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先週に続きましてリュック・ベッソン制作、脚本によるアクション作の登場です。
金さえ払えばどんな物でも秘密厳守ルール厳守で運んでみせるクールな運び屋の物語。開幕早々、銀行強盗グループを乗せて追跡するパトカー集団を振り切って見せるあたり実に快調。犯人を契約通りに必ず逃がして見せると言うと、ライアン・オニール主演ウォルター・ヒル監督の快作「ザ・ドライバー」(1978)を思い出しますな。
「トランスポーター」(2002)
THE TRANSPORTER
見る前は同じベッソン制作の「TAXi」(1997) をちょっとシリアスにした程度のカーアクション映画かなと、まぁあまり期待もしないで見たわけですが、オープニングの見事なカーアクションから序盤の展開はテンポも良くてなかなかに期待が膨らみます。自らのルールの為ならば人死にも厭わない主人公の冷徹さも良し。演じるジェイソン・ステイサムも良い感じ。
ところがとある組織に頼まれた荷物に異常を感じ、荷物は決して開けないというルールを破って中を見てしまったことからやっかいな事態に巻き込まれることに。中から出てきたのは中国人のお姉ちゃん。とにもかくにも契約通りお姉ちゃんを約束の場所に届けたものの、その後大事な愛車は爆破されるは命は狙われるはの大騒ぎ。怒りに燃えた主人公は相手の屋敷に乗り込んで大暴れするのであった。
でまぁ、そのまま成り行きでお姉ちゃんも助けてしまうわけですが、ここら辺りから序盤のクールさはどこへやら主人公が急に中途半端な善人になってしまうのが困ったところ。そしてそんな彼を見て「これは使えるわい」とばかりに調子よく懐柔にかかる中国女が非常にイヤだ。父親が殺されるとか大嘘つきまくるわ、自分の肉体を道具に使うわ、最終的な目的が善意に基づく物だったとしてもやり方が小狡すぎてどうにも好きになれないヒロインというのも困りもの。
そんなお姉ちゃんに振り回されて愛車はおろか家まで爆破されてしまう主人公はちと気の毒ですね。
あ、でも組織は最初から主人公を口封じに殺すつもりだったわけだし、主人公を巻き込んだ上に組織を潰された悪党連中の自業自得とも言えますかね。
さて、まんまと女に騙されて組織のボスのところへ乗り込んでみると、組織のボスは中国女の父親でした(笑)。
ここら辺りから物語がハチャメチャになっていきます。
組織のやっている人身売買の秘密を知った主人公をあっさりと警察に引き渡すボス(笑)。組織への反撃と中国女の奪回を誓う主人公に期待をかけ、自ら人質になったふりをして拘置所から逃がしてあげる警部さん(笑)。主人公は車や飛行機を(盗みながら)乗り継いで敵を追うのであった。
まーなんと言いますか、いつものベッソン制作映画らしく掴みはオッケーだけど中身はグダグダ感の漂う作品であります。設定から予想されたカーアクションもオープニングと終盤に少しくらいでちょっと期待はずれかな。格闘アクションに関してはちょっと面白い演出もあり。全体的に狭い空間での格闘シーンが多かったり、全員オイルまみれでツルツル滑りながら戦ったりと、どこかジャッキー映画に通じる感もあります。本作の監督をルイ・レテリエと共につとめるコリー・ユンは「ロミオ・マスト・ダイ」(2000) 等で武道指導やアクション監督をしている人ですが、そこら辺の香港アクションテイストが良く出ていた感じです。
ところで組織のやっていたことですが、本当に人身売買だったのかどうか疑問が残ります。彼ら自身が否定していたのもありますが、コンテナに詰め込まれた中国人達の画がどうにも難民に見えるのですよね。中国の蛇頭みたいに金を受け取って難民を他国に逃がすみたいなことをやっていて、それを娘が誤解していたようにも思えたり。
でもって、どうして娘を運ぶのにわざわざ鞄に詰めて主人公みたいな組織と無関係な人間に任せたのかも謎。物語からすると警察ですら手出ししにくいほどの組織みたいですし、娘の輸送くらい自前でやっていれば無意味に主人公を怒らせて組織を壊滅させられることもなかったのにね~。
と言うわけでベッソンさん、制作脚本作品を狂ったように乱発する前にもう少し脚本を練りましょうよ。
放送記録:2006年05月28日PM09:00~10:54ABCテレビ「日曜洋画劇場」
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