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以前に放送した時には見逃してしまっていたので改めて鑑賞です。
「女優霊」(1995)や「リング」(1998)で大層怖がらせてくれた中田秀夫監督作品ですが、「リング2」(1999)のメタメタさにかなり失望していたのでまぁ期待半分くらいの覚悟で見ました。
「仄暗い水の底から」(2001)
さりげない日常の中での不気味な雰囲気を描写する演出は流石ですね。でも、一つ一つのドラマがその雰囲気を裏打ちするリアルさに欠けていたのがどうにも最後まで気になってしまいました。
例えばすぐにでも母娘で暮らす住居が必要だと言いながら「来週内装します」というリフォーム前のマンションに決めたこと。あれほど目立つ天井のシミに気づかないほど、まるでまともにチェックしない黒木瞳。あれほどポタポタと滴が垂れているなら速攻で不動産屋を怒鳴りつけてでも呼び出すところなのに、それもせずただ我慢。管理人の無能ぶりにもただ我慢。
まぁどこまでが必要な描写か不必要な描写かは難しいところですが、こういった部分を見る者に不自然と感じさせないのがリアル感を高めるためには重要だと思うのですけどね。
おそらく監督さんとしては黒木瞳さん演じる主人公の病的とも言えるおどおどぶりで説明したかったのだろうと思うのですが、その主人公のおどおどぶりがまたやりすぎ感が強すぎです。怪異現象や幽霊に出合う前からあの病的な雰囲気では、娘は父親と暮らす方が幸せそうだと視聴者は思ってしまいますよ。特に夫婦離婚の原因が描写されていないだけに。
ついでに、定期的に点検清掃を業者が行っている貯水槽の中の死体が何年も発見されなかった理由も気になるところです。
さて物語の方ですが、こちらもどうもピリッとしません。「マンションの貯水槽には死体が浮かんでいる」という有名な都市伝説から生まれた物語なのでしょうが、それ以外にも様々なところからの寄せ集めドラマという印象が強く感じら、ドラマそのものが非常に薄いのですね。
水の中で溺れた子供が幽霊となって(あるいは実は生きていて)現れるというのは、クライマックスで姿を現す少女のおどろおどろしいメイクアップも含めて「13日の金曜日」(1980)を意識していると思われます。貯水槽が内側からボコボコと盛り上がる力強さもジェイソンならともかく少女の霊の仕業としては不自然ですし。
やはりクライマックス、エレベーターの開いた扉から濁流となって汚水が噴き出す意味不明のシーンは「シャイニング」(1980)へのオマージュのつもりでしょうか。
水道の水に混じって髪の毛が出てくる、上の階の部屋が水浸しになっている、等々一つ一つのシーンは怖いのにそれらの描写が映画の中で一つにまとまらずに散漫な印象となるのも勿体ないなぁと。
あ、でも我が子を連れて逃げたはずなのに開いた扉の向こうからその子が出てくるという最大の見せ場はかなーり本気で驚いてしまいました。しかしこのシーンでCMを入れるTV局のセンスの無さにも驚かされましたが(笑)。
母親の愛を求める幽霊少女から我が子を守るため(同時に少女への同情心もあったのか)自ら犠牲になる主人公。ここらへんも上手くやれば感動的なシーンになるはずなのですが、そこに至るまでの少女の想いの強さが描かれていないためあまりに唐突でこれまた勿体ないと思わされました。
でラスト、いきなり10年後の成長した娘が登場する以降のシーンですが、無理矢理感動させたい感が強く、娘の独白も練り込まれていないため蛇足としか思えませんでした。
全体としては素材は良いのに生かし切れなかった残念な作品といった印象です。
ついでに、マンションの内部が悲しいほどにセット丸出しだったのも興ざめでしたねぇ。
さてさて、現在ハリウッドリメイク版の「ダーク・ウォーター」(2004)が公開中ですが、こちらはどんな感じなのでしょう。予告を見る限りではなかなか怖そうですけどね。主演のジェニファー・コネリーは「フェノミナ」(1984)で見た時そのあまりの可愛さに呆然としただけに、(歳を取ってもやはり美しいとはいえ)今の彼女を見るのはちょっと辛いものがありますけどね。
放送記録:2005年11月25日PM9:30~11:25読売TV「金曜ロードショウ」
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