躍するあたりは「エイリアン2」(1986)のパロディかと思ってしまいました。いやまぁオマージュのつもりなのだとは思いますが、ちょっとやりすぎかと。

ところで公開当時、本作のタイトルデザインをカイル・クーパーが担当したことで話題になったものですが、今日の放送ではスパッとカットされていたような・・・。昨年末の「ゴジラ FINAL WARS」(2004)の放送でも同様でしたが、クーパーさん日本のTV局に嫌われてんのかって思ったり(笑)。

放送記録:2006年02月16日PM9:00~10:55TV大阪「木曜洋画劇場」

と言うわけで、日本版「ブレア・ウィッチ」と呼ばれる作品です。

「ノロイ」(2005)

2004年、怪奇実話作家の小林雅文氏の家が火事で全焼。奥さんの焼死体が発見されたが小林氏は行方不明となる。氏は失踪直前にある現象を追ったビデオ作品を完成していたが、これを白石晃士監督の手により劇場作品として再編集されたのが本作である。

と、まぁそういう設定の劇映画であります。

作品はあくまでドキュメンタリーという形式で作られ、ほとんどが手持ちのビデオカメラで撮られているので少々手ブレに酔ってしまう人もいそうですが、それがリアル感を盛り上げることにもなっています。ここらへんの手法も「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(1999)を習っていますね。
内容はと言うと主人公の小林雅文が様々な特異な現象を取材していくうちに、それぞれが別々の物事だと思われたのが徐々に1つの事象に集約されていく展開はミステリータッチでなかなかに面白い。さらにダムに沈んだ村でかつて綿々と伝承されてきた「神具魂(かぐたば)」の伝説や、そのかぐたばを鎮める鬼祭りなどが絡んでくると伝記ミステリー調にもなってきます。個人的には好きなタイプの展開。
作品全体の作り込みもなかなか良く出来ています。村がダムに沈む直前、'70年代に行われた最後の鬼祭りを記録したフィルムの退色具合などもリアルです。

ただ、あくまでドキュメンタリー映画という設定を通そうとするならば、どうにもやりすぎなのが惜しまれるところ。
「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」では最後まで魔女や超常現象を直接映すことなく、観客の想像力を刺激して恐怖感を醸し出すこと、現実味を強めることに成功していました。対して「ノロイ」ではあまりにもあっさりと幽霊やらかぐたばやらを画面に出し過ぎ。これではドキュメンタリーとしてのリアル感が台無しです。首つり死体を長々と舐めるように撮影したり、それを劇場映画として公開するなども本物ならあり得ないでしょう。
ドキュドラマとしてかなりな作り込みをしながら、最終的には典型的なホラー映画エンタテイメントに走ってしまったのは勿体なく感じます。実際、幽霊など出す必要は無かったし、むしろ出さない方が「ブレア・ウィッチ」同様想像力を喚起されて後を引く怖い作品に仕上がっていたのではと思われます。

まぁとにかく、映画としての出来は傑作とは思わないけれど悪くはなし。ドキュドラマとしては、どうせなら最後まで嘘を付き通して欲しかったかな、と。
それはそれとして私は今まで知らなかったのですが、本人役で出演していた松本まりかという女優さん、可愛いですね~。

