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映画のコトやら何やら綴りませう
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ゴジラ映画はお祭りでありました。と、幼少の頃に東宝チャンピオン祭りに胸ときめかした者として思います。子供にとって巨大な怪獣が画面狭しと暴れ回り、自衛隊の兵器がそれを迎え撃つ光景だけで満足できたものでした。そういう意味で、ゴジラファンにはとかく評判の悪い福田純監督の作品「地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン」(1972)や「ゴジラ対メカゴジラ」(1974)なども大好きな作品です。切りつめられた制作費の面とかで厳しい部分は多々あるものの、実際子供向けと了解した上で見ると面白く出来ているんですよね。(まぁさすがに「ゴジラ対メガロ」(1973)は子供心にもショボ過ぎると感じたものですが)
さて「メカゴジラの逆襲」(1975)で一旦途切れたシリーズが復活し、平成のVSシリーズが始まった時は期待しました。大森一樹監督は「オレンジロード急行」(1978)を見て以来自分の中で期待の監督でした。以降「ヒポクラテスたち」(1980)「すかんぴんウォーク」(1984)等期待を裏切らない作品を撮ってきた大森監督がぜひ撮ってみたいと公言していたのが「007」シリーズと「ゴジラ」シリーズであり、そのゴジラ映画を撮る夢が叶えられたことに大きな期待を寄せました。
しかし完成した「ゴジラVSビオランテ」(1989)は凡庸な出来で、続く「ゴジラVSキングギドラ」(1991)も美味しい設定をまるで生かせない勿体ない作品となりました。そして大森監督が降りた後もゴジラシリーズはマニア向けでも子供向けでもない中途半端な作品として量産され続けたのでした。

まぁここらへんのゴジラシリーズについては書きたいことは山ほどあるのですが、長くなるので省略。
ともあれ、当時映画館で睡魔に襲われることなどほとんど無かった私でしたが「ゴジラVSスペースゴジラ」(1994)「ゴジラVSデストロイア」(1995)「モスラ」(1996)と3年連続クライマックスでうとうとしてしまったほどの退屈さに失望し、これではもうTV放送を見ていれば十分だと翌年から東宝特撮映画を劇場に見に行くことをやめてしまいました。

で、

「ゴジラ FINAL WARS」(2004)
GODZILLA FINAL WARS

ついにシリーズ完結!
と言う宣伝文句はこれまで何度も聞かされているので頭から信じる気にはなりませんでしたが、監督に北村龍平、音楽にキース・エマーソン、そして独特のタイトルデザインで話題になっていたカイル・クーパーを起用するなどゴジラ映画らしからぬスタッフに興味をひかれました。さらに福田純監督的(チャンピオン祭的)作品に仕上がっているという評判にも期待が高まったものでした。

スピーディな展開は良し。それまでのいずれ劣らぬ凡庸な出来の平成シリーズに比べると、見ている間退屈しなかったという一点に置いても本作は優れていました。次々と登場する多数の怪獣もお祭り映画としては大正解でしょう。
しかし怪獣映画としては映像が軽すぎるのが気になります。登場する怪獣達には重量感も恐怖感も描かれず、ただ生活臭のしない都市を破壊するだけ。ゴジラと怪獣達の対決も見せ場らしい見せ場もなく、数を出し過ぎた怪獣の処理だけで精一杯という感じです。怪獣が大暴れしようが人類が絶滅の危機に瀕しようがまったく緊張感が画面から伝わってこないのは辛いところですね。あっという間に東京が(そしておそらく全世界の大都市が)廃墟と化しているところなど、かの「デビルマン」(2004)の唐突すぎる人類滅亡を彷彿とさせます。

北村監督のスタイリッシュなアクションは頻繁に登場。しかし全てどこかで見たような独創性のない映像です。というか映画全体にインスパイアだかパロディだかパクリだか分からないような小ネタが散りばめてあるのも気になるところです。何より取って付けたような軽々しい怪獣の対決シーンよりも人間同士のアクションシーンに明らかに力が入っているのがどうにもやり切れない気分にさせてくれます。意向が見えない多数登場する怪獣の選択や、例えば本来守り神なキングシーサーが沖縄を破壊するなど、監督には怪獣に対する思い入れが特に無いのだろうなぁと想像されます。北村監督にはゴジラよりも戦隊ヒーロー物やウルトラマンの方が向いていたのではないかと感じさせられました。
(とか言っていると、現在公開中のヒーロー特撮映画「超星艦隊セイザーX 戦え! 星の戦士たち」(2005)を大森一樹氏が監督していたりするのが皮肉なところですね)
しかし本作を見ていると評価されるほどに北村監督の演出力が高いとは思えないですね。アクションシーンのそこはかとなく漂うショボさは役者の力不足もあるのでしょうが、それ以上に例えば菊川怜の登場シーンのようなドラマを見せるシーンでの平坦な画面構成が気になって仕方ありませんでした。

役者についてはドン・フライが表情に凄みもあって意外や意外実に良し。宝田、佐原、水野のお歴々も流石に存在感を漂わせていましたが、今一つ作品の中で生かされていない脚本がオールドファンとしては少々残念。でも一番残念なのは菊川怜のヒロインにまったくもって魅力が感じられないところでしょうか。科学者という設定もほぼ意味無しでしたし、演技力にも疑問。
それにしても北村一輝のオーバーアクトぶりはどうでしょか(笑)。部分的に確かに面白くはあったのですが、彼の存在もまた映画を軽く見せるのに一役買っていたような気がしますよ。

とまぁそういうわけで「ゴジラ」シリーズも終わりです。他にヒットシリーズを持たない東宝ですし、おそらく数年後にまたシリーズ復活ということになりそうな気もしますが、まぁひとまずは終わりました。(ゴジラでなくても良いので、東宝特撮技術の継承のためにも特撮映画は作り続けて欲しいとは思いますが)
怪獣愛が感じられないのはまことに残念ではありましたが、お祭りの終幕にはある意味相応しいまとまりのない賑やかな作品であったと思います。

ところで今日の放送、エンドクレジットで「タイトルデザイン:カイル・クーパー」と堂々と出していましたが、そのOPタイトル部をばっさりとカットて・・・。

放送記録:2005年12月30日PM6:30~8:54TV大阪「怪獣キング決定戦・地上最強シネマスペシャル」


さてさて、とか書いているうちに日が変わり、もう大晦日になってしまいました。
いよいよ本年も終わりです。皆様良いお年を。そして来年もよろしくお願いいたします。

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