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映画のコトやら何やら綴りませう
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今日も小雨がシトシトと、寒いっすねぇ。

さて、魔女三部作完結編「THE MOTHER OF TEARS」の日本公開が待たれるダリオ・アルジェントですが、続いて以前より噂されていた新作「Giallo」の制作に入るとのニュースです。

・イタリアンホラーの巨匠ダリオ・アルジェント、初の英語映画を監督
http://eiga.com/buzz/show/10189

初の英語映画ってのがよくわからんです。世界市場を狙ったイタリア映画は必ず英語吹き替え版を最初から作るし、アルジェントの過去作品もほとんどが英語版も同時に制作されているわけですが。まぁ、吹き替えではなく最初から英語の台詞で作られた映画は初ってことでしょうかね。
まぁそれよりも、アルジェントの本格サスペンスホラーが見られそうなのは楽しみであります。「サスペリア」(1977)始め魔女シリーズのおかげで一般的にはオカルト映画の監督って印象のアルジェントですけど、実際はサスペンスやミステリを得意とする監督さんですし。

それはそれとして・・・上記記事に付けられた現在のアルジェントの写真がちょっと凄いっPhotoすね。昔から怖い顔の監督さんではありましたが、この写真での顔のテカり具合といい特殊メイクか蝋人形のような質感が恐ろしさをいや増しています。作る映画もさることながら、ご本人が最高のホラーであるなぁ。

さて次はガンダムを実際に作れる?というニュース。

・「ガンダム」制作費800億円! でも、時速8キロしか走れない
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080121-00000002-jct-soci

ガンダムを作るのに800億円ってムチャクチャ安いやん!と思って記事を読み進める。

>アルミ合金板(ハニカム構造)(の装甲)
>メインコンピュータは、IBMのブルージーンというスーパーコンピューター
>動力は軍用ヘリ「アパッチ」のエンジンで7機分
>人間も乗れない、ただ歩いたりするだけのもの。
>足の太いロボット

いやいやいやいや、それもうガンダムちゃうやん。単に「今の技術で作れそうな巨大ロボット」でいいのに、なんで一々ガンダムの名前を出すかな。百歩譲ったとしてもいきなりガンダムの開発からスタートせず、ザクかガンタンクくらいから始めようよ。
しかしアルミ板の装甲って・・・ザクマシンガンで穴だらけになるガンダムは見たくないですなぁ。

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前作から12年、お久しぶりのシリーズ4作目ですな。

ダイ・ハード4.0 (2007)
LIVE FREE OR DIE HARD

サイバーテロによって全米がパニックに陥る中、すっかりハゲ散らかってしまったマクレーン刑事がヒーヒー言いながら大活躍するのであった。最近はロッキーまで老骨にむち打ってリングに再び上がったりしてるし、おっさん頑張れと応援したくなるのであった。

と言うわけで「ダイハード」シリーズ第4弾ですが、いや~派手派手、全編見せ場がつるべ打ちの軽快な娯楽アクション大作でありました。アクション映画としてはなかなかに一級品。でも・・・「ダイハード」シリーズとしてはどうかな。第1作第2作で確立していた限定空間での戦いというシリーズの楽しさは今作には無し。まぁ第1作のジョン・マクティアナン監督自身が第3作目でそのシリーズパターンを打ち壊しているので今更ではありますが、しかしそうしちゃうと別に「ダイハード」シリーズである必然性も無くなっちゃうわけでして、1作目からのファンとしては寂しいところ。3作目の時も同じように感じましたけど。

お話はと言うと、サイバーテロという今風の題材ですね。コンピューターを駆使する犯罪集団vs肉体派刑事という設定は面白い。ただそのサイバーテロの内容があまりに何でもアリすぎなのが、ちとリアル感には欠けるところ。一方で天才犯罪者の繰り出す罠をアナログ刑事が場当たり的な活躍と運で次々切り抜けていくところが楽しい。特にクライマックスの対ジェット戦闘機戦のバカバカしすぎる展開は楽しい楽しい。

