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映画のコトやら何やら綴りませう
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ネットで「一番怖いホラー映画は?」なんてBBSなどを見ると必ず一度は名前が挙げられる作品。でまぁ昔、10年くらい前の「映画秘宝」かなんか映画雑誌で名前を見て以来気にはなっていたのですが、この作品が本来「ギニー・ビッグ」シリーズの一編として作られたというのも耳にしていたのでなかなか見る勇気がありませんでした。
「ギニー・ビッグ」シリーズと言うと覚えている方もいるでしょうけど、あの連続幼女殺人犯の宮崎勤が所持していたことで一躍有名になったビデオ用作品です。あの時はあたかもホラー映画やそのファンが悪の権化のように扱われて閉口したものですが、特にその残虐な内容から象徴的に扱われたのが「ギニー・ピッグ」でありました。もっとも宮崎勤が持っていたのは残虐性が問題になったシリーズ第1~2作ではなくコメディタッチの第4作目のみであり、彼のビデオコレクションの大部分はアニメを録画したものだったわけで、まぁホラー映画は連続殺人の理由付けに体よく使われた格好で今も昔もマスコミの強引なやり口は変わりませんな。一昨年だったかの事件でフィギュア萌え族なんてアホな言葉を作ったジャーナリストさんも謝罪することもなく今でも普通に活躍されていますしね。

さておき、

「ギニー・ピッグ」の1~2作と言うのは上でも言いました通り残虐な内容で有名でありまして、まぁ拉致監禁された女性が散々拷問され痛めつけられたあげく生きたまま全身バラバラにされ内蔵引きずり出されて殺されるというような内容で、特にストーリーもなくただただグロ描写を映し続ける疑似スナッフビデオみたいなものです。と言うか、そういうモノらしいです。私は実際には見ていません。ホラー映画は好きですけどグロ系は苦手なんですよね。
で、宮崎事件の影響でタイトルを変更したとは言え本作もそういうシリーズの一編として作られたと思うと、どんなに怖い作品か確認したいと思いつつも手が出せない、所謂「見たいけど見たくない」作品となっていたわけです。
でも一度は見ておかなくちゃという思いと、それとシリーズ初期作品のような直接的なグロ描写は控えめで精神的なグロさ中心だという意見もあり、それならばと勇気を振り絞って見てみましたよ。
主演している、まだそんなに有名でない時代の佐野史郎氏の狂気の演技というのもずっと気になってましたしね。

「LSD ラッキー・スカイ・ダイヤモンド」(1990)

結論から言いますと、怖さという点についてはさほどでもありませんでした。ただ確かに病的とも言えるグロテスクな作品ではあります。

どこかの廃墟の一室のような広い部屋。そこにはベッドと医療器具とおぼしき物が置かれている。ベッドに横たわっている女性、洋子は奇怪な幻覚を見続けている。点滴のボトルや二つに割ったメロンの中には無数のゴカイが詰まっている。部屋の中にはオブジェのごとく内蔵が吊され、あちこちの壁からは血が溢れ出る。そして洋子の股間からは自らの内蔵が溢れ落ちて床にビチヤビチャとまき散らされる。
絶叫と共に目覚める洋子の側には彼女の恋人だという医者と、姉を名乗る一人の女。二人は脳に異常を持った洋子の治療と看護に当たっていると言うが、洋子にはその記憶も二人に対する見覚えも無かった。優しげに治療と称しながら異常な言動を繰り返す二人。一方洋子には断片的な記憶がフラッシュバックのように甦りつつあった。
やがて医者は洋子の脳手術を執り行うと宣言する。奇妙な赤い薬液を強引に飲まされて手術台に横たえられる洋子。医者は洋子の頭部をメスで切り開き、むき出された脳に電極を差し込むと電流によって反応する洋子の体に興奮しながら女にフェラチオさせるのだった。
手術を終え、元のベッドの上で目覚めた洋子は激しい頭痛の中で記憶を取り戻していた。この二人が自分を拉致してここに連れてきたのだ。必死に暴れて逃げようとする洋子に女が激昂して叫んだ。「こんなに心配して世話しているのに!」女は手にメスを握ると洋子の腹に何度も突き立て続けた。
血塗れのまま放置された洋子は腹からこぼれる内臓を手で押さえ、激痛に耐えながら部屋からの脱出を試みた。再び襲ってくる女。激しい乱闘の末女を返り討ちにした洋子は部屋を出て薄暗い廊下を進む。廊下のその先に大きなダンボール箱があった。突然、そのダンボールを突き破るようにして医者が飛び出してきた。
顔面を白塗りにし、ダンボール箱を着た医者は手にパン切りナイフを持って洋子に襲いかかるのだった。