最後に、本作が日本版「ブレア・ウィッチ」と呼ばれる一番の理由であるところの宣伝について。
「ブレア・ウィッチ」同様リアル感を盛り上げるためにネットを活用したわけですが、「ブレア・ウィッチ」が公開された当時と違ってネットの発達によって逆に簡単に嘘がバレてしまったのは気の毒な気もしましたが、まぁちょっとした検索でバレるあたり作り込みが甘すぎですよね。
本作公開に当たって作家小林雅文の個人サイト、そのファンサイトなどを2003年分まで遡って作り上げたり、小林雅文の本屋ビデオを発行したという設定の杉書房なる出版社のHPを立ち上げるなど努力は認めます。が、そのいずれもがたちまち嘘サイトだと看破されてしまいました。やるならもっと徹底的に作り込めよとは思いつつ、今の時代では難しい部分も多々あるのだろうなぁと思ったしだいです。
(でも特にファンサイトですが、当分はちゃんと更新しろよと思いますよ。映画の公開が終わったら放置というのではまったくつまらないこと夥しい。まぁ・・・実はファンサイトの管理人も失踪していたとか死んでいたなんてオチが付くのなら良しですが(笑))
以下に関連サイトを張っておきますが、小林雅文公式ホームページとファンサイトは副読本として読むとちょっと映画の理解が深まったりするので映画を見終わった後に読んでみるのもいいかも。

「ノロイ」OHP
http://www.no-ro-i.jp/
*ちょっとビクッとさせられますのでスピーカーの音量に注意。

小林雅文公式ホームページ
http://koba1964.hp.infoseek.co.jp/

小林雅文公認ファンサイト
http://blog.livedoor.jp/kaikifan/

杉書房
http://72.14.207.104/search?q=cache:WNIl5vRe8PIJ:www.sugishobou.jp/company.html+%E6%9D%89%E6%9B%B8%E6%88%BF&hl=ja&gl=jp&ct=clnk&cd=1
*すでに消えているようなのでキャッシュを。

ところで以下は「鈴鹿山脈/登山日記」という個人サイトさんですが、こういうところから「ノロイ」のネタバレがあったりするのもネットの面白いところですね。神社は松本まりかさんとアンガールズの未放送番組を撮影したところのようですし、村は鬼祭りを撮影したところですね。どちらも雰囲気ありますし、一度行ってみたくなりました。
鈴鹿山脈/登山日記/山行記録/鈴鹿:比婆之山
http://s-soul.hp.infoseek.co.jp/record/mt2004-12-18.html

と言って、見たのはもう1ヶ月ほど前なんですけどね。
そもそもこの作品、ロードショー公開前に映画館関係の友人にネタバレ、すなわち「ノンフィクションではない」ではないということを聞いてしまったため急激に鑑賞意欲が減退し、結局そのまま今まで見ることがありませんでした。でもまぁ、本作に対していろいろと賛否両論を聞いていたので一度見ておくべきだとは思っていたんだすよね。さらに昨年「日本版ブレアウィッチ」と一部で評された「ノロイ」(2005)がちょっと話題になったこともあり、満を持しての鑑賞となりました。

「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(1999)
THE BLAIR WITCH PROJECT

大学映画学科の学生3人が旧名ブレアの森の魔女伝説に関するドキュメンタリーを撮ろうとブラック・ヒルズの森に入っていくが、そこで世にも奇怪な体験をして全滅する。

とストーリーだけを見るとこれほど単純でありがちなホラー映画もないわけですが、その映画そのものをノンフィクションのドキュメンタリー映画として制作したところが振るっています。元々制作費が日本円で数十万円という超低予算故の苦肉の策だったのかもしれませんが、一種異様な雰囲気と恐怖感を醸し出しています。

序盤、町の人々にインタビューしたり美しい森の中での撮影と和気藹々としていた3人が、もしかして自分達は森の中で道に迷ったのではないかと感じ始め、反発し合うあたりから一気に不安感が増します。ここに至るまでにブレア・ウィッチの伝説が断片的に語られ、想像力をかき立てられるのもいい感じです。
そして体力精神力を消耗した3人の周りで起こる様々な不可解な出来事。森の中に自分達以外にも誰かが居るのではないかという恐怖。しかし決してその謎の存在を直接的に描写しないのも、(やはり資金的な問題もあったのだろうけれど)不安感を増幅させていきます。
カメラマンのジョシュアの姿が消え、残されたヘザーとマイクが最後の夜に伝説の中の家に遭遇したところから一気呵成なクライマックスです。出演者達本人が撮影した16mmカメラのモノクロ映像とビデオカメラの映像の編集も見事。そしてマイクが背を向けて部屋の隅に立っているラストショットはそれまでの伏線を昇華した、ゾッとさせられる見事なショットでありました。