監督のレン・ワイズマンという名は初めて聞いたのですが、「アンダーワールド」(2003)とその続編の監督さんなのですね。「アンダーワールド」シリーズは未見なので比較はできませんが、本「ダイ・ハード4.0」を見ているとアクションの見せ方にはなかなか長けているなぁという印象。ただ見せ場自体は出来も良く豊富なのですが、映画全体のまとまりとしては散漫という印象。マーク・ボンバックさんとやらの脚本はまともな伏線も張らない良く言えばストレートな娯楽作、悪く言えば平凡で「ダイハード」らしくない展開。
まぁですね、今作は「ダイハード」シリーズの最新作として見るといろいろと不満も出てきますが、1本の刑事アクションとして見るならド派手で退屈しない、決して悪くない作品であったと思います。うん、とにもかくにも面白かった。単純に映画としての面白さだけで言えば第1作に次いでシリーズで2番目と言うところ。2作目3作目はいろんな意味で不満が大きかったものですから。でもねぇ、もしまた続編が作られることがあるならば、第1作みたいな緻密に計算された作品が見てみたいものではありますよ。

さて本日のサンテレビ「水曜ザ・ムービー」のお題は「ジョーズ」シリーズ第4作目にして最終作、「ジョーズ'87 復讐篇」(1987)であります。先週の「ジョーズ3」(1983)は見忘れてしまいましたが、今回は無事に鑑賞。これもまた10年ぶりくらいの鑑賞になるのかな。

「ジョーズ'87 復讐篇」(1987)
JAWS THE REVENGE

今は未亡人となったブロディ署長夫人エレン。夫はどうやら知らない間にサメに殺されてしまったらしいが、その父の跡を継いで警察官となった次男ショーンと共にアミティで静かに暮らしていた。しかしショーンがまたしてもサメに襲われ喰われてしまったことで、海洋研究をしている長男マイケルに誘われてバハマで心を癒すことにした。だが、ショーンを喰ったサメはエレンを追ってバハマまでやってきたのだ。ここにブロディ一家とサメとの最後の戦いが幕を開けるのであった。

というわけで、改めて鑑賞してもかなりイカレた映画ですね。原題にもある通り今作は「リベンジ」がテーマになっていまして、過去シリーズで倒された仲間の復讐に燃えているらしいサメと家族の敵討ちに燃える未亡人の対決を描くというストーリーになっています。サメが復讐のために飛行機でバハマに向かうエレンを追ってくるなんていう、前作「ジョーズ3」(1983)がSFパニック映画風味だったのに対して今回はちょっとしたオカルト風味ですかね。ピンポイントでブロディ一族を狙ってくるサメも異様ですが、エレンがサメの出現を何故か関知してしまうという演出もこれまた異常です。

まぁ実を言うとそういう異常なストーリー展開を認めてしまうと結構面白く見られる作品ではあるんですけどね。傷心のエレンがバハマに来て新たなロマンスに心をときめかせるなんて展開もなかなか楽しいですし。しかし監督の演出力が少々追いついていない感じでして、作品全体にまったりとした雰囲気を醸し出してしまっているのは勿体ないところ。全体的にだらだらした演出が緊張感を壊しちゃってるんですねぇ。
また作り物丸出しのサメをこれでもかと大アップで画面に映し出すのも、迫力を出すどころか安っぽさを増幅させてしまってます。サメの姿を極力隠しつつ恐怖感を盛り上げていったスピルバーグは偉大でした。

終盤ついに孫娘までが襲われるに至り、鬼のような形相でヨットに飛び乗ってただ一人で出撃していくエレンの姿にはちょっと吹き出してしまいますが、このエレン・ブロディを「ジョーズ2」(1978)以来久々に演じるはロレイン・ゲイリー。さすがに老けましたね。このエレンとロマンスを芽生えさせる飛行機パイロット役にはマイケル・ケイン。ケインは大好きな役者さんではありますが、この人が出るとどうにもB級臭が漂ってしまうのは困りものです。
監督はスピルバーグの大先輩にあたるジョセフ・サージェント。TVムービー中心に活躍していた監督さんですが、劇場用作品ではSF映画の秀作「地球爆破作戦」(1970)や傑作パニックサスペンス「サブウェイ・パニック」(1974)があり。TVムービー作品でもオーソン・ウェルズ劇団の「宇宙戦争」ラジオドラマによる民衆のパニックを描いた傑作「アメリカを震撼させた夜」(1975)を監督しています。こうした一連の作品に比べると「ジョーズ'87 復讐篇」の褒めどころの無さぶりは異常でもありますが、むしろ「サブウェイ・パニック」のような傑作がまぐれ当たりであった感が強かったりもします。