この後医者に扮する佐野史郎氏の狂気の暴走が始まるわけですが、まぁ文章で説明するよりは興味有る人には実際に見てほしいと思いますのでストーリー紹介はここまで。

まぁ奇怪な作品ですね。登場人物は3人のみ。そしてその3人全員がキチガイという、見終わった後になんともイヤ~な気分が残る作品です。
洋子役の網浜直子さんは今でもTVドラマなどで活躍されていますが、さすがに上手い方です。姉を名乗る女には中村れい子さん。役を作りすぎなのか大根なのか、こちらの狂気演技は今一つ。そして佐野史郎氏の鬼気迫る狂気。やりすぎ感もあるものの、ちょっとスゴいです。

ただこの作品をもう一つ評価しづらいのは物語の面白さや役者さんの頑張りに比べて演出の稚拙さでしょうか。幻覚とも悪夢ともつかない描写を手持ちカメラを適当に揺らすだけで表現するなど、どうにも褒められない映像演出で締まりません。低予算ゆえのビデオ撮りや全体の安っぽさは仕方ないとしても、その安っぽさを異様なリアル感に転嫁することに成功した作品はいくらでもあります。例えば最初のVシネマ版の「呪怨」(1999)とかですね。それが出来なかったのは勿体ないと思わされます。本作がグロさはともかくとして、さほど怖くなかったというのもそこらあたりの問題が大きかったかと。

まぁでも、本作は60分ほどの作品ですがその中に幻覚と狂気の世界を作り出すことにある程度成功しているのは評価できます。インディーズ作品くささすら感じる強引豪快な展開もまずは良し。グロ耐性のある方なら一見の価値はあるかもしれないですね。
ちなみに私はグロ耐性が弱いので、内蔵描写や序盤のビン詰めメロン詰めのゴカイあたりはちょっとキツかったですね(笑)。特に蟲系は苦手なもので。

あ、本作はエロ描写はほとんどありませんがその内容ゆえに成人指定になっていますので、レンタルする際にはご注意くださいね。

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アニメ「名探偵コナン」ももう今年で11年目ですか。黒の組織の話も進まないし毎度のドラマもマンネリ気味だわで、最近は見逃すことも多くなってしまいました。でもまぁ、毎年の映画版はそれなりに楽しみにしているんですよね、こちらも映画館まで観に行くことはなくなりましたが。
と言うわけで昨年公開の、アニメ10周年記念にしてシリーズ第10作目です。

「名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)」(2006)

実を言うとあまり期待していませんでした。と言うのもここ数年の劇場版シリーズ、つまり第8作「銀翼の奇術師(マジシャン)」(2004)と第9作「水平線上の陰謀(ストラテジー)」(2005)と2作続けてどうにも不満な出来だったからですが。
で、その第8作「銀翼の奇術師(マジシャン)」(2004)から監督になった山本泰一郎氏が続けて今作まで監督を務めてられるわけですが、いやいや今回はなかなか良い出来ですよ。劇場映画の演出3作目にして、ようやく手慣れてきたという感じでしょうか。

まずもって10周年記念作として主要キャスト総出演でありながら、あくまでコナンと平次を主役として二人に見せ場を絞った展開が良い。これまでの劇場版シリーズのような派手さを抑え気味に、あくまで謎解きをメインに置いた脚本はちょっと意外性がありましたね。実は最後まで、いつものように今回も遊園地がボッカンボッカン爆発し始めるんじゃないかと心配しながら見ていました(笑)。まぁ例によってドラマの設定にも謎解き自体にもかなり無理がありましたし、10周年記念作としては地味すぎやしないかとか色々ありますが、でもまぁたまにはビルやら飛行機やらが大爆発する冒険アクションじゃない「名探偵コナン」映画を見てみたかったので嬉しいところですよ。
後これは個人的に一番嬉しかったのは、劇場版シリーズの恒例であった蘭ちゃんの悲劇のヒロインぶりが今回無かったこと。これを逆に大きく不満に思っている人も多いと思いますが。確かに蘭ちゃんと新一の絆みたいなのを描くのも嫌いじゃありませんが、毎年毎年繰り返されるのもちょっとワンパターンと思ってましたので今回の映画はその点大英断だったように思いますよ。
(そもそもアニメや原作が10年以上続いていると言っても、作品内時間では新一が消えてからまだ1年も経っていないと思うと・・・。)
恋愛話が無くなった分、今回女性ファンの皆様には大いに不満かと思われますが、子供達に楽しんでもらえる映画を作ろうとしたのであろう制作側の心意気を嬉しく思います。その分見せ場的には蘭ちゃんがワリを喰った感がありますが、少年探偵団や特に哀ちゃんが活躍したので良しとしましよう。

