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映画のコトやら何やら綴りませう
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軽快にして脳天気、低予算映画の見本みたいなモンスターパニックの傑作「トレマーズ」(1990)は大好きな映画です。後に続編が作られましたがあまり芳しい評価を聞かなかったこともあり、またTV放送がウチの地方では無かった(いや、あったけど見落としていただけかも)ために未見のままでした。
今回B級映画ファンにはありがたいサンTV映画枠での放送があったので鑑賞。

「トレマーズ2 グラボイズの逆襲」(1995)
TOREMORS II: AFTERSHOCKS

メキシコ国境近くの砂漠にグラボイズが大量に発生、油田基地の作業員が喰われた。そこで油田会社は専門家に退治を依頼したのだった。

まぁそんなわけで1作目の主人公(ケビン・ベーコン)の相棒だったアールがグラボイズ退治の専門家として現地に向かうわけですね。
前作に引き続いてアールを演じるフレッド・ウォードは華のないことおびただしいおじさんですが、本作ののんびりした雰囲気にはそぐわしい。陽気なBGMに乗って荒野でボッカンボッカン怪物を爆破していく前半は緊張感も皆無でほのぼのした空気が流れます。
て言うか、そのまま最後まで緊張感らしい緊張感は無いんですけどね。
新種のグラボイズを登場させて新味を出しつつも前作の味を継承した、まこと正しい続編の姿であったと思います。

流石にフレッド・ウォード一人で映画を持たすのはキツイと思ったのか、中盤からは前作の銃器マニア夫婦の旦那の方が参戦。出来れば今回も夫婦揃って出ていただきたかったですねぇ。やはり前作に引き続いてこのバートを演じるのはマイケル・グロス。やたらとテンションが高くて頼りになるオッサンです(笑)。
バートが様々な武器を駆使して新種グラボイズを粉砕していく姿は、見ていてなんともスカッとさせられます。ただ、あまりにテンション高すぎてすっかり主役を食ってしまうのが(これも前作通りですが)、フレッド・ウォードには気の毒ではありました。

まぁとにかく、前作に勝っている部分はありませんが正しい続編という意味で、また本作がTVムービーとして作られたということに驚くほどに良くできた映画でした。「トレマーズ」好きとしては十分に見る価値はあったかと。
現在シリーズは4作まで作られているわけですが、残りの2本も見てみたくなってきましたね。3~4作目ではバートが主役として大活躍してるみたいですし。

放送記録:2006年01月18日PM7:30~9:15サンTV「シネマスタジアム」

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かつて残虐な殺人事件が起こった時、度々ホラー映画がやり玉に挙がっては新作画日本公開されなくなったりしたものです。昨今はJホラーのブームもあったりして、まぁ相変わらずTVの洋画劇場枠では放送されませんが、少なくとも劇場公開やDVD化は普通に出来るようになって良かった良かったと。
で、ちまたでちょっと話題になっている近日公開のサスペンス・ホラー作品をご紹介。
その名も・・・

「変態村」(2004)

です。

何が凄いと言って、このタイトルのインパクトが凄い。なにしろ「変態村」ですよ「変態村」。
原題は「CALVAIRE」で、キリストが処刑されたゴルゴダの丘や路傍の十字架を意味する言葉だそうですが、それが何故か日本でのタイトルは「変態村」(笑)。
このタイトルセンスは素晴らしい。
例えばですよ、残念ながら本作の公開は東京のライズXとかいう劇場のみの単館ロードショーですが、これがもしシネコンなどでの公開だったとしたら・・・

「すみません、11時20分からの『変態村』、大人1枚お願いします」
「はい、11時20分からの『変態村』を1枚ですね。お席はどの辺りをお取りしましょうか?」
「そうですね、やはり『変態村』を観るなら前の方がいいと思うんで、A列かB列あたりでお願いします」
「はい、それでは『変態村』A列の8番が空いていますのでお取り致します」
ビ~~~~
「ただ今より予告に引き続き『変態村』を上映致します。どちら様も最後までごゆっくりと『変態村』をご鑑賞下さい」

などという楽しい状況がそこここで見られたわけですよ、「変態村」。
チケット買うのも勇気いるよね、「変態村」。
しかしまぁタイトルだけの話ではなく、内容も面白そうなんですよね、「変態村」は。