ところでこの映画、何故かラストの展開が違う2種類のバージョンがあることで知られています。今回の放送がどちらのバージョンなのか気になっていましたが、ヨットの帆先でサメを串刺しバージョンでした。これは劇場公開版と同じオリジナル・バージョンですね。
もう一つのバージョンはと言うと、最後にサメが大爆発するというものです。ずっと以前にTVで見たときはこちらのバージョンだったのですが、爆発シーンが唐突な上にそれが1作目のフィルムの使い回しという安っぽいものである意味ガッカリバージョン。どう考えてもオリジナルの串刺しの方が良いのですが、どうしてこんなバージョンを作ったのやら。しかもDVDではこの爆発バージョンでしか収録してないんですよねぇ。困ったもんです。責任者出てこいと。

それはそれとして、「地球爆破作戦」と「アメリカを震撼させた夜」のDVD化(ちゅうか初ソフト化)を熱烈希望!

放送記録:2007年11月07日PM7:30~09:10サンレビ「水曜ザ・ムービー」

19世紀の天才バイオリニスト、ニコロ・パガニーニの遺した呪われた楽譜を巡るオカルトホラー作品です。なんでもパガニーニはその演奏技術の凄まじさから悪魔に魂を売り渡して手に入れたテクニックと噂されたそうで、なるほどそこらあたりからこの映画のストーリーが発想されたわけですね。
・Wikipediaニコロ・パガニーニ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%BB%E3%83%91%E3%82%AC%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%8B

「パガニーニ・ホラー 呪いの旋律」(1988)
PAGANINI HORROR

パガニーニが魂と引き替えに富と名声を手に入れる契約を悪魔と交わした際に書いたとされる未発表の楽譜。その楽譜謎の男から買い受けた3人組の女性ロックグループはプロモーションビデオを撮影するため、かつてパガニーニが住み契約の儀式をしたという屋敷を訪れる。順調に進む撮影。だが金色のパガニーニマスクをかぶった怪人が現れ、一人また一人と屋敷から人が消えていくのだった。そして屋敷は見えないバリアに包まれ、誰一人逃げ出せない状況に陥ってしまう。はたして怪人はパガニーニの亡霊なのか。そして屋敷に隠された秘密とは・・・

という設定はなかなかに雰囲気があって良し。「オペラ座の怪人」の雰囲気も漂わせるゴシック名ホラー作品ですね。しかし練り込まれていない行き当たりばったりの脚本と安い演出、主演陣の演技力で全て台無しに。
とにかく資金力の無さをアイデアでカバーしようというのは伝わってくるのですが、その才能が監督には無かったようです。トンネルを進んでいったら元の場所に出たり、地下で行方不明になった主人公が外のプールに倒れていたりと様々な怪異が起きるわけですが、描写が安易すぎる上にどんな展開も「オカルト」だから何でもありで済まそうという誠意の無さが随所に見られるのが作品を必要以上に安っぽくしてしまっています。さらに登場人物たちは皆棒立ちで台詞をしゃべり、ただ屋敷の中をうろうろ行ったり来たりするだけの展開は映画に激しいもたつき感を醸し出しています。金色のドクロ仮面をかぶったパガニーニの亡霊などは何をしたいのかもはっきりせず、主人公を焼き殺そうとしながら悦に入ってバイオリンを奏でている内に昇ってきた朝日を浴びて消滅してしまうマヌケなクライマックスはあたかも「死霊の盆踊り」(1965)「ドラキュラ対フランケンシュタイン」(1971)のラストを見ているようで本当に何をしたかったのやら。消滅した後に残る灰が音符の形になっていたり、亡霊の使う凶器がナイフの飛び出す仕込みバイオリンだったりするあたりはもう失笑ものですよ。またやたらと被害者が電撃らしき攻撃を受けるシーンがあるのですが、これもチープな合成がトホホな気分を盛り上げます。
一方イタリアホラーの重要な見所と言える殺害シーンですが、ロックメンバーの一人がカビに全身を喰われて血膿の中で死んでいくところや、女性プロデューサーが見えない壁に押しつぶされるシーンなどいくつかは見応えあるグロシーンに仕上がっています。ただ全体としては数は少なく、ドラマのダルさを忘れさせるところまではいっていなかったというところでしょうか。
出演者面では呪われた楽譜を売り渡す謎の男に名脇役ドナルド・プレザンス、館の女主人にダリア・ニコロディという2人の有名俳優が脇を固めていたところはまぁ一つの見所でしょう。この2人がラストを締める(かなりいいかげんなオチですけど)ところは本作唯一の良心というところでしょうか。