まぁそれはそれとして、ジェットコースターに元太が爆弾を持ち込んだことをどうして知り得たのか、最後の怪盗キッドの登場はさすがに無理あるなぁと思います。でもジェットコースターがボッカンボッカン爆発しなくて本当に良かった(笑)。

放送記録:2007年04月02日PM7:00~9:24読売テレビ「春休み映画スペシャル」

ここしばらくまともに映画を見ていなかったこともあってこのブログも開店休業状態ですが、まぁ久しぶりに1本。

でまぁ前々から言っています通り私はゴシックホラー系が好きであります。また19世紀末頃のイギリスの雰囲気が好きだったりします。ので、特に英ハマープロの「ドラキュラ」シリーズを始めとするホラー映画がお気に入りだったりします。
で今回の映画、ネタ的にはド真ん中な設定で一応期待。ですがアクション主体の作品になっていると聞きますし、以前紹介した近い設定の「リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い」(2003)が少々アレな出来でしたので不安もまたあり。

「ヴァン・ヘルシング」(2004)
VAN HELSING

19世紀末期、バチカンの指令によってモンスター・ハンターとして悪と戦い続けるヴァン・ヘルシング。最強の怪物吸血鬼ドラキュラを滅ぼす命を受け、ヘルシングはバチカンで武器開発を担当する修道僧カールと共に海を越えてトランシルバニアへと向かった。
一方ドラキュラ伯爵は狼男等のモンスターを支配下に置き、花嫁達との子供に永遠の声明を与えるためフランケンシュタイン博士の研究を我が物にしていた。

まぁこれはホラー映画ではなくヒーローアクション映画であるというのは承知していたので、そのことについては問題無し。ただし、面白くさえあれば・・・ですけどね。

ヘルシングを単なるモンスター・ハンターに設定してしまったことの愚は一番に感じるところですが、ヴァン・ヘルシングというキャラクターを創造したブラム・ストーカー及びその作品「吸血鬼ドラキュラ」に対してのリスペクトや愛情をまったく感じられない脚本や人物設定には本当に愕然とさせられます。超絶ヒーローアクションの連続もいいんですけど、単に名前を借りただけのキャラクター達にまるで魅力も何も無いのは見ていて本当に辛いものです。
何度も言いますが、作品自体が面白ければ大抵のことは許せるものです。しかし内容のない空虚なドラマの中でキャラクターのまったく立っていない登場人物がいくら派手に暴れ回ったとしても虚しいばかりなんですよね。脈略のない適当な(ぞんざいな、とも言う)謎解きで次々新ステージが開けていく展開も、安いロールプレイング・ゲームみたいで萎え。

監督は「ハムナプトラ」シリーズのスティーヴン・ソマーズですが、この人はもう一つキャラクター描写が得意ではないのかな。「ハムナプトラ/失われた砂漠の都」(1999)も原点のゴシックホラー「ミイラ再生」(1932)の余り愛情を感じられないリメイクでしたが、映画自体はかなり面白いものでした。その前の監督作「ザ・グリード」(1998)はモンスター映画の最近の傑作。ただこの両作にしてもキャラクター、特にヒロインの魅力の無さは問題ですね。今回の「ヴァン・ヘルシング」にしてもヒロインのアン王女の魅力をまったく伝えられていない脚本と演出は致命的。その上見た目も敵側である花嫁達の方が明らかに上というのはどうしたものやら。
最大の敵であるドラキュラにまるで威厳も強大さもが感じられないところも、その倒され方のマヌケさもアクション映画としては最悪であります。
ついでに今作に関しては美術センスの無さも本当に残念なことです。これでは何のために19世紀末期という時代設定にしたのか。単にヘルシングやドラキュラ他の伝説の怪物を一堂に集められるから、くらいの理由しかなかったのではと勘ぐってしまいます。

この監督さん、ミイラ怪人やドラキュラ、フランケンシュタインの怪物、狼男等々・・・こういうゴシックモンスターが別に好きではなく、単に映画を作るためのネタ程度にしか見ていないのだろうなぁ。そんなことが映画から透けて見えてしまうのが一番悲しいところでした。