一人の若者が旅の途中、自動車の故障で人里離れた小さな村に彷徨い込むこととなる。
そこは「変態村」だった。

えーと・・・(笑)。
日本のオフィシャルサイトではまだ見られませんが、海外のサイトで予告編を見るとかなり怖そうで興味をそそるのですよね。H・G・ルイス監督の傑作「2000人の狂人」(1964)を思わせる設定ですが、ジャンル的にはサイコ・サスペンスといった感じでしょうか。はっきり言って面白そうです。
東京での単館ロードショーということで残念ながら劇場で観ることは出来なさそうですが、DVD化されたらぜひ観てみたいと思います。

「変態村」CALVAIRE
フランス、ベルギー、ルクセンブルグ合作。

日本OHP:http://www.hentai-mura.com/
海外OHP:http://www.calvaire.co.uk/


さてもう一本。
昨年ようやく日本でも公開された「キャビン・フィーバー」(2002)でデビューして話題になったイーライ・ロス監督の最新作「Hostel」(2006)です。
デビュー作同様に低予算のホラー映画と思われますが、年明けに全米公開され、いきなり「キングコング」(2005)「ナルニア国物語」(2005)といった大作を押さえてその週の興行成績トップに立ったことで注目を集めています。まぁ2週目で5位あたりに落ちたみたいですけど、それでもかなりのヒット作になることは確かでしょう。
正直言って「キャビン・フィーバー」はそんなに良い作品とは思いませんでした。ただ新人監督のデビュー作と考えればレベルは高いとも思いましたし、その容赦のない残虐描写も評価できるものでした。
新作「Hostel」もかなり情け容赦のない作品に仕上がっていると聞きます。「キャビン・フィーバー」からどのように化けたのか、興味あるところです。

ただ・・・「キャビン・フィーバー」も日本ではまともに劇場公開されなかったわけで、「Hostel」の日本公開があるのかどうかは心配ですね。米で無事ヒットしてくれれば大丈夫だとは思うのですが。


話変わって、
ホラーではないのですが最近ちまたで話題になっている映画。

「尻怪獣アスラ」(2004)

「良いのはパッケージアートだけ」で有名な、悪名高きアルバトロス・フィルムからDVDが発売されたと言うだけでもう、どうにもならない映画だと予想されます(笑)。
ただ予告編を見ると小美人の歌うアスラの歌や(恐ろしくショボイけど)都市破壊シーンなど東宝特撮映画に勝手にオマージュを捧げまくっているようなので、ちょっとだけ興味あり。でも金払ってまで見る勇気はなかなかわかないですけどね(笑)。
とりあえず予告だけでも見て、その後はご自分で判断を。

「尻怪獣アスラ」DVD情報(予告編あり)
http://www.albatros-film.com/title.phtml?titleid=215



ところでアニメの「BLEACH」ですが、今日の放送からオリジナル展開に入りました。
実のところあまり期待していなかったのですが、今日のに限って言えば今のグダグダな原作をアニメ化するよりははるかにマシだったかと。いやいや、なかなか面白く見られましたよ。これまでの作品世界にそぐわない新キャラデザインも新味があって悪くなし。
とりあえず今後に期待。これから最低半年以上はオリジナル展開で繋いで原作が溜まるのを待つということですが、今のアニメ「NARUTO」みたいなアレなことにならないよう祈ります。

とにかく派手、かつ大味なスパイアクションでした。

「007 ダイ・アナザー・デイ」(2002)
DIE ANOTHER DAY

なんつーか、一昨日見た「トリプルX」と同じ年の制作なんですけど、見終わった印象が似たり寄ったりで困ってしまいます。
まぁ今作に限った話ではなく、007シリーズもすっかりそこらのアクション映画のパターンに飲み込まれてしまったようで。確かに周りのアクション映画がどんどん派手になって007に追いついてきたというところはあるわけですが、007ならではの味や洗練されたオシャレ感が無くなってしまったのが寂しい。普通のアクション映画として見れば並以上に面白いのは確かなんですけどね、それだけじゃ007である意味がない。
それと、不必要にハードなベッドシーンとか007に求めていませんから。

ボンドガールも(007シリーズ的に言えば)どんどんレベルが下がっているなぁと思いますよ。ハル・ベリーは女優としては好きな方ですが、ボンドガールとしてはなんともそぐわない。もう一人のロザムンド・パイクも含めて下品で愛嬌のないキャラクターに閉口します。まぁ80年代以降のこの手の映画のヒロインってのは「強い」「たくましい」女性が人気なのはわかりますがね、007くらいは見た人が憧れを抱けるようなヒロインでいて欲しい。
007というのは一種のお伽話的パターンであり、様式美が大事だと思うんですよね。世の中に迎合して、自ら007ならではの味を埋没させていってほしくないところですが。