本作の監督ルイス・コーテスは別名のルイジ・コッツィの方がなじみ深い感じですが、ダリオ・アルジェント一家の一人とされ、日本では「ラストコンサート」(1976)「スタークラッシュ」(1978)あたりの監督として一部で知られているでしょうか。聞くところによると当初コッツィはアルジェント制作の「デモンズ3」(1989)を監督する予定だったのがそれを断って本作を監督したそうです。アルジェントはその代わりとしてミケーレ・ソアビに「デモンズ3」を任せたわけですが、そう考えると本作のおかげで我々はソアビの美意識に満ちた「デモンズ3」を見ることができたわけで、その意味ではこの「パガニーニ・ホラー」という褒めどころの少ない作品にも存在価値があったのだなぁと思えてきますね。

ところで本作のテーマソングですけど、どこかで聞いたことある曲だなぁって思いました。なんとか思い出してみるとアレです、SF大会「DAICON4」のOPアニメの曲、E.L.Oの「トワイライト」ですね(ドラマ「電車男」でも使われたそうですけど、見ていないので)。偶然とは思えないほど似ている上に、どう考えても作品に合っているとは思えないんですよねぇ。どういう経緯でこういうテーマ曲が出来たのか、謎です。

ああっ・・・昨日のサンレビ「水曜ザ・ムービー」、先週の「ジョーズ2」(1978)に続いて「ジョーズ3」の放送だったのに見忘れてしまいました。大昔に一度見たっきりだったので(ある意味)楽しみにしていたのに・・・。というわけで、仕方ないのでうろ覚えで簡単な感想など。

「ジョーズ3」(1983)
JAWS 3-D

(うろ覚えストーリー)成長したブロディ署長の息子が勤める海底施設。海底探検を楽しむ観光客で賑わう施設に、突然巨大鮫が襲ってきてあちこち破壊されるわ職員や観光客が食われるわで大パニックに。ちぎれた腕が目の前にぷかぷか浮かんだりします。

原題通り劇場では立体映画として公開された「ジョーズ」シリーズ3作目ですね。当時は「13日の金曜日3D」とか偏光眼鏡方式による立体映画がちょっとしたブームでした。
で内容ですが、最近の映画で言えば「ディープ・ブルー」(1999)を思いっきりショボくしたような感じ。それまでのシリーズとは違う物を作ろうとした努力はわかりますが、誰がこんな内容の「ジョーズ」を望んでいただろうか。安っぽいSF海洋パニックに成り下がってしまいました。こうした尻すぼみにダメになっていくシリーズ物っていうのは他にも多々あることですが、それにしても2作目までは面白かっただけに3作目のこのダメっぷりは残念でなりません。

さて、来週の「水曜ザ・ムービー」はシリーズ4作目にして完結編の「ジョーズ'87 復讐篇」(1987)の放送ですね。これもまたどうにも感心できない出来(3よりはマシだけど)ですが、1作目2作目でプロディ夫人を演じたロレイン・ゲイリーが同役で出演するなど一応はシリーズ物の体裁を保っているのが(唯一の)褒めどころか。知らない間にブロディがサメに食い殺されてたなんて設定は噴飯ものですが。

