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かつて核シェルターとして使われていた砂漠の洞窟内に作られたクローン研究所。そこに持ち込まれた900年前の化石から取り出したDNAを実験にかけると、生まれ出たのは伝説の生物とされていたドラゴンだったのだ。急成長したドラゴンは口から炎を吐きながら研究所内で大暴れし、所員を次々と貪り喰っていく。軍から派遣されていたセキュリティ担当の若き兵士は、残った所員を脱出させるために奮闘するのだった。
「ドラゴン・ファイター/炎獣降臨」(2002)
DRAGON FIGHTER
と言うわけで本日の「シネマ・スタジアム」です。
「ジュラシックパーク」シリーズの影響下で作られたのでしょうけれど、蘇るのが恐竜ならぬ伝説の生き物ドラゴンというのが面白いところですね。
検索してみると本作はどうもオリジナルビデオ作品ということらしいのですが、確かにCGなどいささか安っぽくはあるのですが、いやいやなかなかどうして狭い研究所内の通路を火炎を吐きながら闊歩するあたり迫力はあります。
そして研究所爆発に続くクライマックスは大空に羽ばたいたドラゴンとジェット戦闘機の空中戦と、これまた見せ場を心得ています。
マルチスクリーンの多用とか面白いカメラワークとか演出力の無い分小手先の技巧に走ったきらいはありますが、ドラマ的には変に凝らずにストーレートかつダイナミックに描いたのは評価されるところでしょう。
ところで砂漠の地下洞窟の核シェルターで実験というプロットで思い出されるのが「大襲来!吸血こうもり」(1974)です。核戦争が始まり市民の中から選ばれた数人の男女が砂漠の地下洞窟内のシェルターに強制的に閉じこめられるが、その洞窟には無数の吸血こうもりが生息していた、というお話。チープで重苦しい雰囲気の作品ですが、こちらはドラマ的面白さで見せるB級SFパニックホラーの佳作でありました。
放送記録:2005年12月07日PM7:30~9:15サンTV「シネマ・スタジアム」
と言うわけで見ました。
「めまい」(1958)
VERTIGO
解説の水野晴郎氏の浮かれ気味な大絶賛がまず楽しい(笑)、サンTVの映画劇場では珍しい時間を延長しての放送でありました。
アルフレッド・ヒッチコック監督得意の巻き込まれ型サスペンスですが、ジェームズ・スチュワート扮する主人公が監視相手のキム・ノヴァクに徐々に人妻だと知りつつも心惹かれていく様が美しく、そして悲劇を予感させます。そして彼女が死んで魂が抜けたようになる主人公。彼女にそっくりな女性を見つけてストーカーと化す彼の姿はもの悲しくもあります。
ただ、そこらの主人公の機微が随分とおおざっぱに描かれているのが気にはなります。
正直前半の不可思議でどこか不気味な雰囲気に比べ、中盤で真相を観客に明かすなど、そこから後半の展開はサスペンスとしては煮え切らない感じを受けます。そして投げっぱなしにも思える唐突なラスト。
まぁ何かと実験的な手法を取り入れ続けてきたヒッチコック監督のこと、本作でも単なるサスペンス映画にはしたくなかったというような雰囲気は感じます。一人の中年男性の恋の物語としても十分に面白かったわけですし。ただ先にも書きました通り、主人公の心理描写が足りなかったために微妙に上滑りな感を受けたのが残念であります。
主人公の高所恐怖症という設定を元にした演出やトリックは流石。常に不安感を感じさせる映像やサスペンス描写も見事でありました。
ところでその唐突なラストですが、実は完全に記憶から抜け落ちていまして素で驚いてしまいましたよ(苦笑)。
放送記録:2005年12月3日PM7:30~9:54サンTV「ドリーム・シアター」
今日のサンTV「シネマスタジアム」は先週の「マンハッタン無宿」(1968)に続きクリント・イーストウッド主演、そして「荒野の七人」(1960) 「大脱走」(1963) 「宇宙からの脱出」(1969)等の名匠ジョン・スタージェス監督による渋い娯楽西部劇でした。
「シノーラ」(1972)