さて物語は北朝鮮の将校が秘密裏に衛星兵器を作り上げ、クーデターを起こして韓国とその後ろにいるアメリカを粉砕しようとするお話。

公開当時北朝鮮が猛抗議をしたとかで話題になりましたねぇ。
しかし実際に見てみると、悪党として描かれるのはクーデターを起こした大佐とその取り巻きだけで、以外や北朝鮮そのものの描写はさほど悪い物ではありません。むしろ穏健派の将軍などは非常に理性的な人物として描かれていますし。
これに比べれば冷戦時代のソ連とか戦争映画のドイツなんかの描写はまさしく鬼畜。

ついでに当時は韓国も、映画終盤の農村の描写がまるで発展途上国のようだと抗議したそうでした。農民の人が水牛を引いているところにランボルギーニが落ちてきて水田に突き刺さってるというシーンですが、制作側としてはランボルギーニのエンブレムが水牛をデザインしているからというシャレのつもりだったそうで。ちょっと分かりにくいね(笑)。しかしそれはそれとしても抗議が好きだなぁ、あっちの人は。

しかし今回この映画を日曜洋画劇場で放送したというのはかなり意外でした。TV朝日と言えば中国、韓国、北朝鮮のご用メディアとして有名なわけで、そこで「北朝鮮や韓国が抗議した」映画を放送するのは勇気がいることだったと思います。
そしてその結果、舞台が北朝鮮や韓国だと思わせるようなセリフは全てカット。本来なら場面変更の際には出るはずのテロップも無し。舞台がキューバに移るとしっかりテロップ出るのにね。もちろん軍服などの知識が有れば画面からわかるのですが、そういう知識が無ければどこの国かわからないという仕掛け。
そのくせ、「日本は虫けらだ」なんてセリフはしっかり残ってるわけで・・・

流石です朝日さん。

そしてだめ押しに映画の後に出たテロップ。
「この映画はフィクションであり、実在のものとは関係ありません」とかなんとか。
思わず爆笑してしまいました。
今まで実在の国が悪役に描かれている映画を散々流してきても、こーんなテロップ入れたことは一度も無かったのに~(笑)。
そこまでビビッて気を遣いまくるなら、最初から放送しなければいいのにね。
朝日といえば以前の「パール・ハーバー」(2001)の放送も酷かったですね。音声弄って日本兵がハワイの一般人を気遣うシーンを消したり、元々悪意のこもった映画でしたがそれ以上に日本を極悪に描くことに腐心していました。

朝日さん、これからも中国韓国北朝鮮のため反日頑張ってください。

っと、話が映画からずれてしまいましたが、
いろいろ言いつつも007は子供の頃から大好きなシリーズでしたし、これからも続いて欲しいとは思っています。
毎回新作作ってるという話を聞く度に楽しみにしているんですよ、いや本当に。愉快なスパイ道具なんかを見るのも好きなのですが、でも透明自動車みたいな(こういうのが研究されていることは知っていますが、まだまだ実用化は無理みたいな)リアル感の欠ける代物は勘弁してください。
リアルと非リアルの狭間を上手く映像化しているような雰囲気がいいんですよねぇ。

放送記録:2006年01月15日PM9:00~11:25ABCTV「日曜洋画劇場」

とにかく派手、かつ大味なスパイアクションでした。

「トリプルX」(2002)
XXX

て、もう書くことも無いんですけど(笑)。

まぁ前半はわりと真面目なスパイ物と思いきや、後半は世界の壊滅なんて話になって007調。主人公も場当たり的な活躍で危機を切り抜け、めでたしめでたしです。
しばらくすると内容をすっかり忘れてしまいそうなタイプの作品ですが、とりあえず見ている間は楽しめたのでOK。

監督は大味アクション大作ならまかせとけのロブ・コーエンですね。昨年は「ステルス」(2005)なんてのもありましたが(未見)、「ドラゴン・ハート」(1996)とか結構好きです。

