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ジミー・ウォングという役者さん、実は密かにブルース・リーやジャッキー・チェンと並ぶ香港アクションスターだと思っていたりするんです。まぁ確かに華のないルックスだし、アクションも今一なんですけどね。でも何かこう存在感みたいなのがあるな、と。
そのジミー・ウォングさん、「新座頭市 破れ!唐人剣」(1971)で勝新太郎の座頭市と対決したりもしてるわけですが、何と言っても代表作は「片腕ドラゴン」(1972)でしょう。悪漢に右腕を引きちぎられ、残った左腕を鍛えに鍛えて悪党どもを皆殺しにする伝説の映画です。
そしてその続編。
「片腕カンフー対空とぶギロチン」(1975)
ONE ARMED BOXER VS FLYING GUILLOTINE
前作でぶっ殺された悪漢のお師匠さん、空飛ぶギロチンを駆使する暗殺拳の使い手である盲目の神封が片腕ドラゴンへの復讐を誓うところから物語はスタート。一方の片腕ドラゴンはと言うと、道場を開いて後進の育成に当たっています。体を軽くする練習と称して天井を逆さまにすたすた歩いたりしていますが、ついて行ける弟子はいるのでしょうか。
さてその頃近くの町の道場が天下一武道会を開催すると言うので、片腕ドラゴンも弟子達を連れて見学に出かけます。ここからしばし、復讐話も片腕ドラゴンもそっちのけで武道会の描写が延々と続きます。映画としてのバランス悪いです(笑)。が、ここで描かれる異種格闘戦はこれはこれで楽しいのです。
中国拳法の多種流派に加えて、ムエタイにモンゴル相撲、インドからは自在に腕を伸ばすことの出来るヨガの達人、日本からはトンファを武器に戦う(笑)無剣流のサムライが参戦。それぞれが必殺の拳の使い手だけに敗者のほとんどが死に至る壮絶な対戦が主人公を無視して延々と続きます。
そこに突如乱入する神封。出場者の首をスパスパとギロチンで刎ねると片腕ドラゴンを殺すことを宣言するのでした。
さしもの片腕ドラゴンも恐るべき空飛ぶギロチンへの対処方を編み出せない中、神封の手下となったヨガ使いが道場を襲撃。すでにその名が中国全土に鳴り響いている片腕ドラゴンだけに、彼を倒して名を上げたいと考える武芸者も大勢いるようです。なんとかヨガ使いを倒した片腕ドラゴンは拠点を郊外の小屋に移し、そこでギロチンへの対処策を思いつくのでした。
刃物は竹に弱い!
神封を倒す前に邪魔な神封のもう一人の手下、ムエタイの達人を始末しなくてはなりません。彼はムエタイを小屋に誘い込むと小屋の周りに火を放ちます。小屋の床は鉄板に変えらており、それを炎が熱く熱するという仕掛けです。これでは常に裸足で行動していたムエタイはたまりません。慌てて小屋から逃げ出そうとするとドラゴンの弟子達が槍で邪魔をしてくるのです。いわば大きな猫じゃ猫じゃに追い込まれたようなものです。
手足が焼けただれる地獄のような苦しみの中、ムエタイはなすすべ無く片腕ドラゴンに殴り殺されました。
悪に勝つためならどんな卑劣な手でも使う片腕ドラゴン、恐ろしい男です。また無表情のまま淡々と相手を殺していくジミー・ウォングの(いつもの)芸風にゾッとするような狂気を感じる瞬間でもあります。
さて、片腕ドラゴンは自分の仕掛けたトラップにかかって神封に案内を頼まれただけの無関係な町人が爆死したことも意に介さず、いよいよ神封との一騎打ちに挑みます。
あらかじめ用意していた竹を神封の投げるギロチンで次々切らせる片腕ドラゴン。たちまちギロチンの歯は欠け、使い物にならなくなってしまいます。ギロチンを失った神封と、片腕ドラゴンの肉弾戦がついに始まるのでしょうか。
いいえ、片腕ドラゴンはもっと確実に相手を仕留める手段を練っていました。
町へと戻るドラゴンは神封を葬儀屋の店内へと誘い込みます。そこには多数の小鳥が飛び交い、その羽音で盲目の神封の耳を封じようという作戦です。さらに葬儀屋店内の各所には自動的に武器を射出する装置が仕掛けてあったのです。
全身に次々と飛んでくる斧を受け、血塗れになりながら必死に戦い続ける神封。もはやどちらが正義なのか分からなくなってきます。正々堂々と戦えと言う神封の心の叫びが聞こえてくるようです。そんな無惨な盲目の老人を、片腕ドラゴンは(無表情のまま)必殺のパンチで空高く吹き飛ばしたのでした。
ジミー・ウォングの持つ静かな狂気、ここに極まれり。
主演のジミー・ウォングは脚本監督も担当し、まさに歯止めのきかない暴走ぶりです。ジャッキーばかりが香港アクションではない、娯楽の暗黒面ここにあり(笑)。機会あればぜひ堪能していただきたい逸品であります。
放送記録:2006年01月19日AM2:14~4:05読売TV「水曜亜細亜電影」
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