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映画のコトやら何やら綴りませう
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19世紀の天才バイオリニスト、ニコロ・パガニーニの遺した呪われた楽譜を巡るオカルトホラー作品です。なんでもパガニーニはその演奏技術の凄まじさから悪魔に魂を売り渡して手に入れたテクニックと噂されたそうで、なるほどそこらあたりからこの映画のストーリーが発想されたわけですね。
・Wikipediaニコロ・パガニーニ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%BB%E3%83%91%E3%82%AC%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%8B

「パガニーニ・ホラー 呪いの旋律」(1988)
PAGANINI HORROR

パガニーニが魂と引き替えに富と名声を手に入れる契約を悪魔と交わした際に書いたとされる未発表の楽譜。その楽譜謎の男から買い受けた3人組の女性ロックグループはプロモーションビデオを撮影するため、かつてパガニーニが住み契約の儀式をしたという屋敷を訪れる。順調に進む撮影。だが金色のパガニーニマスクをかぶった怪人が現れ、一人また一人と屋敷から人が消えていくのだった。そして屋敷は見えないバリアに包まれ、誰一人逃げ出せない状況に陥ってしまう。はたして怪人はパガニーニの亡霊なのか。そして屋敷に隠された秘密とは・・・

という設定はなかなかに雰囲気があって良し。「オペラ座の怪人」の雰囲気も漂わせるゴシック名ホラー作品ですね。しかし練り込まれていない行き当たりばったりの脚本と安い演出、主演陣の演技力で全て台無しに。
とにかく資金力の無さをアイデアでカバーしようというのは伝わってくるのですが、その才能が監督には無かったようです。トンネルを進んでいったら元の場所に出たり、地下で行方不明になった主人公が外のプールに倒れていたりと様々な怪異が起きるわけですが、描写が安易すぎる上にどんな展開も「オカルト」だから何でもありで済まそうという誠意の無さが随所に見られるのが作品を必要以上に安っぽくしてしまっています。さらに登場人物たちは皆棒立ちで台詞をしゃべり、ただ屋敷の中をうろうろ行ったり来たりするだけの展開は映画に激しいもたつき感を醸し出しています。金色のドクロ仮面をかぶったパガニーニの亡霊などは何をしたいのかもはっきりせず、主人公を焼き殺そうとしながら悦に入ってバイオリンを奏でている内に昇ってきた朝日を浴びて消滅してしまうマヌケなクライマックスはあたかも「死霊の盆踊り」(1965)「ドラキュラ対フランケンシュタイン」(1971)のラストを見ているようで本当に何をしたかったのやら。消滅した後に残る灰が音符の形になっていたり、亡霊の使う凶器がナイフの飛び出す仕込みバイオリンだったりするあたりはもう失笑ものですよ。またやたらと被害者が電撃らしき攻撃を受けるシーンがあるのですが、これもチープな合成がトホホな気分を盛り上げます。
一方イタリアホラーの重要な見所と言える殺害シーンですが、ロックメンバーの一人がカビに全身を喰われて血膿の中で死んでいくところや、女性プロデューサーが見えない壁に押しつぶされるシーンなどいくつかは見応えあるグロシーンに仕上がっています。ただ全体としては数は少なく、ドラマのダルさを忘れさせるところまではいっていなかったというところでしょうか。
出演者面では呪われた楽譜を売り渡す謎の男に名脇役ドナルド・プレザンス、館の女主人にダリア・ニコロディという2人の有名俳優が脇を固めていたところはまぁ一つの見所でしょう。この2人がラストを締める(かなりいいかげんなオチですけど)ところは本作唯一の良心というところでしょうか。

本作の監督ルイス・コーテスは別名のルイジ・コッツィの方がなじみ深い感じですが、ダリオ・アルジェント一家の一人とされ、日本では「ラストコンサート」(1976)「スタークラッシュ」(1978)あたりの監督として一部で知られているでしょうか。聞くところによると当初コッツィはアルジェント制作の「デモンズ3」(1989)を監督する予定だったのがそれを断って本作を監督したそうです。アルジェントはその代わりとしてミケーレ・ソアビに「デモンズ3」を任せたわけですが、そう考えると本作のおかげで我々はソアビの美意識に満ちた「デモンズ3」を見ることができたわけで、その意味ではこの「パガニーニ・ホラー」という褒めどころの少ない作品にも存在価値があったのだなぁと思えてきますね。

ところで本作のテーマソングですけど、どこかで聞いたことある曲だなぁって思いました。なんとか思い出してみるとアレです、SF大会「DAICON4」のOPアニメの曲、E.L.Oの「トワイライト」ですね(ドラマ「電車男」でも使われたそうですけど、見ていないので)。偶然とは思えないほど似ている上に、どう考えても作品に合っているとは思えないんですよねぇ。どういう経緯でこういうテーマ曲が出来たのか、謎です。

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