ところでこういうドラキュラが他のモンスター達を部下にして人間に戦いを挑んでくる映画としては過去に「ドラキュリアン」(1987)という作品があります。マニアックな監督として一部で人気がある(らしい)フレッド・デッカー監督作品でして、今回の「ヴァン・ヘルシング」とは制作費も作品規模も雲泥の差の低予算映画ですが、モンスター愛に満ちあふれた傑作娯楽映画なのですよ。ラストのドラキュラとの戦いから虚をつかれるヘルシング教授の登場までとにかく楽しく、「ヴァン・ヘルシング」に不満を感じたモンスター好きの方にはぜひ見て頂きたい逸品であります。

放送記録:2007年03月18日PM9:00~11:19ABCテレビ「日曜洋画劇場」

何と言いますか、ここんとこどうにもやる気が出なかったり色々悩んでたりでブログの更新もままならない感じです。まぁ地上波の映画劇場でもう一つ見たいという作品をやってくれないのもありますが、ちょこちょことDVDで映画を見たりはしています。
と言うわけで、コレもようやく見ましたよ。

「キング・コング」(2005)
KING KONG

ストーリーは、まぁあまりに有名なのでいいでしょう。オリジナルは1933年に作られた「キング・コング」で、1976年に大作大好きディノ・デ・ラウレンティス制作でリメイクされていますので、今作は2度目のリメイクということになります。
そもそも私が「キング・コング」という作品に初めて触れたのはラウレンティス版の劇場公開時でした。とにかく金のかかった怪獣映画ということで、とてつもなく面白く感じたのは覚えています。TV放送で何度か見たり、その後見たオリジナル版と比較して特にドラマ部分の退屈さに多少評価は下がったものの、ラウレンティス版は今でも決して嫌いな映画ではありません。
オリジナル版を見たのは確か大阪の長堀あたりの公民館みたいな所で、芦屋小雁氏が率いるSFホラー同好サークル「モンスターズ」のフイルム上映会でのことでした。白黒でフイルム状態もあまり良くなく特撮も荒々しいものでしたが、その面白さは飛び切りのものでした。

さて今回のリメイク監督は「ブレインデッド」(1992)で・・・と言うか「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズでお馴染みのピーター・ジャクソン。ジャクソン監督の長年に渡る念願の企画ということで期待が高まります。
当ブログでもこれまでCG特撮についてあまり肯定的な意見を書いてこなかった私ですが、しっかりとした「センスある」人が使えばこれほどまでに効果的かと思わせてくれたのが「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズでもありましたから、特撮面での期待も大きいところです。

ただ非常に不安だったのが映画の尺の長さ。ラウレンティス版と違ってオリジナルになるべく忠実なリメイクと聞いていましたので、オリジナル版100分に対して今作の3時間を超えるランニングタイムは長すぎるのではないか、間延びした作品になってしまっているのではないかと思ったものです。
実際には3時間という長尺を感じさせない、退屈する暇もない怒濤の娯楽作に仕上がっていました。お見事。
キングコングが画面に登場するまでの1時間で主要な登場人物のキャラクター描写をしっかりとした上で、スカル島に着いて以降は危機また危機の大冒険映画。登場人物がみな魅力的だからこそ映えるところです。
ヒロインのアンを演じるナオミ・ワッツは本当に綺麗。こんなに綺麗な女優さんだったっけと思うほど綺麗で、あえてファンタジックな雰囲気に撮った映像にピタリとハマっています。映画の完成に執念を燃やすカール・デナムというキャラクターも良いですね。どこか'60~70年代あたりに流行ったエセ秘境ドキュメンタリー映画の監督を皮肉っているようにも思えてきます。誰よりもヒーロー然とした貨物船船長も格好良しですが、一番のお気に入りキャラは劇中映画の主演スターさん。昔の冒険映画のヒーローをからかったようなキャラクターで、名前もオリジナルの「キング・コング」(1933)でヒーローを演じたブルース・キャボットからいただいているようですね。楽しくて良いキャラクターでした。

さてスカル島で襲いかかってくる脅威はコングだけではありません。島の原住民に恐竜や奇怪な巨大昆虫の群れ。その一つ一つの描写が長くてしつこいところがピーター・ジャクソンならでは(笑)。特に谷下の巨大昆虫のシーンは吐き気を催すほどに悪趣味ですな。恐竜襲撃シーンなどもしつこい程に危機また危機すぎて笑えてくるほどです(笑)。普通に考えればもっと編集して短くしそうな部分ですが、「何が何でも撮りたいモノは全部撮るんじゃー!」という監督の声が聞こえてきそうです。また並の監督が同じ事をすれば冗長なシーンになりそうなところを、まったくそうは感じさせないのは流石。