JOE KIDD
メキシコの小さな町シノーラで、移民してきたアメリカ人によって先祖伝来の土地を奪われたと暴れ回るメキシコ人の一団。その無法に対し、怒りに燃える大地主が立ち上がった。
と書くと、いかにもありがちな西部劇ドラマですね。特にメキシコ人をインディアンに置き換えれば、さらにありがち感が増します。
本作の2年前、それまで映画の中で正義のヒーローとして描かれていた騎兵隊による残虐非道なインディアン虐殺を描いた「ソルジャー・ブルー」(1970)が作られました。インディアン(ネイティブ・アメリカン)を否定的に描くことが問題視され、それまで全盛を極めていた(白人至上主義的な)オールド西部劇が姿を消しつつある時代でした。
そうした流れの中で作られた本作は以前ならばインディアンに割り振られる役割をメキシコ人に置き換え、西部開拓の名の下に彼らの土地を奪い続けた白人に対する彼らの怒りを代弁しようとしたのかもしれません。
とは言え、そこは多数の西部劇をふくめ数々の娯楽作を撮り続けてきたスタージェス監督のこと、そのドラマは実に明快で娯楽性に満ち、あくまでもオーソドックスな演出は安心して見ていられます。
イーストウッド扮するは腕は確かだが酔いどれのだらしない男ジョー・キッド。キッドは町の大物ハーランから荒野の道案内を頼まれます。その旅の目的は土地を奪い返そうとするメキシコ人一派のリーダー、チャマを殺すことでした。
最初は興味がないと断るキッドでしたが、白人を憎むチャマのグループに友人を殺されたことで旅に加わることを決意するのです。
主人公ジョー・キッドは「荒野の七人」のクリスやジョン・ウェインのような正義感溢れるヒーローとは描かれません。ハーランが捕らえたチャマの恋人を犯しても、無関係なメキシコ人を撃ち殺しても、キッドは怒りを感じながらも体を張ってまでそれを止めようとはしません。ここら辺の主人公像はどちらかと言えばマカロニ・ウエスタンの流れを感じますし、イーストウッドが演じることでなおさらその思いを強くします。
そしてついにハーランがメキシコ人の村を襲撃してチャマをおびき出すために村人たちを処刑しようとした時、そしてチャマとの戦いに参加しなかったキッド自身までもがハーランの囚われの身となった時、ついにキッドは行動を開始します。
ここらへん、ハーランの残虐な行動から村人を守るためか自身の身を守るためか、キッドの行動原理がはっきりとしないのがやや難にも感じますが、キッドの飄々としたキャラクターからすればこれでいいのでしょう。
チャマと接触したキッドはチャマに対して裁判に訴えるよう説得します。これもまた西部劇らしくない地味な展開ですが、面白い展開でもありますね。
クライマックスはハーラン一味が待ち受けるシノーラの町に乗り込んでいくキッドとチャマ。キッドは蒸気機関車を使って町中に突入し、激しい銃撃戦の末にハーランを倒すのでした。
しかしこの機関車が建物に突っ込んでいく派手な見せ場も、銃撃戦も、スタージェス監督の演出は妙にのんびりしていて緊迫感がありません。ハーランの手下も何人か倒されたところであっさりと降参してしまいますし。こののんびり感は派手なアクション西部劇を期待していた向きには肩すかしぽく感じますが、極力本作では人の死を描きたくないという監督の意志のようなものも感じます。
残酷な町の大物ハーランを演じるのは名優ロバート・デュヴァル。その冷静にして徹底した悪役ぶりは見物でした。
そしてキッドとの間にいつしか友情すら感じさせる人間味溢れるメキシコ人リーダーのチャマを演じるのが数多くの作品で活躍する名脇役ジョン・サクソン。その出演作はマイナーなB級作品が多いのですが、「燃えよドラゴン」(1973)やアルジェント監督の「シャドー」(1982)など印象的でした。
放送記録:2005年11月30日PM7:30~9:15サンTV「シネマ・スタジアム」
先週発売になった「スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐」(2005)のDVDですが、劇場公開時に不評紛々だった戸田奈津子氏の字幕が修正されると雑誌等で公表されていたため発売前から注目を集めていました。