撮影に際し出演の3人にはそれぞれその日の自分の分の台本だけを渡し、カメラ2台を渡して森の中に放置という手法を取ったそうな。で、夜な夜な台本にない様々な仕掛けで彼らを脅かし、彼らにストレスをかけ、消耗させていったと。これで彼らが人間でなければ動物愛護団体が怒鳴り込んで来そうなやり方ですな(笑)。映画の中で描かれる彼らの苛立ちや怒りはそうして作り出されていったわけです。
本作品では最後まで魔女も幽霊もモンスターも登場しません。全ては観客の想像力に任せているわけですが、そこが素晴らしい。金が無いのをアイデアでカバーする、まさしく低予算B級映画の鑑のような作品です。

しかしまぁ、公開当時は作品の内容云々よりも、それ以外の部分が話題になった作品でもありました。ネットやその他メディアを利用し、徹底的に本当のドキュメンタリーということを強調した宣伝手法です。
劇映画をあたかもノンフィクションと思わせる宣伝手法は昔からありました。「食人族」(1981)や「スナッフ」(1976)あたりが有名で、その他カメラマンがライオンに喰われる「グレート・ハンティング」(1975)やダイバーが足を食いちぎられる「シャーク!!」(1975)といったフェイクドキュメンタリーなども数多くありました。しかし本作「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」ではその手法にネットを最大限活用したところが目新しく、実に効果的でもありました。
個人的になんとも残念なのは、出来ることならネタバレ無しで本作を見てみたかった。そして見事に騙されたかったというところです。

さて、最初に書いた「日本版ブレアウィッチ」の「ノロイ」ですが、タイミング良くDVD化されましたので先日見ました。こちらについてはまた次回にでも。

ハワイ旅行怖ええええ!

「SFバイオノイド」(1986)
ANNIHILATOR

ロバートは仕事も順調、美人の彼女とも結婚を控えて人生順風満帆。だがしかし好事魔多し。女友達とハワイ旅行に行った彼女が、旅行から帰ってきたら中身がバイオノイドにすり替わっていたのだ。彼を殺そうと迫る恋人型バイオノイドを間一髪車で挽き潰すロバート。だがバイオノイドの手による殺人が彼の犯行として警察に追われる羽目に。さらに人間社会の中に紛れたバイオノイドたちも彼を殺そうと迫ってくるのだ。この絶体絶命の状況の中、ロバートは僅かな手がかりを元にバイオノイドの秘密を暴く旅に出るのだった。はたしてバイオノイドの正体とは? そして消えた恋人は生きているのだろうか?

というわけで、設定的にはTVシリーズ「インベーダー」(1967~68)を思わせますね。知ってはいけない秘密を知ってしまった主人公が追われ続けるという設定はありふれたものではありますが、本作は低予算的ショボさもあるもののなかなかにサスペンスに溢れて良い出来です。
また目を赤く光らせながらどこまでも追ってくるバイオノイドの姿は明らかに「ターミネーター」(1984)の影響が色濃く出ていますが、80年代に多数作られた凡百の「ターミネーター」のパッチモン映画の中でも悪くない出来ではありました。
まぁ何と言いますか、引きちぎれた自分の片腕を振り回しながらしつこく襲ってくる女性バイオノイドにB級ホラー界のクールビューティ、リサ・ブロントを配するあたり分かってるなぁって感じです。リサ・ブロントと言えば多数の安い映画で印象を残していますが、「ゾンゲリア」(1981)での眼球に注射針ブッ刺し看護婦さんが最高でしたな。