ところで本作のヒロインはアーシア・アルジェントでしたね。イタリア・ホラーの奇才ダリオ・アルジェントの娘さんで、子役時代はめちゃくちゃ可愛かったのですがすっかり色っぽくなってしまいました。もちろん美人なのですが、どうにもお父さんの面影が色濃く出てきているのが良かったのか悪かったのか(笑)。
アーシアの出演最新作「ランド・オブ・ザ・デッド」(2005)についても近いうちに。

放送記録:2006年01月13日PM9:00~11:25読売TV「金曜ロードショー」

と言うわけで、
昨年のTV放送が見れなかったので、正月に改めて鑑賞。

「猫の恩返し」(2002)
THE CAT RETURNS

0601ongaeshi01 これは秀作「耳をすませば」(1995)の番外編と言いますか、同作のヒロイン雫が劇中で書いていた小説の映画化という設定でしたっけ。すっかり大艦巨砲主義となっているジブリ作品の中で極めて小品であり、娯楽に徹した作品でもありました。
結論から言いますと、とても楽しく良くできた作品でした。

女子高生ハルはある日一匹の猫を助けたことで不思議な世界をかいま見ることとなる。猫たちの恩返しは、まことにありがた迷惑なものであった。

昨今の宮崎駿監督作品とは違って肩肘の張らないドタバタコメディは心地良いものでした。状況に安易に流されるヒロインの何も考えてない感も作品に合ったキャラクターで、作品全体にどこか現実味のないファンタジックな風味を与えています。まぁここら辺が本作に対する賛否の元ともなっていると思いますが、個人的にはハルの大きな魅力となっていたと思いますよ。

やもすれば押しつけがましく感じるような問題意識を廃し、スラップスティックに徹した内容は75分程度という短い上映時間もあってスピーディに展開。特に「長靴をはいた猫」(1969)を意識したであろうクライマックスの塔の螺旋階段での追いかけっこなどは「まんが映画」を見ているような懐かしい楽しさに満ちています。
ジブリには大作の合間にでも、これからもこういう出来の良い小品を作っていただきたいものです。

ですが・・・たぶんもう無理なんでしょうね。
今のジブリは常に大ヒット作を作らねばならない状況に置かれています。つまり宮崎駿監督作品が常に望まれ、宮崎駿監督作品でなくてはスポンサーも乗り気にならない。そして本「猫の恩返し」の成績が今一つだったことで更にそういう状況が加速されたわけです。
本作の森田宏幸監督にとってはまことに気の毒な状況であったと思いますし、ジブリが後進の育成を決定的に怠っていたツケが回ってきた感じです。宮崎監督の最大の後継者と目されていた「耳をすませば」の近藤喜文監督が1998年に若くして亡くなられたのも本当に惜しまれます。

ジブリ作品だからといって、それだけで大ヒットするわけではない。そのことが明らかになりました。
観客はジブリ作品だから見に行くのではなく、宮崎駿監督作品を望んでいる。
・宮崎監督作品ではない。
・キャラクターデザインがこれまでのジブリ作品と比べて違和感がある。
・大作ではない。
・併映(「ギブリーズ episode 2」)が面白く無さそう。
「猫の恩返し」にとっては厳しすぎる条件が整っていました。

しかし数年前から宮崎駿監督が引退をほのめかしている現状で、ジブリは生き残りをかけた後継者探しに躍起になっています。本年公開予定のジブリ最新作は大作ファンタジー作品となる「ゲド戦記」ですが、昨年12月に正式発表された監督には目を疑いました。

宮崎吾朗 第一回監督作品。

宮崎駿監督の息子さんである吾朗氏は、そのプロフィールを見ても分かるとおりこれまでアニメ制作に関わったことのない方です。それがいきなりジブリの大作映画の監督とはどういうことでしょう。しかも「ゲド戦記」と言えばファンタジー小説好きの間でも熱狂的なファンの多い作品であるため、この発表に不安を感じたファンの人も多いと思います。