ダリオ・アルジェントと並び称される(そうでもないか?)イタリアンホラーの大家と言えばルチオ・フルチです。もっともアルジェントの所謂殺人美学とは対照的に、ひたすらグロテスクで情け容赦の無い極悪な描写で好事家を喜ばせた方であります。「サンゲリア」(1979)によって日本でも話題になり、その後「ビヨンド」(1980)「地獄の門」(1980)等がビデオで発売されたことにより着実にファンを増やしたものでした。しかしフルチの本質はこうした'80年代に次々と撮ったゾンビ物ではなく、ジャーロ(イタリア的サスペンス映画、犯罪映画と言ったところか)に有りという声もマニアの方から聞こえてきます。
と言うわけで本作、一週間ほど前に鑑賞しようとしたのですが、2人目の犠牲者が股間に割れた酒瓶突っ込まれて悶絶死したあたりで中断。さすがに少々気分悪くなったんですよ。私基本的にこの手の生々しい殺人鬼系サスペンスホラーは得意じゃないもんで。改めて今回最後までの鑑賞となりました。

「ザ・リッパー」(1982)
THE NEW YORK RIPPER

ニューヨークで女性の全身を切り裂く残虐な連続殺人事件が発生。警察は心理学者の協力を得て必死の捜査を続けるが、それをあざ笑うかのように犯人は次々と犯行を重ね、ついには担当警部の馴染みの娼婦までが惨殺されてしまった。容疑者として浮かび上がった三本指の男まで殺され事件が混迷の色を増していく中、警部は過去に唯一生き残ることのできた女性が再び犯人に襲われるのではないかと考えるのだが・・・。

腐った人間の手首の大アップと、そこにかぶる安い刑事ドラマのようなテーマ曲。この悪趣味で不快なオープニングから実に快調に飛ばしてます。どうしてこんな絵づらが考えつくのかはっきり言って監督の頭は大丈夫かと心配にもなりますが、しかしそれがフルチ。
お話の方はB級刑事サスペンスなんかで実にありがちなものなんですが、実はそこのところはどうでもよくてフルチにとっての腕の見せ所はひたすらグロテスクで情け容赦の無い極悪な殺人描写ということになりますね。白昼ナイフで切り刻まれる女性、割れた酒瓶を股間に突き立ててグリグリこね回す等々。エロとグロのテンポも良し。そして最大の見せ場は(フルチ映画でいつも殺され役の)ダニエラ・ドリア扮する娼婦がカミソリによって全身を切り裂かれ、乳首を縦切りにされ、ついには顔面ごと眼球まで縦切りという壮絶な殺人描写。このダニエラ・ドリアが本作に登場する中でも最も可愛い女性なだけに、なおさらにその悲惨さ悪趣味さが際だちます。

物語の終盤は意外な犯人の正体が明かされてビックリ、といきたいところなんですが、そこに至るまでの伏線立てがなっていないので驚くには至らず。その代わりと言ってはなんですが、事件には一人の幼い少女が絡んでいて、その少女の描写がまた情け容赦がないのですよ。まるっきり救われないラストは、見終わった後は劇鬱になること必至であります。
「ビヨンド」(1980)や「地獄の門」(1980)のような「なにがなんだかわけがわからない、ストーリーが理解できない」系のフルチ作品に慣れ親しんでいる人からすると理に落ちすぎで薄っぺらいと見られるかもしれませんが、本作は(まぁ色々とヒドい映画なのは確かですが)随所にフルチ節が炸裂するなかなかの快作かと思います。悪趣味なエログロ猟奇映画好きなら見て損は無し。観客の見たい物を見せるのが監督の仕事であり、お前らの見たいのはコレだろう!とひたすらに血と内臓と猟奇描写に邁進する、これは自ら職人を自認するフルチならではの逸品ではありました。