でもちょっと不満も上げるなら、未知のスーパーテクノロジーで作られたアンドロイドとおぼしきバイオノイドですが、あまりにも頭悪すぎです。どうして人間一人殺そうとするのにあんなに不合理で効率の悪い方法を取るんだろ。しかも失敗してるし(笑)。
人間の姿の時は普通に生活してるのに、正体を現すととたんに動きが悪くなるのも「ターミネーター」的ですね。
そして最大の問題は、
バイオノイドを作った者の正体も、その目的も、恋人の安否も、何も作品中で解決しなかったことです。
ということで、本作はTVシリーズのためのパイロット・フィルムだったわけですね。TVムービーと考えるとこの出来はなかなか見事なもので、まんまと続きを見たくさせられたあたり掴みはバッチリというところです。
結局TVシリーズ化には至らなかったようなのが残念ではありますが、80年代の新しい「インベーダー」の物語を夢想させてくれたことは悪い経験ではありませんでした。

ところで、そういえば本編の途中で突然意味無くミュージックビデオ風のシーンが展開します。持て余した時間を埋めるためとしか思えないわけですが、その途中で「エクソシスト」(1973)のパズズの像が何度も意味有げに映し出されるのが奇妙な演出ではありました。もしTVシリーズが制作されていれば何らかの意味づけがあったのかもと思うと、これもまた残念ではあります。もっとも、何の意味もなかったという可能性が高いとも思いますけどね(笑)。

放送記録:2006年01月25日PM7:30~9:15サンTV「シネマスタジアム」

ゴジラ映画はお祭りでありました。と、幼少の頃に東宝チャンピオン祭りに胸ときめかした者として思います。子供にとって巨大な怪獣が画面狭しと暴れ回り、自衛隊の兵器がそれを迎え撃つ光景だけで満足できたものでした。そういう意味で、ゴジラファンにはとかく評判の悪い福田純監督の作品「地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン」(1972)や「ゴジラ対メカゴジラ」(1974)なども大好きな作品です。切りつめられた制作費の面とかで厳しい部分は多々あるものの、実際子供向けと了解した上で見ると面白く出来ているんですよね。(まぁさすがに「ゴジラ対メガロ」(1973)は子供心にもショボ過ぎると感じたものですが)
さて「メカゴジラの逆襲」(1975)で一旦途切れたシリーズが復活し、平成のVSシリーズが始まった時は期待しました。大森一樹監督は「オレンジロード急行」(1978)を見て以来自分の中で期待の監督でした。以降「ヒポクラテスたち」(1980)「すかんぴんウォーク」(1984)等期待を裏切らない作品を撮ってきた大森監督がぜひ撮ってみたいと公言していたのが「007」シリーズと「ゴジラ」シリーズであり、そのゴジラ映画を撮る夢が叶えられたことに大きな期待を寄せました。
しかし完成した「ゴジラVSビオランテ」(1989)は凡庸な出来で、続く「ゴジラVSキングギドラ」(1991)も美味しい設定をまるで生かせない勿体ない作品となりました。そして大森監督が降りた後もゴジラシリーズはマニア向けでも子供向けでもない中途半端な作品として量産され続けたのでした。

まぁここらへんのゴジラシリーズについては書きたいことは山ほどあるのですが、長くなるので省略。
ともあれ、当時映画館で睡魔に襲われることなどほとんど無かった私でしたが「ゴジラVSスペースゴジラ」(1994)「ゴジラVSデストロイア」(1995)「モスラ」(1996)と3年連続クライマックスでうとうとしてしまったほどの退屈さに失望し、これではもうTV放送を見ていれば十分だと翌年から東宝特撮映画を劇場に見に行くことをやめてしまいました。

で、

「ゴジラ FINAL WARS」(2004)
GODZILLA FINAL WARS

ついにシリーズ完結!
と言う宣伝文句はこれまで何度も聞かされているので頭から信じる気にはなりませんでしたが、監督に北村龍平、音楽にキース・エマーソン、そして独特のタイトルデザインで話題になっていたカイル・クーパーを起用するなどゴジラ映画らしからぬスタッフに興味をひかれました。さらに福田純監督的(チャンピオン祭的)作品に仕上がっているという評判にも期待が高まったものでした。