実を言えば私自身は映画「ゲド戦記」の出来にさほどの不安は感じていません。優秀なスタッフの多いジブリのことですから、誰が監督をしたところで水準以上の作品を作り上げるだろうことは想像に難くありません。「ゲド戦記」も長大な原作ですから「ハウルの動く城」(2004)のように原作を下敷きにして大幅な改編やオリジナルな展開をして一部ファンを嘆かせることがあったとしても、作品そのものの完成度は高い物になると信じています。
ですが宮崎吾朗氏にとって初監督作でジブリ大作の監督をするということは決して良いこととは思えません。「ゲド戦記」が失敗すれば、やはり素人ではと言われ、親の七光り監督と言われるでしょう。成功してもそれはジブリのスタッフのおかげと言われ、どちらにしても宮崎吾朗氏にとっては厳しい評価がなされることになると思われます。
吾朗氏の演出家としての才能は未知数で、それこそやってみなければ分からないというところでしょう。個人的には誰が監督しようが「面白ければ」問題はないんですけどね・・・。でも、今回のジブリの人選には疑問を感じます。ジブリにも有能な演出家は多数居るはずなのにもかかわらず、まったくの素人を持ってきたこと。これはつまり「実」より「名」を取ったということであまり良い印象はありません。またジブリの演出家以下、多くのスタッフにとっても面白くないことではないでしょうか。
この時、ジブリの崩壊が始まっていた・・・と後の世で言われないことを祈るばかりです。

さて、宮崎吾朗氏の監督日誌によると氏が「ゲド戦記」の監督に就くことを父親の宮崎駿監督は反対だったとのこと。
では誰が吾朗氏を監督の座に押し上げたのかと言えば、それはもちろん悪名高きプロデューサーの鈴木敏夫氏であるわけです。ジブリ存続のためになりふり構わず活動する氏の姿は企業トップとしては不思議はないのかも知れませんが、そのあまりにも映画への愛の無さは一ジブリファンとしては暗たんたる気分にもなります。
そう言えば「猫の恩返し」の併映作「ギブリーズ episode 2」は鈴木氏の落書きからスタートした実験作でしたね。いったいどういう経緯で映画になったのか知りませんし、その技術的な凄さは認めるものの、ああいう「猫の恩返し」とまったく方向性の違う実験的作品を無理に併映にして金を取るというのはどうにも納得のいかないものがありました。

と言うわけで見ました。

「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」(2004)
HARRY POTTER AND THE PRISONER OF AZKABAN

現在4作目の「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」(2005)が公開中の「ハリー・ポッター」シリーズはそもそも第1作「ハリー・ポッターと賢者の石」(2001)でファミリー向けファンタジー映画としての出来の良さに感心し、第2作「ハリー・ポッターと秘密の部屋」(2002)で早くもマンネリ感に囚われ、少なからず興味を失っていました。原作未読者としてはその余りにダイジェスト然とした作りも好感触とは言えませんでしたし。

で、第3作目。
最大の興味はゲイリー・オールドマンの出演でしょうか。それと予告編からも伝わるこれまでにないダーク・ファンタジー的な雰囲気。第1作目時に最大の関心事(笑)であったハーマイオニーの可愛らしさは成長と共にすでに無く、それ以前に作品中のキャラクターとしても影が薄くなってしまって登場人物の一人に過ぎなくなってしまったのはまことに残念であります。
しかしその期待のゲイリー・オールドマンですが、どうにもつまらない役を引き受けたなぁという印象です。別にオールドマンを善人として使うのはいいけれど、それならそれでもっと上手い見せ方もあっただろうにと勿体なく思います。そしてオールドマンほどの役者を出演させるなら、本来ならポッター最大の凶悪な敵くらいやらせて欲しかったとも思います。

物語は予想通りダークな雰囲気が強く画面も暗く沈んでいます。しかしそのわりにドラマはあまりに子供っぽ過ぎるし、逆に子供が見るには陰湿で暗い物語に思えます。例によってのダイジェスト感も相まって、終始中途半端な印象が強い作品に仕上がっていました。シリーズ通してですが、何か起きるとさして伏線も無いまま便利アイテムや便利魔法が登場するのも唐突感が強いですし。
一般のレビューなどを読むと、やはり原作をはしょりすぎで説明不足という感想が目立ちますね。結局は1本の映画にまとめるだけの力量不足というところなのでしょう。

そもそもファンタジーとしては特にオリジナリティのある物語でもないわけで、そこで原作のダイジェスト的映画化でOKという感性ではこんなものだったのかもしれません。

「ハリー・ポッター」の映画は年に一度のお祭りであるとも思います。そういう意味では映画化されたことそのものが重要であるのでしょう。しかしそこに高い映画の完成度があれば本当に文句なしだったのにと思うと残念ではあります。

何度も何度も見ているのに、TVで放送しているとついまた見てしまう。そんな映画って結構ありますが、これもその一本です。
先日「エイリアンVSプレデター」(2004)を見たばかりでもあり、タイミングの良い放送でした。