「スター・ウォーズ」研究本などの著者川原一久氏が字幕監修にあたり、なんでもその修正箇所は400にも及んだとか。
で、見ました。
細かい差違までは分かりませんが、とりあえず「掃除が大変だ」とか「第一銀河帝国」といった大きなトンデモ訳は修正されていてホッとしました。
もちろんこれは良いことだと思います。しかし、劇場公開時にどんな酷い字幕でもDVDにするときに手直ししておけばOKみたいな風潮が広まるのなら、やはりそれは大きな問題でしょう。
今回FOXさんは確かにDVDをより良い形にして世に出しました。しかしだからといって劇場公開版の字幕に問題があったこと(すなわち不良品を金を取って見せていたこと)を決して認めないし謝罪もしません。
なぜ(世界的に見ても)高い鑑賞料を払ってまで劇場まで足を運ぶという最も大事にすべき映画ファンに不良品を見せて平気な顔をしていられるのでしょう。
これから公開される大作話題作の多くの字幕を、やはり戸田氏が担当しています。もちろん戸田氏であっても酷い誤訳や珍訳が無ければ問題ないわけですが、現在公開中の「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」(2005)でも終盤にとんでもない誤訳があったと聞きます。
本当に映画ファンを大事にするならば、劇場公開時から正しい字幕で見せて頂きたい。そもそもそうした方が後から手直しするような余計な手間もお金もかけなくてすむと思うのですけどねぇ。
まぁそんなわけで、当ブログは字幕翻訳家の立場から勇気ある告発を続けておられる落合氏を応援しています。
「Heather 落合寿和の字幕翻訳日記」
http://blog.livedoor.jp/heather1/
ついでに戸田奈津子氏が過去にどんな誤訳をしていたか知りたい人に。
「戸田奈津子誤訳・珍訳集 - 誤訳かもだ」
http://the-thing.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/wiki/wiki.cgi?%B8%CD%C5%C4%C6%E0%C4%C5%BB%D2%B8%ED%CC%F5%A1%A6%C4%C1%CC%F5%BD%B8
直接飛べないようですのでコピペしてください。
さて、今夜はセガールアクションの登場です。
「奪還 DAKKAN アルカトラズ」(2002)
HALF PAST DEAD
最新のハイテク刑務所として再オープンしたかのアルカトラズ刑務所に収監されたセガールさん。そこにはかつて金塊を強奪し、その隠し場所を漏らさぬまま処刑されようとしている死刑囚がいた。突如アルカトラズを襲う武装集団。彼らは死刑囚から金塊の隠し場所を聞き出そうとしていたのだ。セガールさんはその武装集団と戦うことになるのだった。
と言うわけで、まぁ特に目新しい内容でもありませんが、とにかくセガールさんのいつもながらの無敵ぶりを見ているだけで楽しい一本でありました(笑)。
まぁとにかく強い強い。「沈黙のアルカトラズ」とでも邦題付けても良かったのではないかと思うくらいにいつものパターンですが。
監督と脚本を担当したのはドン・マイケル・ポール。以前にアクション映画の(ある意味)傑作「ハーレーダビッドソン&マルボロマン」(1991)の脚本を書き、本作が監督デビュー作ということらしいです。
なるほどなるほど、本作の内容の無さとアクション映画としての面白さは「ハーレーダビッドソン&マルボロマン」とよく似ています。
少し不満を言わせてもらうなら、早回しやスローモーションなどジョン・ウー監督作品や「マトリックス」(1999)シリーズを意識しまくったような所謂スタイリッシュな映像の多用が鼻につくことでしょうか。ワイヤーアクションの多用については、セガール映画としてはちょっと新鮮だったかな。
