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映画のコトやら何やら綴りませう
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さて、「ジョーズ」(1975)の大ヒットを受け、パニック映画ブームは動物パニック映画ブームへと姿を変えていきます。大災害を描くため大仕掛けの特撮やセットが必要な災害パニック映画に比べ、低予算で作りやすいというのも大きな理由だったのでしょう。
また「エクソシスト」(1973)以降のオカルト映画ブームに合わせてホラー仕立てにしやすいというのも制作側としてはメリットがあったような気がします。
「タワーリング・インフェルノ」(1974)の後、TVムービーの制作などをしていたアレンはこの動物パニックブームに突如として参入します。

(4)1978~:迷走の時代

「スウォーム」THE SWARM(1978)
南米の殺人蜂が大挙して大都市を襲うパニック・スペクタクル作品。
それまでにも蜂の襲撃を描いた映画はありましたが、パニックブームの頂点を極めたアレンとしては意地もあったのかこれをオールスターキャストの超大作として完成させます。

なるほど、原発が爆発し大都市が蜂の群れの猛威にさらされ、軍の火炎放射器部隊と蜂の群れとの戦いが描かれ・・・と、それまでの低予算動物パニックものでは見たことのないスケールの大きな物語が展開します。しかし、この映画全体に漂う緊張感の無さは何でしょうか。ヒロインが蜂の毒に犯されて幻覚を見るシーンにしろ、蜂を研究する博士が無意味に自分の体で人体実験して死んでしまうシーンにしても、そこからは監督が意図するような蜂への恐怖は喚起されることなく、ただ馬鹿馬鹿しい見せ物に終始します。
列車が転覆したり原発が爆発する本来なら大きな見せ場になるはずのシーンも、あまりに編集が悪くいったい画面上で何が起こったのか瞬間的に分からず緊張感を削がれます。さらにそれによる被害を映像で見せることなくTVキャスターの台詞だけで語るなど、何のためのスペクタクルシーンなのか。
監督はアーウィン・アレン本人。アレンは'50~60年代に複数の作品で監督を務め、また「タワーリング・インフェルノ」ではアクション監督も兼任していました。それだけに演出には自身があったのかもしれませんが、残念ながら本作に見るべき点はありませんでした。
そして科学者と軍人との対立をダラダラと描いて退屈なドラマを生み出した脚本はスターリング・シリファント。シリファントは「ホセイドン・アドベンチャー」「タワーリング・インフェルノ」に引き続いてのアレンとのコンビでしたが、前2作に比べてあまりにあまりな出来ではありました。
主演マイケル・ケイン、ヒロインにキャサリン・ロス、軍司令官リチャード・ウィドマーク、老博士ヘンリー・フォンダ、その他オリヴィア・デ・ハヴィランド、リチャード・チェンバレン、ホセ・ファーラー等々というオールスターキャストが余りに勿体ない作品でありました。

もっとも、そういうダメなところも含めてなかなか愛すべき作品ではあるのですけどね(笑)。しかし次なる作品はどうにも褒めようのない作品でありました。
「スウォーム」が作品的にも興行的にも失敗に終わり、アレンは大ヒット作品の続編という安全策に出ます。しかしその頃「スターウォーズ」(1977)が空前の大ヒットを飛ばし、世の中は一大SFブームが巻き起こっていました。アレンは本来自身が得意としていたSFブームの中、どうにもピント外れな作品を送り出すのでした。

「ポセイドン・アドベンチャー2」BEYOND THE POSEIDON ADVENTURE(1979)
poseidon201 パニックブームを作り出した大ヒット作の続編です。話題性においては満点とアレンは思っていたのかもしれません。
しかし、この続編はパニック映画ではありませんでした。
転覆した豪華客船ポセイドン号には、実は秘密裏にプルトニュウムが搭載されていたという驚くべき新事実にまず観客は唖然とさせられます。そしてそのプルトニウムの回収に来た犯罪組織と、難破船に残された金目の物を盗みに(主人公曰く法律上の問題ないらしい)来たサルベージ船の連中とがポセイドン号を舞台に派手に撃ち合いを始めるのでした。

・・・もはや海洋アクション映画であり、「ポセイドン・アドベンチャー」の続編である必然性もありませんね。
監督は「スウォーム」に続いてアレン自身。例によって緊張感のないアクションと面白くないドラマがダラダラ続きます。上下逆さまになってる船内で何故か書類棚がまともに立っていたりと、ドラマの都合上としか思えないご都合主義なシーンなどもトホホ感を盛り上げます。
主演のサルベージ船船長には、やはり前作に引き続いてのマイケル・ケイン。組織のリーダーにテリー・サバラス。個人的には好きな配役ではありますが、オールスターキャストに関しても徐々に小振りになってきているのがもの悲しい気分にさせてくれるのでした。

当然のように期待の大作「ポセイドン・アドベンチャー2」は失敗に終わりました。そこでアレンは「ホセイドン・アドベンチャー」「タワーリング・インフェルノ」のような本格的な災害パニック大作を蘇らせようと考えたのでしょうか。
正直言ってアレンは自分を見失っていたのではないかという気がしてなりません。もはやパニックブームなど遠い昔に終わったSFブームのまっただ中で、アレンは空虚で時代錯誤な一作を送り出すのでした。



この項続く。すいません、次で終わりです(^^:

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無題
う~む、最後のアレといえば、あの意味不明なタイトルのナニですね。
原潜シービュー号の海底科学作戦に胸躍らせた世代としては余りに残念な幕切れだなあ…「タワーリング…」や「ポセイドン…」みたいな傑作を作ったあのセンスは何だったんだろう、そして何処に行っちゃったんだろう…
少々胸を痛めつつも次項、楽しみにしております。
るーちぇ 2005/08/17(Wed)01:03:33 編集
無題
>るーちぇさん

コメントありがとうございます。お盆で帰省していたため、返事が遅れてすみません。

で、そう、アレです(笑)。
ある種アレンの集大成とも言える作品でありながら、あまりにもダメな作品・・・。
私自身いろんな意味で思い入れのある作品でもありますので、複雑な思いを胸に書かせていただきます。

それにしてもアレンについては2回で終わらせるつもりがこんなにダラダラと・・・(笑)。
私の映画人生の原点とも言えるお人なので、書きたいことが次々出てきてしまうんですよね~。
はまりん URL 2005/08/18(Thu)23:12:02 編集
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