さてさて、同僚の復讐に燃えるFBI捜査官と伝説の殺し屋の対決。そこにマフィアの抗争を絡めた軽快なアクション作の登場ですよ。

「ローグ・アサシン」(2007)
WAR


FBI捜査官のクロフォードとトムは伝説の殺し屋と呼ばれるローグを追いつめるものの、すんでの所で取り逃がしてしまう。そして数日後、トムとその家族はローグの襲撃によって皆殺しにされてしまうのだった。復讐を誓うクロフォードだったが、その事件以降ローグの行方はぷっつりと途絶えてしまった。
3年後、サンフランシスコでは日本ヤクザ組織と中国マフィアの抗争が激化しつつあった。ヤクザの経営する日本料理店が何者かによって襲撃された事件を捜査するクロフォードは、それがローグの犯行だと確信する。執念でローグを追うクロフォード。その一方ローグは組織双方に接近し、そのことで抗争はさらに激しくなっていった。はたしてローグの真の目的とは?

伝説の殺し屋ローグにジェット・リー、捜査官クロフォードに「トランスポーター」シリーズのジェイソン・ステイサム。この2人の共演するアクション映画ということで、実はかなり期待して観に行きました。さらに中国マフィアのボスにジョン・ローン、ヤクザの親分に石橋凌と他の共演者も豪華なのですよね。
楽しみにしていたジェット・リーの肉弾アクション的見せ場がほとんど無かったのは少々残念。しかし映画前半の銃撃戦やサスペンスの盛り上げ具合はなかなかな見所。監督のフィリップ・G・アトウェルさん、映画初監督にしてはなかなかやりますな。、この方元々ミュージックPV畑の人で、まぁPV→映画ってのはよくあるパターンですが、そういう監督さんは大抵スタイリッシュな映像に拘るあまり画面がやたらと煩くなることが多いですね。本作もまさにそのパターンで、最初はカッチョイーって思っていても2時間近く続くとさすがに少しばかり疲れます。とは言えこの監督さん、アクション映画の見せ場は心得ていると思います。ストーリー的薄さはあるものの、決して退屈しない出来に仕上がっているのは立派なもの。

ストーリーとしてはローグが2つの組織を手のひらで転がすように対立を煽っていく構図は面白し。この映画を見ていて真っ先に思ったのは黒澤明の「用心棒」(1961)との共通点だけど、ただそこで単なる模倣に留まらずクロフォードとの対決やローグの真意といった要素でドラマを引っ張っていくのが良し。クライマックスはヤクザの親分とローグの日本刀での一騎打ちだが、ここいら少々アクションがもっさりしているのが残念。石橋凌がジェット・リーの動きについて行けなかった感あり。
そしてラスト、ローグとクロフォードの対決。
ここまで映画自体はまずまず(めちゃくちゃ良くもないが)悪くない出来という印象でしたけど、この驚愕のラストはちょっと特筆ものでしょう。こればかりはネタバレは避けますが、ローグの真意やクロフォードの真実が唐突にして一気に描かれ、そして余韻もない幕切れ。スピーディと言えば聞こえはよいけれど、この唐突感と尻切れトンボ感はただ事じゃないです。そりゃないぜアトウェルさん。
その後のエンディングの歌が妙に音割れしていたのは演出?フィルム状態のせい? それがさらに呆気にとられた頭に堪えます。さらにその後の日本語の酷いラップ(日本版主題歌らしい・・・)に至っては・・・(苦笑)。
というわけで全体としてはまぁ悪くはないが普通のアクション映画。ただ最後のオチによって(良かれ悪しかれ)記憶に残る作品となったのは確かでしょう。いやいや、B級映画であることは間違いないでしょうけど、嫌いじゃないですよ。

ところで本作中の日本絡みの描写について、他の方のレビューを読むと結構批判されている模様。相変わらず誤解と偏見に満ちているってわけですが、個人的にはああした描写はわざとやっているような気がします。メインキャストに石橋凌やケイン・コスギといった日本俳優が含まれていることもありますが、なにより20年くらい前の欧米人の日本観って感じで大げさ、やりすぎなんですもの(笑)。いくらなんでも今時アレはないだろーって感じに。