刑務所内の構造がもう一つはっきりしなかったのも残念。そこらへんの説明があればもっと緊張感を増すこともできたと思うのですが。
あ、それと敵のボスを倒すのがセガールさんじゃなかったのはどうだろか。
と言うわけで、まー堅苦しいこと考えずに一時の娯楽を求めるには最適の作品であったかと。こういうボケーっと見ていられる映画は好きですわ(笑)。
ただセガールさんもさすがに老けちゃいましたねぇ。
放送記録:2005年11月27日PM9:30~11:25ABCTV「日曜洋画劇場」
以前に放送した時には見逃してしまっていたので改めて鑑賞です。
「女優霊」(1995)や「リング」(1998)で大層怖がらせてくれた中田秀夫監督作品ですが、「リング2」(1999)のメタメタさにかなり失望していたのでまぁ期待半分くらいの覚悟で見ました。
「仄暗い水の底から」(2001)
さりげない日常の中での不気味な雰囲気を描写する演出は流石ですね。でも、一つ一つのドラマがその雰囲気を裏打ちするリアルさに欠けていたのがどうにも最後まで気になってしまいました。
例えばすぐにでも母娘で暮らす住居が必要だと言いながら「来週内装します」というリフォーム前のマンションに決めたこと。あれほど目立つ天井のシミに気づかないほど、まるでまともにチェックしない黒木瞳。あれほどポタポタと滴が垂れているなら速攻で不動産屋を怒鳴りつけてでも呼び出すところなのに、それもせずただ我慢。管理人の無能ぶりにもただ我慢。
まぁどこまでが必要な描写か不必要な描写かは難しいところですが、こういった部分を見る者に不自然と感じさせないのがリアル感を高めるためには重要だと思うのですけどね。
おそらく監督さんとしては黒木瞳さん演じる主人公の病的とも言えるおどおどぶりで説明したかったのだろうと思うのですが、その主人公のおどおどぶりがまたやりすぎ感が強すぎです。怪異現象や幽霊に出合う前からあの病的な雰囲気では、娘は父親と暮らす方が幸せそうだと視聴者は思ってしまいますよ。特に夫婦離婚の原因が描写されていないだけに。
ついでに、定期的に点検清掃を業者が行っている貯水槽の中の死体が何年も発見されなかった理由も気になるところです。
さて物語の方ですが、こちらもどうもピリッとしません。「マンションの貯水槽には死体が浮かんでいる」という有名な都市伝説から生まれた物語なのでしょうが、それ以外にも様々なところからの寄せ集めドラマという印象が強く感じら、ドラマそのものが非常に薄いのですね。
水の中で溺れた子供が幽霊となって(あるいは実は生きていて)現れるというのは、クライマックスで姿を現す少女のおどろおどろしいメイクアップも含めて「13日の金曜日」(1980)を意識していると思われます。貯水槽が内側からボコボコと盛り上がる力強さもジェイソンならともかく少女の霊の仕業としては不自然ですし。
やはりクライマックス、エレベーターの開いた扉から濁流となって汚水が噴き出す意味不明のシーンは「シャイニング」(1980)へのオマージュのつもりでしょうか。
水道の水に混じって髪の毛が出てくる、上の階の部屋が水浸しになっている、等々一つ一つのシーンは怖いのにそれらの描写が映画の中で一つにまとまらずに散漫な印象となるのも勿体ないなぁと。
あ、でも我が子を連れて逃げたはずなのに開いた扉の向こうからその子が出てくるという最大の見せ場はかなーり本気で驚いてしまいました。しかしこのシーンでCMを入れるTV局のセンスの無さにも驚かされましたが(笑)。
母親の愛を求める幽霊少女から我が子を守るため(同時に少女への同情心もあったのか)自ら犠牲になる主人公。ここらへんも上手くやれば感動的なシーンになるはずなのですが、そこに至るまでの少女の想いの強さが描かれていないためあまりに唐突でこれまた勿体ないと思わされました。
でラスト、いきなり10年後の成長した娘が登場する以降のシーンですが、無理矢理感動させたい感が強く、娘の独白も練り込まれていないため蛇足としか思えませんでした。
全体としては素材は良いのに生かし切れなかった残念な作品といった印象です。