昨今ハリウッドも邦画もリメイク流行りでネタ切れ感が漂う映画業界です。別にリメイクがダメというわけではありませんが、オリジナルより面白いリメイク作にほとんどお目にかかれないのもまた事実。そんな中で本作は、オリジナルへの愛やリスペクトを込めつつ、本当に高い実力を持った監督が、十分な予算を費やして完成させた、そんな幸せなリメイクでありました。

さてさて、「キング・コング」(2005)に引き続いて先日見たのが本作。まぁちょっとしたリメイク特撮大作の日米対決ってところでしょうか。

「日本沈没」(2006)

原作はご存じ小松左京で、それをSF大作映画として1973年に東宝が映画化。今回はそのリメイクということになりましょうか。
正直言ってまったく期待していなかった作品でした。様々なレビューを見ても悪評ばかりでしたし、志の低い配役や原作ストーリーの激しい改変など「日本沈没」(1973)のような骨太なドラマは見せてもらえそうにないな、と。
まぁ結論から言いますと映画としては「日本沈没」(1973)には到底及ばぬ凡作ではありましたが、思っていたほどには悪くはなかったかな?

まずは特撮面から言いますと、日本映画としては初の本格的なCG特撮によるSFパニックとして、まずまずの説得力をもった映像を作り出していたと思います。京都や東京といった馴染みの都市が崩壊していく様はかなりリアルで衝撃的。
本作の監督である樋口真嗣氏は平成「ガメラ」シリーズ等を始め多数の作品で特撮監督を務めた元々特撮畑の人。ここいらの特撮的見せ場の作りに関してはお手の物といったところでしょう。
ただその一方で大都市崩壊シーンの中で、自然の驚異に翻弄される人間が描かれていないのは残念と言うか勿体ない。つまりは特撮シーンが映画の中に溶け込むことなく、ドラマと乖離して点在してしまっているのですね。ここら辺は特撮監督出身という本編慣れしていない弱点が出てしまったのか。あるいは予算的都合か。
また良くできたCG特撮ではあるのですが、全体的に平面的な絵作りになってしまってダイナミックさを殺してしまっているのは、昨日の「キング・コング」の項で述べたCGクリエイターのセンスというものが不足しているのを感じます。

でもまぁとやかく言いつつ、日本特撮映画の歴史でかなり画期的な作品ではあったと思いますし、一見の価値は十分にありました。
問題はドラマの方ですね。

冒頭で早々と日本が沈没することが明かされ一気呵成なパニックドラマが展開するのかと思いきや、どうしてこんなにもモタついたドラマになっちゃうんだろ。視点が定まらない落ち着きのない脚本だものだから監督が何を描きたいのかも定かでなく、緊張感もぶつ切り状態になってしまってますね。それなりの腕のある監督が作ればそれなりに纏まったのかもしれませんが、どうにも何もかもが力不足。政治を描くのか、市井の人々を描くのか、それとも危機的状況の中での男女の悲恋を描きたいのか、何もかもが中途半端でもっと的を絞ったドラマ作りをするべきだったのでしょう。
そしてもう一つ問題なのは、メインキャラクターたちにしろ政府関係者にしろ登場人物達からまったく緊迫感が感じられないこと。これは演技の責任というより演出の問題だと思いますが、そのため「日本沈没」(1973)にあったような重苦しいほどの緊張感が本作では皆無というパニック映画としては信じられない作品に仕上がってしまったのは本当に勿体ない。キャラクターが全くと言っていいほど掘り下げられないので、感情移入できる人物が居ないという。
特に主人公であるはずの小野寺の存在感の薄さはどうしたものか。ほとんどの時間、映画の本筋とは関係ない所であちこちウロウロ彷徨っているだけ。そして取って付けたような恋愛話と、最後は唐突な特攻ヒーロー美談。今回の映画をコミカライズして今も連載中の一色登希彦氏による漫画版では小野寺の特異なキャラの掘り下げが出来ているので説得力があるのですが、映画版ではいったい彼がどういう人物だったのかまるでこちらに伝わってきません。