「プレデター」(1987)
PREDATOR

predator01 名匠ジョン・マクティアナン監督の出世作。ですが、この翌年の「ダイハード」(1988)であれほどの傑作をものにするとは読めない、本作はまぁ典型的なB級アクション作品であります。
とは言えアーノルド・シュワルツェネッガーやカール・ウェザース始めとする出演陣も良く、大作の風格も持っています。そして何より面白い。

誘拐された要人救出のため、ダッチ隊長率いる特殊部隊は南米のジャングルに潜入。人質は殺されていたもののゲリラの本拠を殲滅した一行。しかし彼らの前に想像を絶する敵が現れたのでした。カメレオンのようにジャングルに溶け込み、強力な武器を駆使する謎の怪物。隊員は一人また一人と殺され、最後に残ったダッチは単身怪物に戦いを挑むのでした。

ジャングルに潜む怪物と戦闘のプロ達の戦いを描くストーリーはこれ以上はないほど単純明快です。人間ドラマ的な部分が特に掘り下げられることもなく、ただただ戦闘シーンのつるべ打ちだけでここまで面白く見せてしまうのは監督の腕というところですね。ただ本音を言えばその人間ドラマの弱さが非常に残念な部分でもあるわけですが。キャラクター的に面白いと思っていたインディアン系の隊員が単身謎の敵に挑むシーン。銃を捨て、部族に伝わる(のだろう)戦いの儀式をして待ちかまえる場面は見ているこちらも気持ちが高揚してきます。ところがその後戦うシーンどころか倒されるシーンも映像で見せてくれず、ただ遠くから聞こえてくる悲鳴だけで処理されてしまうのは何度見ても勿体なく思えるのですよね。ゲリラの女性ももう少し良い使い方はなかったのかとも思います。
前半であっけなく部隊は全滅し、シュワルツェネッガー扮するダッチ隊長とプレデターの一騎打ちに持ち込まれる展開についてはシュワルツェネッガー主演が最大の売りであった本作としては正しい作り方でしょう。多数の火器を備えた特殊部隊vsプレデターの戦いから、武器を失って素手で挑むシュワルツェネッガーvsプレデターへの流れはワクワクさせられます。ただここでも、前半で特殊部隊の凄さをもっと描写されていたなら全滅に至る展開により面白みが出ただろうと残念ではあります。

より強敵と戦って倒し、その頭蓋骨をコレクションすることに喜びを覚えるハンター宇宙人というプレデターの設定は公開当時とても目新しいものでした。過去地球侵略にやってくる異星人は無数にいましたが、ただ強力な獲物を求めてハンティングにやってくるという宇宙人は初めてでした。その後だかにTV洋画劇場で見た「吸血エイリアン・宇宙からの警告」(ビデオ題「ニンジャリアン」1979)もそんな設定だったという気がしますし、制作年も「プレデター」より前なのですが、しかしこちらはどうにも褒めどころのない作品でした。
一方の特殊部隊も殺人と戦闘のプロ。ハンターとプロの戦闘集団の戦い。そしてその中でも図抜けた戦闘能力を持ったシュワルツェネッガーとハンターの一騎打ちは興奮を呼びます。これはまさしく設定の勝利。そしてまだ荒削りではあるけれどマクティアナン監督の演出力ゆえの完成度でありました。

ところで本作で個人的に一番楽しかったシーン。
隊員のブレイン(ジェシー・ベンチュラ)がプレデターに倒され、復讐に燃える黒人隊員マック(ビル・デューク)がブレインの持っていたミニ・ガンを抱えてジャングルに向かって乱射しまくる。強力なミニ・ガンの威力でみるみるうちに樹木がなぎ倒されて鬱そうとしたジャングルの中にぽっかりと空き地が出来上がるというシーンです。
当時はミニ・ガンというものの存在は知らずに映画オリジナルの火器かと思っていたものですが、通常は戦闘ヘリなどに搭載するこの強力なガトリング銃を携帯用に改造して撃ちまくる光景は見ていて感動的ですらあったものでした。
このミニ・ガン、今回放送の吹き替えではチェーン・ガンと呼称していましたが、劇場公開時の字幕「無痛ガン」という呼び名が好きでした。