ついでに、マンションの内部が悲しいほどにセット丸出しだったのも興ざめでしたねぇ。
さてさて、現在ハリウッドリメイク版の「ダーク・ウォーター」(2004)が公開中ですが、こちらはどんな感じなのでしょう。予告を見る限りではなかなか怖そうですけどね。主演のジェニファー・コネリーは「フェノミナ」(1984)で見た時そのあまりの可愛さに呆然としただけに、(歳を取ってもやはり美しいとはいえ)今の彼女を見るのはちょっと辛いものがありますけどね。
放送記録:2005年11月25日PM9:30~11:25読売TV「金曜ロードショウ」
邦題といい、監督ドン・シーゲルといい、クリント・イーストウッド主演といい、あたかも西部劇かと思わせますが、シーゲル監督らしい乾いた雰囲気いで描く骨太な刑事アクションであります。
「マンハッタン無宿」(1968)
COOGAN'S BLUFF
まず映るのは広大なアリゾナの砂漠。そして岩陰から何者かに銃を向けるインディアンの男。
はて? やはり西部劇だったかしらん? と思わせる楽しい導入部です。
イーストウッド扮するはアリゾナの田舎の保安官補クーガン。一匹狼を気取り乱暴な捜査で上司の覚えも良くないクーガンは犯人引き取りの為にニューヨークへと単身出張することとなります。そして舞台は一転、摩天楼の建ち並ぶ大都会へ。
慣れない都会に辟易しながらも犯人護送の任に付くクーガンは、しかしミスから犯人の逃走を許してしまうと言う大失態を犯してしまいます。ニューヨーク市警からの協力も得られぬまま、クーガンは単身大都会の闇に身を潜めた犯人を追うのです。
まず何より、クーガンのキャラクターが後にやはりシーゲル監督とコンビを組む「ダーティハリー」(1971)のハリー・キャラハン刑事と被っていて面白い。本作があってこそ「ダーティハリー」という傑作を生み出されたのは想像に難くありませんね。大きく違うのはクーガンはニューヨークでは警察官としての権限が無いため拳銃を携帯せず、素手で敵に立ち向かうところでしょうか。逃走犯発見までの道筋がやや安易すぎるきらいはあるものの、執念で追いつめていくクーガンの迫力はさすがシーゲルとイーストウッドのコンビだと言えましょう。
もう一人、ニューヨーク市警の警部を演じるリー・J・コッブの存在感もまた素晴らしい。コッブと言えば「十二人の怒れる男」(1957)でヘンリー・フォンダと激しく対立する陪審員役も印象的でしたが、何と言っても「エクソシスト」(1973)の警部役が見事で、死去の為「エクソシスト3」(1990)での同役が演じられなかったのが残念でなりません。
堅物で融通が利かず怒りっぽい、しかしその実部下思いの上司と言えばこの手の刑事物では必ず出てくるキャラクターですが、この「マンハッタン無宿」でコッブが演じる警部も(主人公の上司と言うわけではありませんが)同様のキャラクターで物語に深みを出していました。
ところでヒロイン役のスーザン・クラークよりもずっと魅力的な、時代を感じさせるヒッピー娘であり逃走犯の情婦を演じるティシャ・スターリングのコケティッシュな可愛さはなかなかに特筆物。でもって彼女が入り浸っているヒッピー達のゴーゴークラブの描写もまた時代を感じさせてくれて楽しいのですが、そのクラブの中で映写されているフィルムの中に一瞬イーストウッドが無名時代に出演した「タランチュラの襲撃」(1955)が映るのがちょいとニヤリとさせてくれました。
しかし・・・裏で「ハリーポッターと賢者の石」(2001)を放送しているというのに、わざわざこっちを見ている人なんてそんなに居ないのだろうなぁ(笑)。
放送記録:2005年11月23日PM7:30~9:15サンTV「シネマ・スタジアム」
ジブリ作品、「千と千尋の神隠し」(2001)以降劇場に観に行かなくなりました。まぁそれは作品云々の問題よりも、今のジブリの拝金主義的な部分が気に入らないというのが大きいです。例えば今回出た「ハウルの動く城」のDVDにやたらとヴァージョンが多く(5種類? 6種類?)、本編ディスクの仕様も一部違っているので全ヴァージョン&特典全てを見ようと思ったら2種類は買わないといけないようになってるとか、「千と千尋の神隠し」のDVDは明らかに色がおかしいのに異常なしと言い切るとか。公開数日で制作費を回収して大儲けしているのにジブリ作品のDVDの値段設定がやたらと高いというのも、どこまで儲けたいのかと言いたくもなります。