ついでに言うと本作で大きな売りにしていたラブストーリーの部分も、その演出や脚本のアホらしさ加減で失笑モノになってしまってます。
映画終盤、レスキュー隊員として働く阿部玲子の元にやってくる小野寺。きっとイギリスに渡って一緒に暮らそうと約束をし、一夜を共にする二人。そして玲子が眠っている内にそっと出て行く小野寺だが、実は彼は日本の沈没を食い止めるために決して生きては帰れぬ作戦に志願していたのだ。
とまぁここまでなら泣ける展開なのですよ。ところが本編での小野寺はその事実を綴った置き手紙をしていくのですなぁ。目覚めて手紙を読んだ玲子は素早くバイクにまたがり、出発直前の小野寺に追いつくとヒシと抱き合うのですが・・・何、この無駄な展開。

小野寺の命を捨てた行為で日本が救われるという展開の「アルマゲドン」(1998)との類似がよく取りざたされたものですが、こういうのはわりとありがちな展開なので何も申しますまい。日米合作の大凡作「クライシス2050」(1990)なんかもそうでしたな。ただ原作のストーリーをねじ曲げて陳腐なSFドラマにしてしまったことについては少々腹立たしくもありますが。

まぁしかし、草なぎ剛と柴咲コウという主演二人に関しては、これはもうキャスティング時点で大いに問題ありだったかと思いますよ。草なぎくんの演技に関しては期待もしていなかったので、まぁこんなもんでしょ、と。しかし最近やたらと出演作の多い柴咲コウに関しては、うーん、こんなにヘタだったかなぁ。
どんな映画に出ても三船敏郎は三船敏郎なんてよく言われるのはその存在感の大きさを褒めてのことだったりしますが、柴咲コウはどんな作品にどんな役で出ても「悪い意味で」柴咲コウにしか見えないのですよねぇ。
本作序盤、この主演二人が長々と語り合うシーンで、これが映画館でだったら早々に居眠りしてしまいそうだなぁと思った次第。まぁ二人の演技に問題ありなのは当然として、脚本の方にも大きな問題あったと思いますけどね。
こうした(実力が伴っているかは無関係に)人気のある人物をキャスティングしないとスポンサーが集まらないので大作を作れず、またヒットさせることも出来ないという現状は本当に問題ありますねぇ。

「マトリックス」(1999)、「マトリックス リローデッド」(2003)に続く大人気シリーズ完結編。

「マトリックス レボリューションズ」(2003)
THE MATRIX REVOLUTIONS

人類とマシンの壮絶な戦闘が始まった。
それはそれとして救世主ネオはエージェント・スミスに戦いを挑むのだった。

このブログを始めて以来、どんな感想を書こうかとか思いながら映画を見るクセが付いてしまったものですが、いや今回はそれを途中で放棄しました。スゴイっす。
見る前は結構良くない評判ばかり聞いていたんで期待はあまりしていなかったのですけどね、ストーリーなどどうでもよくて全編大爆笑の連続という一編でした。

まぁ多くの人が本作に不満を感じたのはわかります。私もこういうバカなノリが好きでなければ「舐めてんのか」と思ったでしょうしね。
そもそもドラマ的な部分は第一作で完成しているんですよね。後は物語のオチ部分を前作今作と映画2本使って描いただけのこと。一作目が好きならそれだけ二作目以降が不満に感じるのは仕方ないことかと。
で、特にこの第三作目は全編「やりすぎ感溢れる」クライマックスの連続となってまして、まぁ恐ろしくまとまりの無い映画ですが、ただただその大まじめなバカバカしさを驚いたり笑ったりしていればいいのではないかと思うわけなんですよ。

映画としての出来はそりゃあ第一作が圧倒的に上ですが、でも今後繰り返し見たくなるのは今作だなぁ。

放送記録:2007年02月03日PM9:00~11:24関西TV「土曜プレミアム」

クリプトン星の爆発から一気に宇宙を飛び交いつつ地球までの旅を1カットで見せるオープニングは、CGの威力をまざまざと見せつけつつ爽快感溢れる名オープニング。
さらにそこに流れるのがあの懐かしいジョン・ウィリアムズのテーマ曲。

コレコレコレ!!待ってました!!って感じですわ。

さらにさらに、当時話題になったスリットスキャンによって飛び出してくるタイトルロゴやスタッフ名も再現してくれて、ああわかってるなぁ~、旧シリーズを愛しているのだなぁと思わせてくれるのが嬉しい。