スピーディな展開は良し。それまでのいずれ劣らぬ凡庸な出来の平成シリーズに比べると、見ている間退屈しなかったという一点に置いても本作は優れていました。次々と登場する多数の怪獣もお祭り映画としては大正解でしょう。
しかし怪獣映画としては映像が軽すぎるのが気になります。登場する怪獣達には重量感も恐怖感も描かれず、ただ生活臭のしない都市を破壊するだけ。ゴジラと怪獣達の対決も見せ場らしい見せ場もなく、数を出し過ぎた怪獣の処理だけで精一杯という感じです。怪獣が大暴れしようが人類が絶滅の危機に瀕しようがまったく緊張感が画面から伝わってこないのは辛いところですね。あっという間に東京が(そしておそらく全世界の大都市が)廃墟と化しているところなど、かの「デビルマン」(2004)の唐突すぎる人類滅亡を彷彿とさせます。

北村監督のスタイリッシュなアクションは頻繁に登場。しかし全てどこかで見たような独創性のない映像です。というか映画全体にインスパイアだかパロディだかパクリだか分からないような小ネタが散りばめてあるのも気になるところです。何より取って付けたような軽々しい怪獣の対決シーンよりも人間同士のアクションシーンに明らかに力が入っているのがどうにもやり切れない気分にさせてくれます。意向が見えない多数登場する怪獣の選択や、例えば本来守り神なキングシーサーが沖縄を破壊するなど、監督には怪獣に対する思い入れが特に無いのだろうなぁと想像されます。北村監督にはゴジラよりも戦隊ヒーロー物やウルトラマンの方が向いていたのではないかと感じさせられました。
(とか言っていると、現在公開中のヒーロー特撮映画「超星艦隊セイザーX 戦え! 星の戦士たち」(2005)を大森一樹氏が監督していたりするのが皮肉なところですね)
しかし本作を見ていると評価されるほどに北村監督の演出力が高いとは思えないですね。アクションシーンのそこはかとなく漂うショボさは役者の力不足もあるのでしょうが、それ以上に例えば菊川怜の登場シーンのようなドラマを見せるシーンでの平坦な画面構成が気になって仕方ありませんでした。

役者についてはドン・フライが表情に凄みもあって意外や意外実に良し。宝田、佐原、水野のお歴々も流石に存在感を漂わせていましたが、今一つ作品の中で生かされていない脚本がオールドファンとしては少々残念。でも一番残念なのは菊川怜のヒロインにまったくもって魅力が感じられないところでしょうか。科学者という設定もほぼ意味無しでしたし、演技力にも疑問。
それにしても北村一輝のオーバーアクトぶりはどうでしょか(笑)。部分的に確かに面白くはあったのですが、彼の存在もまた映画を軽く見せるのに一役買っていたような気がしますよ。

とまぁそういうわけで「ゴジラ」シリーズも終わりです。他にヒットシリーズを持たない東宝ですし、おそらく数年後にまたシリーズ復活ということになりそうな気もしますが、まぁひとまずは終わりました。(ゴジラでなくても良いので、東宝特撮技術の継承のためにも特撮映画は作り続けて欲しいとは思いますが)
怪獣愛が感じられないのはまことに残念ではありましたが、お祭りの終幕にはある意味相応しいまとまりのない賑やかな作品であったと思います。

ところで今日の放送、エンドクレジットで「タイトルデザイン:カイル・クーパー」と堂々と出していましたが、そのOPタイトル部をばっさりとカットて・・・。

放送記録:2005年12月30日PM6:30~8:54TV大阪「怪獣キング決定戦・地上最強シネマスペシャル」


さてさて、とか書いているうちに日が変わり、もう大晦日になってしまいました。
いよいよ本年も終わりです。皆様良いお年を。そして来年もよろしくお願いいたします。

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