特に、「千と千尋の神隠し」に関しては大好きな作品だけにDVD買ってもいいと思っていただけに、あの赤い画面には盛大にガッカリさせてもらいました。綺麗な画面で出し直してくれればこんどこそ飼いたいと思うのですが、近所のレコード店にいまだ「猫の恩返し」(2002)の劇場割引券付き初版が売っていたりするので無理でしょうね。
「千と千尋」のDVDって(赤いにもかかわらず)めちゃくちゃ売れたはずなんですけど、いったいどれだけ作っていたのかと。
明らかな不良品を売ったり、同じ作品をいろいろなヴァージョンで売ったり、それでも熱心なファンは買っちゃうんですよね。こうしたジブリ信者宮崎信者をお金としか見ていないやり方には腹立たしさを感じます。まぁ、信者と書いて儲けと読んでいるのかもしれませんが(笑)。
どうしてファンをないがしろにするような体質になってしまったのか。同じく拝金主義に染まっている今のディズニーの影響か、あるいはあの目立ちたがりの胡散臭い鈴木某プロデューサーに問題あるのかなぁと思ったり。宮崎監督自身はそういったことには首を突っ込まず、ただ自分が作りたい作品を自由に作れる環境さえあれば満足なんだろうなぁ。まぁあくまで想像です(笑)。でも本当にファンを大事にする気持ちがあるのなら今の体質を変えていって欲しいと、これはファンの一人として願います。
で、
「ハウルの動く城」(2004)
HOWL'S MOVING CASTLE
劇場公開時あまり良い評判を聞かなかったもので、まぁTV放送かレンタルでいいかという感じで見逃していたのですが、この度DVDが出ましたので鑑賞。普通に面白く見ることができました。
公開前から心配されていた木村拓哉さんと倍賞千恵子さんの声の出演は思っていたより悪くありませんでした。映像も「千と千尋」ほどの密度は感じられないものの流石という感じ。CGモーフィングの多用が少しばかり気になりましたが。物語も原作ファンには不評だと聞きますが、原作未読者の私としてはこれはこれで良しといったところです。
ただ、見終わっての印象は「記憶に残らない作品だなぁ」でした。
自分に自信の持てない少女ソフィと子供の心のまま成長した魔法使いの青年ハウルの恋を中心に据えた物語は良かったと思います。しかしその恋も、二人を取り巻くドラマも全ての描写が薄く説得力を持たすに至っていません。主人公二人を含む登場人物全般に渡って心情描写が(おそらくはあえて)ほとんど描かれないのも演出としてはわかるのですが、映像でそれをカバーするところまで至っていないのも厳しいところです。だからソフィの恋愛感情が唐突にも見えるし、物語後半それぞれに呪いの魔法をかけられた人々が共同生活し、最終的に互いの呪いをとき合う本来なら感動的な展開にもカタルシスはありません。ドラマの重要なバックグラウンドである戦争に関しても踏み込みが甘く、おそらくすさまじい数の戦死者(それも多くの一般市民を巻き込んでの)を出しているだろうにその痛みは伝わってこず、戦争ごっこにしか見えません。(だいたいラストのサリマンの「戦争をやめましょう」って台詞は何なのか。そんなに軽い描写をされると物語の色づけ程度のものとしか見れなくなりますって)
まぁ監督としてはそういう部分はどうでもよかったのだと思いますが。
深みはないがサラリと見られる映画。見ている間はそれなりに満足できて、その後記憶から消えていく映画。そんなタイプの映画ですし、それでいいとも思います。宮崎監督としてはある種今までと違う脱構築な作品を作りたかったのだろうなぁ。でも、正直言ってあまり成功はしていなかったようです。
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