「スーパーマン リターンズ」(2006)
SUPERMAN RETURNS

崩壊した故郷クリプトン星への長い旅を終え、5年ぶりに地球に帰還したスーパーマンことクラーク・ケント。無事にデイリー・プラネット社に再就職できた彼はかつて愛した女性との再会を楽しみにしていたが、その彼女ロイス・レーンが別の男性と同棲し、子供まで出来ていることにショックを受ける。ロイスの乗るジャンボ機を墜落から救ったのを期に再びスーパーマンとしての活動を再開するクラーク。だがそうしながらもロイスへの想いを忘れられないクラークだった。
一方同じ頃、刑務所から出所した悪の天才レックス・ルーサーはクリプトン星のクリスタルを手に入れ、十数億の人間を犠牲にして新しい大陸を作り上げるという計画に着手していた。ついにレックスはクリスタルを発動し、巨大な地震が街を襲う。さらに大規模停電を取材していたロイスとその息子がレックスの手に落ちてしまったのだ。
十数億人類とロイス母子の命運はスーパーマンの双肩にかかっていた。

スーパーマンと言えばクリストファー・リーヴのシリーズが世代的にド真ん中です。第一作「スーパーマン」(1978)から「スーパーマン4 最強の敵」(1987)まで4作が作られました。まぁ4作目辺りはいささか低調な出来でしたが、クリストファー・リーヴの好感の持てるさわやかさが光る良いシリーズでした。
さて今回の「スーパーマン リターンズ」は、旧シリーズとは関わりないまったくの新作かと思いきや、旧シリーズ第二作「スーパーマン II 冒険篇」(1981)の直接の続編という位置づけが面白い。
クリプトン星出身の3悪人を倒し、一時は愛し合ったロイス・レーンの記憶を消し去ったスーパーマン。その後謎の失踪を遂げたスーパーマンが5年ぶりに帰ってきたというのが今回のお話。旧シリーズに親しんだ人には懐かしいキャラ達との再会(新キャストですが)は楽しく、同時に変わってしまった人間関係に悩むクラークの気持ちにも共感できるという上手い設定です。
ただこの悩めるスーパーマンというのが今回のテーマの一つなのは分かりますが、正直言って悩めるヒーローはバットマンやスパイダーマン、X-MEN等で見飽きていますので、スーパーマンでくらいは脳天気なスーパーヒーローを見たかった気もしますが。スーパーマンがロイス恋しさのあまりほとんどストーカーと化して、ロイス達3人家族の幸せな家庭を覗き見て落ち込むあたりは少々やりすぎかと。

監督のブライアン・シンガーといえば「X-MEN」(2000)「X-MEN2」(2003)の監督さんで、まぁこういう悩めるヒーローものはお手の物でしょうか。シリーズ最終作「X-MEN ファイナル ディシジョン」(2006)の監督を蹴ってスーパーマンに挑んだ心意気は十分に感じられましたね。
配役も予想以上に良しでした。スーパーマンのブランドン・ラウスはクリストファー・リーヴに負けず劣らずのさわやか好青年でしたし、レックス・ルーサー役のケヴィン・スペイシーも旧シリーズのジーン・ハックマンと比べられるのは少々気の毒ですが、それでも十分な貫禄と存在感をアピールしていました。嬉しかったのは脳天気な同僚ジミー・オルセンのサム・ハンティントンが旧作でのイメージそのままのキャラクターを演じてくれていたことですね。
しかしロイス・レーンに関しては旧シリーズのマーゴット・ギッダーが良かったかなぁ。

今作での残念な部分と言えば、尺的に入らなかったのでしょうけどクラーク・ケントとロイスの絡みがほとんど無かったこと。スーパーマンとロイスの恋物語もいいのですけれど、クラークとしてのロイスへの愛情も見たかったですね。またロイスの内縁の夫リチャードの報われなさぶりも気の毒でなりませんし。
リチャードはおそらく、ロイスの気持ちも息子のことも全て承知の上でロイス母子と暮らしていると思われますが、そんな良い男なだけにロイスのスーパーマンに対する愛情が描かれる度に思わず涙してしまいます。この映画、ラストはスーパーマンとロイスが互いの愛情を確認するような形で終わりますが、これって2人の精神的不倫みたいなもので、原作コミックでこういう設定が実際にあるのかどうか知りませんが「スーパーマン」という作品にこういうドロドロした男女関係は持ち込むべきではない気がします。
それと旧シリーズを見ていること前提で作られているのも、前作に当たる「スーパーマン II 冒険篇」(1981)から25年が過ぎていることを考えると優しくないかな。今回旧シリーズを見ていない母と一緒に鑑賞したのですが、いろいろと解説が必要でした。
アクションに関しても最大の見せ場が映画前半のジャンボ機救出シーンというのはバランスが少々悪い感じ。クライマックスにはそれ以上のアクションシーンを期待したいところですが。またクライマックス後のロイス母子との交流シーンが地味に長いのも、まぁこういうシーンはそれはそれで好きではあるのですが、ヒーロー映画観賞後の爽快感を薄めてしまっているのが残念。
ついでにレックス・ルーサーを逮捕しないままに終わったのはこれも片手落ちかと。