放送記録:2005年12月29日PM9:00~10:55TV大阪「木曜洋画劇場」

ランス・ヘンリクセンは好きな俳優さんです。
頬に刻まれた深い皺が特徴的な渋いおじさんで、そのどちらかと言えば悪役とか陰気な役が似合いそうな風貌は名優ピーター・カッシングも思わせます。
古くは「未知との遭遇」(1977)や「オーメン2」(1978)「ラスト・スタッフ」(1983)などに脇役で出演し、キャメロン監督の「殺人魚フライングキラー」(1981)では主演もしていますが、やはり何と言ってもヘンリクセンさんの存在感を強烈に印象づけたのは「エイリアン2」(1986)でのアンドロイド・ビショップ役でした。
以降主演した「パンプキンヘッド」(1988)を含め、出演作はどうにもB級作品ばかりでまともな作品で巡り会うことができずにいたわけですが、ジャン・クロード・バンダム主演の「ハードターゲット」(1993)での強烈な悪役ぶりは嬉しい再会でしたし、サム・ライミ監督の「クイック&デッド」(1995)での詐欺師ガンマンも印象的でした。
そして何よりの贈り物はTVシリーズ「ミレニアム」(1996~98)で主人公を演じたことでしょう。近年のSFホラーTVシリーズの傑作でありました。

さて、昨年本作の予告編を見た時に感じたのは、「パンプキンヘッド」以来のヘンリクセンさん主演映画が見られるのかという喜びでした。今作が未来の話であった「エイリアン」シリーズに繋がる話である以上、ヘンリクセンさん扮するウェイランド社長が主役である以外に考えられないと思いこんだのですね。未来のウェイランド社がいかにしてエイリアン捕獲に拘るようになったのか、その答えが描かれると。

「エイリアンVSプレデター」(2004)
ALIEN VS PREDATOR

監督はB級SFホラーなら任せとけ、のポール・アンダーソン。
「イベント・ホライゾン」(1997)は安いながらかなーり怖かったですし、「バイオハザード」(2001)も安いながら楽しめる作品でした。その内容の無さやドラマの整合性云々が取りざたされたりもする監督さんですが、いやいやそう言う部分を差し置いても娯楽性を追求するのがこの人のスタイルでしょうし、まぁ楽しめた者勝ちってとこです。
とは言うもののアンダーソン監督が「エイリアンVSプレデター」の監督に決まったときは不安もありました。リドリー・スコット監督の第一作「エイリアン」(1979)が自分の中での「エイリアン」の基準になっていますし、はたまたキャメロン監督の「エイリアン2」のような骨太なアクション映画もアンダーソン監督には荷が重そうです。

まぁでもそこはそれ、頭を切り換えて見ることにしましょう(笑)。
そもそも古くは「キングコング対ゴジラ」(1962)や「ドラキュラ対フランケンシュタイン」(1971)、近年の「フレディVSジェイソン」(2003)に至るまで、有名モンスター同士の対決モノというのは一つのお祭りなんですよね。内容はどうあれヒーローモンスターそれぞれに見せ場があって、ワクワクするような対決があって、上映時間内楽しめればそれでOKというタイプの。
そういう意味ではアンダーソン監督の起用は悪くなく思えてきます。

というわけで本編ですが、予想通りと言いますか実にアンダーソン監督らしい「内容は薄いが面白い」作品に仕上がっていました。
ヘンリクセンさん扮するウェイランド社長が単なる一犠牲者で終わって「エイリアン」シリーズに続く部分がまるでなかったのは肩すかしでしたが、人間キャラが多数出てくるわりにドラマらしいドラマも無くあっさりと前半でヒロインを残して全滅するあたりは予想の範囲内というところでしょう。後はひたすらエイリアンとプレデターの戦いが描かれ、正直戦うヒロインの存在すらいらないなぁ、と(笑)。
CG特撮の進歩でエイリアンの群れが派手に暴れ回るのも、プレデターがめったやたらに格好良く描かれているのもグッドです。しかし序盤で人間を殺しまくったプレデターを終盤ではあたかもヒーローのごとく描くのは(人間視点で見ると)ちょっとどうかと(笑)。まぁとにかく、クライマックスで危機に陥ったヒロインを助けるため(かどうか知りませんが)クイーンエイリアンの背後からジャンプ一閃躍りかかるシーンの格好良さは並大抵のものじゃありません。
初めてエイリアンとプレデター両者が相まみえるシーンもやはり両作のファンとしてはワクワクしちゃいますね。

まぁ「エイリアン」シリーズの最新作としても「プレデター」シリーズの最新作としても特に得るものはない内容ではありました。が、とりあえず楽しめたからそれで良し!です。

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