大阪梅田ブルク7 シアター5にて鑑賞

さて今回の作品、「アップルシード」シリーズの一編というわけなんですが、実は私、士郎正宗氏の漫画やアニメ化作品ってほとんど見てないのですね。特に攻殻シリーズとアップルシードシリーズは1作も見たこと無し。むか~し「ブラックマジック」と「ドミニオン」シリーズの何本かを見たくらいかな。と言うわけで舞台設定とか作品の背景とかはまったく知らないままの鑑賞となりました。

「エクスマキナ」(2007)
EX MACHINA

今から100年ほど後の未来。大戦争の後に生まれたオリュンポスは人間とバイオロイド、サイボーグが共存する中立都市だ。そのオリュンポスで各国の持つ衛星の平和利用に関する世界会議が近く開催されようとする頃、各地でサイボーグによるテロ活動が多発していた。その原因は市民の間で大流行している脳に直接アクセスする情報端末であることは誰の目にもバレバレなのだが、懸命の捜査を続ける警察組織E.S.W.A.Tはなかなかそれに気づかないのだった。

というわけでお話の方はかなり古典的。一応サイボーグの暴走の謎を追うミステリー・サスペンス的展開ではあるのだけど底が浅く、主人公とパートナーのドラマも少々陳腐。良く言えば非常にオーソドックスなSFドラマなのだけど、SF者に見せるには薄く、一般人に見せるにはマニアックすぎるというちょっと中途半端な印象も受けますね。
まぁでも、あくまでフル3D-CGによる迫力ある映像を魅せることに特化したと考えるならば、これもまた良し。でも本当にそうなのかなぁ?
ただせっかくの3D-CGだからとにかく動かしまくらなくちゃって強迫観念に取り付かれたのか、全編落ち着きのない2時間弱は少しばかり疲れますが。

前作にあたるのかな?「APPLESEED アップルシード」(2004)を観ていないのでフル3D-CGの出来には不安もあったのですが、アクションシーンを中心に予想以上に良い出来でしたね。ただどこかで見たような設定や映像がやたらと出てくるのは気になるところでした。監督さん的にはパロディとかオマージュとかインスパイアなのかもしれないけれど、やりすぎは作品そのものを安くしてしまうので控えた方がいいかと。終盤の大量のメカが群れをなして襲ってくる戦闘シーンなんかは「マトリックス レボリューションズ」(2003)そのままだもんなぁ。ウォシャウスキー兄弟は「攻殻」に影響を受けて「マトリックス」(1999)を作ったと聞きますが、それに今度は本家が影響されるというのも面白くはありますが。(もっとも前記のように「アップルシード」原作を読んでいないので、元々そちらの方にあるシーンだったのなら申し訳ない)

ところで制作のジョン・ウーに敬意を示してか、冒頭いきなり教会での銃撃戦ややたらと鳩が飛ぶシーンが入るのはご愛敬というところでしょう。その鳩にテロ事件解明のヒントがあったってところはなかなか上手いなぁ。

ラストはわりと脳天気なハッピーエンド。主人公3人に深刻さはないし、オリュンポスを統治するアテナ様も「また一からやり直しだ」なんて気楽に言ってますが、今回の事件で世界中で市民や警官に多数の犠牲が出たことに少しは思いをはせていただきたかった。そもそも衛星の乗っ取りや市民の暴徒化があそこまで悪化したのは、主人公を含むE.S.W.A.Tの捜査能力の無さとアテナを中心としたオリュンポス政府の想像力の欠如が最大の原因なのだから。まぁそれ以前に、誰が作ったかわからない上に自分の脳に直接アクセスするというような怪しげな装置を危機感無く使用し、全世界で大流行までさせてしまう未来の人々はアホですか?とも思いますけど。
それはそれとして、アテナのキャラクターは個人的に大いにヒットです。高島雅羅さんの声もバッチリで、M的にはゾクゾクしちゃいますよね(笑)。

大阪梅田ブルク7 シアター3にて鑑賞

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