まぁそんな感じでおよそ20年ぶりに銀幕に甦った元祖スーパーヒーロー。当然シリーズ化されるでしょうし、次回以降も爽快感溢れる楽しい作品が期待されます。

最後に、観賞後の老母の感想。
「スパイダーマンに比べるとヒロインが美人で良かった」
いや、そりゃあアレと比べたらどんな映画でも・・・(笑)。


それはそれとして、今日スーパーに行ったら納豆が山積みでした。大量発注かけたであろうスーパーは気の毒ですが、まずは良かった良かった。

もりしげ氏が「チャンピオンRED」で連載している「こいこい7」が最終回だと言うので、普段はコミックス派なんですけど読んでみました。うーむ、終盤思い切りもりしげ氏らしいキャラ死にまくりのグロ展開になっていると聞いていたもので、何がどうしたらこの最終回に繋がるのかわからん(笑)。しかし平和でのほほんとした、しかも全裸出まくりのオチはこれもまたもりしげ氏らしいでしょうか。なんにしろ「花右京メイド隊」に続いて「こいこい」も終了で寂しくなりますな。次なる新作に期待です。

今年最後のセガールアクション!
ちゅうわけで流石木曜洋画劇場、年内最後の放送にセガール作品とはやってくれます。先週の「グラマー・エンジェル危機一発」(1986)と合わせて他局ではなかなか出来ないワザですねぇ。
しかし、スティーヴン・セガールのアクションを期待して見ると少々肩すかしな一作。

「沈黙の陰謀」(1998)
THE PATRIOT

FBIに取り巻かれたテロ集団のリーダーは、わざと自身に殺人ウィルスを感染させて投降した。彼の裁判を行ったモンタナ州の小さな街はたちまち感染者が溢れる危機的自体に陥る。政府はすぐさま街を封鎖して防疫部隊を送り込むが、ウィルスの突然変異によってワクチンの効果が無くなってしまっていた。唯一の頼みはその町で医者をしていた免疫学の権威マクラーレン博士だけだった。
一方自分達の使っていたワクチンも効果無しと知ったリーダーは仲間の手で脱獄し、病院を襲撃した。そしてマクラーレン博士の娘だけが感染を免れていたことを知り、脱出したマクラーレン親子を捕らえようと追っ手を放つのだった。

というわけで最近流行りのバイオハザード物の一本。田舎町が感染によって危機に陥るという設定は「アウトブレイク」(1995)とか「第2のカサンドラ・クロス事件!? 細菌兵器に襲われた街(クレイジーズ)」(1972)なんかと似たり寄ったりですが、そこにテロ集団の恐怖も絡め、セガールさんを放り込んだところが新味というところでしょうか。主人公の細菌学者が懸命にワクチン開発に当たるあたり「アウトブレイク」まんまなんですけど、その配役にセガールさんを持ってくるのはある種奇抜ですよね。テロリスト達を素手でバキバキと殺していく免疫学の権威という構図はちょっと凄いです(笑)。しかしテロ集団との戦いが最大の見せ場になっているため、より恐ろしいはずの殺人ウィルスの恐怖が激しく薄まってしまっているのはいかがなものか。
一方でセガールさんのワクチン開発がストーリー上では重要な部分なので、どうしてもアクションの方も薄味気味。つまりはバイオハザードの恐怖もセガールアクションも薄い、どっちつかずの作品になってしまった感があります。

おかげで作品そのものの印象も薄い薄い。今回の放送を見始めて、20分くらい過ぎてようやく前に見たことがあると気づいたくらいです(笑)。サスペンスアクションとしてはまぁ極端に悪い作品ではないと思うのですが、どうもコレという特徴がないのが辛いところですね。
それとセガールさんが出演していると何でもかんでも「沈黙の○○」と付ける邦題にも問題あるかと。「沈黙」シリーズとか言われると、どうしてもド派手なセガールアクションを期待しちゃいますもんねぇ。

放送記録:2006年12月28日PM9:00~10:55TV大阪「木曜洋画劇場」

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