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映画のコトやら何やら綴りませう
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1970年代の一大パニック映画ブームの一翼を担ったエアポートシリーズ。第一作の「大空港」(1970)から「エアポート'75」(1974)「エアポート'77」(1977)「エアポート'80」(1979)と4作品が作られました。昨今「エアポート2000」とか「2001」とか「2002」とかあたかもシリーズ作品のようなタイトルでDVDが出ていたりするのは、全て適当な邦題のシリーズとは別作品ですのでお間違えなく。
でまぁ、そのエアポートシリーズの中で「大空港」に次いで好きなのが本作「エアポート'77」だったりします。いや~、TV放送されるの何十年ぶりだろ。やはり面白かったですよ。

「エアポート'77 バミューダからの脱出」(1977)
AIRPORT '77

ある資産家が私設美術館を作るため、多数の美術品を空輸することになる。美術品と招待客を乗せて飛び立つジャンボ機だが、美術品を狙う強盗団にハイジャックされてしまう。航路を外れ、レーダーを避けて低空飛行しながらバミューダ海域の無人島を目指すジャンボ機。しかし夜の闇と濃い霧の中、海上油田基地のアンテナに接触してしまった機は墜落し、そのまま海底へと沈んでしまったのだった。

ジャンボ機が悪者にハイジャックされてエライことになるという映画というと、最近だと「乱気流 タービュランス」(1997)なんかを思い出します。エアポートシリーズを思い出させるような航空パニック風味の作品ではありましたが、結局飛行機の中で銃を撃ち合うアクション映画になってしまっていたのが個人的には残念。「エアフォースワン」(1997)とか「エグゼクティブ・デシジョン」(1996)なんかもそんな感じでしたか。はっきり言って、スピーディさと派手さが特徴の今の映画では単に飛行機に穴が空いたり墜落したりというだけでは映画を持たせられないのですねぇ。私なんかは'70年代パニック映画のまったりしたテンポが好きなものですから、今の何でもかんでも銃撃戦や格闘アクション無しでは魅せられないパニック映画風アクション映画はイマイチ情緒がないなぁなんて思ってしまいます。

さて、本作でのハイジャックグループの扱いはと言うと、なんとジャンボ機が墜落したショックで全滅してしまうのですねぇ。ここらへん呆れた展開ではありますが、一方でこの映画はアクション映画などではなく正統パニック映画なのだという意気込みも感じて私的には悪くないところです。ジャンボ機と乗客を危機に陥れた悪党どもは役目を終えると早々に退場し、後は乗客のパニック描写と救出活動に終始するまことに正しいパニック映画と言えましょう。

水圧によって機体が破壊される危機の迫る中、機長と乗客有志は機外に出て発信器付ムボートを海面に上げるという計画を実行し、犠牲を出しながらもそれに成功する。ようやく墜落現場を確認した海軍の救助隊は、ジャンボ機を巨大なバルーンによって海面に持ちげるという救出作戦を開始するのだった。

パニック映画としての本作の問題点は、乗客達が皆異常なほどに冷静で一向にパニックに陥らないところでしょうか(笑)。唯一リー・グラント扮する我が儘な婦人が騒ぐくらいですが、それもヒロインにパンチ食らって失神、そのまま終盤には失神したまま水死というあんまりな扱い。そもそもジェームズ・スチュワート、オリヴィア・デ・ハヴィランド、ジョセフ・コットン、ジャック・レモンといった往年の名優たちを中心に豪華なキャストを揃えた割に、まったくそれぞれのキャラを立てていない脚本に難あり。ヒロインのブレンダ・ヴァッカロはリー・グラントを殴る以外の見せ場は無いし、シリーズレギュラーのジョージ・ケネディは顔見せ程度だし、唯一乗客の中で積極的に動いてハイジャック犯以外の最初の犠牲者となるクリストファー・リーはまったくの無駄死にだし・・・これでは感情移入も何もあったもんじゃありません。豪華キャストが勿体なし。
そんな感じで人間描写もドラマもなってないものですから、見せ場のジャンボ機浮上救出作戦も映像的な迫力はあるものの盛り上がらないこと夥しいわけですよ。

この緊張感のないダメダメな演出を担当したのがジェリー・ジェームソン監督。この方はTVムービーを中心に活躍していたようで「パニック・イン・テキサスタワー」(1975)のような佳作もあるものの、まぁ劇場用映画の代表作と言えばパニックブームに乗って作られた本作と「レイズ・ザ・タイタニック」(1980) というどうにも盛り上がりに欠ける2作品くらいでしょうか。

まぁ本作の問題点を上げるときりがないわけでして、そもそも海中に沈んだジャンボ機からの脱出というシチュエーションが航空パニックと言えるのか、どっちかと言えば「ポセイドン・アドベンチャー」(1972)的海洋パニックではないのか、とか(笑)。ジャンボ機に乗っているのが一般乗客ではなく、少人数の上流階級の招待客だけとしたのがパニック描写をし辛くさせたのではないのか、とか。シチュエーション的に徐々に犠牲者が出て危機感を煽る展開に出来なかった、とか。

とまぁ散々ケチを付けつつも、そういったことを承知の上でこのおおらかなパニック大作がなかなかに好きなのですよね。果てしなく広がる海に沈んだジャンボジェット機という、そのどこか不可思議な光景。そしてそのジャンボ機を強引に浮き上がらせるという強引で非現実的な光景。そうしたワンアイデアのみで本作は忘れ得ぬ作品となっています。映画としては前作「エアポート'75」の方が圧勝と思いつつも、そんな映像のインパクトはあまりに強烈で子供心を直撃したのでした。


ところで、
副題にあるバミューダですが・・・。
バミューダ海域と言うとちょっとオカルトとかに興味がある人には常識とも言える多数の航空機や船舶が消息を絶った魔の三角海域でありまして、本作と同年のスピルバーグ監督作「未知との遭遇」(1977)でも重要な役割を果たしていました。そんなわけで本作の「バミューダからの脱出」というタイトルを聞いたときはワクワクしたものです。いったい魔のバミューダ・トライアングルがどうドラマに絡んでくるのかと。
ところが・・・単にジャンボ機が墜落したのがそのあたりの海域だったというだけで、物語には何の関係もありませんでしたよ・・・。
これが当時見た子供心にとっての最大のガッカリポイントでした(苦笑)。

放送記録:2006年05月13日PM07:30~09:15サンテレビ「シネマ・スタジアム」

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