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公開当時からわりと好評でそのうちに見なくちゃと思っていた一本。
ただ当時から「驚愕のラスト!」とか「あっと驚くどんでん返し!」とか言われていて、最初からどんでん返しがあると分かっていては素直に楽しめんなぁ・・・なんて思っていた上に、微妙なネタばらしを見てしまったのでとりあえずその印象が薄れるまで置いていたという次第。
というわけで公開から3年、地上波TVでは放送してくれそうにないのでDVDで鑑賞です。
「“アイデンティティー”」(2003)
IDENTITY
嵐の夜、郊外のモーテルにそれぞれの事情を抱えた10人の客が泊まることになる。豪雨によって道路が寸断されて身動きの取れなくなったモーテルの支配人を加えた11人。そんな彼らの内の1人が何物かによって殺された。元警官のエドと殺人犯護送中だった刑事のロードは捜査を始めるが、しかし理由も分からないまま1人また1人と殺されていくのだった。
犯人は誰か。目的は何なのか。そして彼らがこのモーテルに泊まることになったのは本当に偶然だったのか。この連続殺人の裏には恐るべき事実が隠されていた。
エドを演じるジョン・キューザックを始めとして地味ながら上手い個性的な役者を集めていて、それだけでも見応えはありますね。ストーリーについてここでは詳しく語ることはしませんが、ラストは結構衝撃的。ただ大きなストーリー上のネタバレを全体の2/3が過ぎたあたりでしてしまっているのはちょっと早いかな。もう少しモーテルを舞台にしたサスペンスを楽しませて欲しかったかと。
10人の男女がモーテルに集まってくることになるオープニングは快調。ここらの演出を見ていて思い出したのはヒッチコック監督の「サイコ」(1960)のオープニング。まぁ訳ありの人物が郊外のモーテルに泊まって殺されるというのはそのまんまなんですが、その設定だけでなく演出そのものがどことなくヒッチコックを思わせるのですね。
本作の演出はジェームズ・マンゴールド監督ですが、この人は結構なミステリやサスペンス映画好きなのかな。もしくは脚本のマイケル・クーニーか。
殺された被害者の側に必ずモーテルの部屋番号が刻印された鍵が落ちていて、その番号が被害者の数のカウントダウンになっているあたりは本編中でも少し言及されている通り、これまで数度にわたって映画化もされているアガサ・クリスティーの名作ミステリ「そして誰もいなくなった」を彷彿とさせます。また嵐の中で孤立するという設定も「そして誰もいなくなった」ですね。同時にこの孤立したモーテルという限定された空間で物語が進むあたりはやはりヒッチコック監督の得意とするところで、そういった意味では本作そのものが様々な先人達の名作に対するオマージュとも思えます。
ただ、本格ミステリを期待して見ると裏切られることになるので注意が必要ですね。あくまでこれはミステリ調のサイコ・サスペンスでありましょう。
監督の演出は不安感を煽るカメラワークを多用し、そのサスペンスの盛り上げ具合は見事。ランニングタイム90分という最近では短く感じる作品ですが、実に過不足無くまとめ上げていると感じます。また一見地味ながら要所要所に使われる視覚効果も良くできています。全体として完成度は高し、です。
ところで脚本のマイケル・クーニーという人はかつて自ら脚本を書いて「キラー・スノーマン」(1996)という作品を監督した人なのですね。これは日本劇場未公開ではありますが数年前にTVで深夜に放送されたのを見たのですが、実にバカバカしくも楽しい、そして奇怪なホラー映画でありました。以降監督作は無く、脚本でも「“アイデンティティー”」が最後のようなのが残念なことです。
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