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映画のコトやら何やら綴りませう
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さて恒例のサンTV「時代劇スペシャル」。今回はベテラン森一生監督、市川雷蔵、勝新太郎主演による1959年度大映作品です。

「薄桜記」(大映 1959年)

タイトルの読みは「はくおうき」。
時は元禄、かの有名な高田馬場の仇討ちに駆けつける中山安兵衛(後の堀部安兵衛)と、ひょんなことから知り合った丹下典膳。この二人の男と、彼らに愛された一人の女の物語。これはこの男女三人の愛の物語であり、壮絶な悲恋と悲劇の物語であります。

とにかく悲しく、そして痛い物語です。
丹下典膳(市川雷蔵)は愛する女と夫婦になるものの、彼に逆恨みの男どもによって妻は汚され、何も語らず妻を実家へと返し贖罪にと右腕を切り落とさせる。この身と心の痛み。
堀部安兵衛(勝新太郎)は仇討ち騒動に巻き込まれ、否応なく赤穂四十七士の一人となってしまう。そして相手が自分の愛する女で、しかも友人の妻と知りながら同士のために利用しようと考えるこの痛み。
それぞれが好人物でありながら運命に翻弄されるその姿が、物語の悲劇性を高めていきます。

そしてクライマックス。隻腕の上に片脚に深手を負った典膳を数十の浪人どもが襲います。立ち上がることも出来ず、地面を這いずり転げ回りながら斬り結ぶ典膳。この小雪舞い散る中での鬼気迫る殺陣は、しかし余りに美しく哀しく、胸を打つのです。
やがて力尽きる典膳。助けに入って最後の相手を切り捨てた堀部安兵衛は、互いの手を取りながら幸せそうに息絶える典膳とその妻の姿に愕然とするのでした。そして物語は47士の討ち入りへと雪崩れ込み終わりを告げます。

映像の美しさ、見事な編集。森監督の骨太な演出がドラマを盛り上げます。そしてさわやかな好青年だった典膳が徐々にやつれ果てていく見事な演技。市川雷蔵の代表作との声が高いのも宜なるかなというところでしょうか。忠臣蔵外伝という位置づけに留まらず、完成度の高い悲恋の物語を描ききった作品でありました。


それにしても丹下典膳というキャラクター、もちろん架空の登場人物ですが隻腕の浪人という設定といい名前といい丹下左膳をイメージした人物なのでしょうね。その名前にしても丹下左膳と倉田典膳(鞍馬天狗の本名)を足したような名前で遊び心が感じられて面白いところです。

放送記録:2005年9月18日PM8:00~9:46サンTV時代劇スペシャル


ところで今日のアニメ「雪の女王」
毎度笑わせてくれたり感動させてくれたりと出崎監督の演出力の高さを見せつけてくれていますが、本日のエピソード「あの女はろくでなし」は久しぶりに泣かせてくれました。
お母さんはろくでなしなんかじゃない!
で、ブワッと・・・。
相変わらず出てくるのは良い人ばかりで、そこらへんを不満に思う人もいるかと思いますが、でもこういう心温まる作品が1本くらいあってもいいじゃないですか。
普段悪口言ってるようなおばちゃん達も、ヘレーネが川に落ちたと知るとみんなして躊躇することなく飛び込んで助ける。こういうの、甘いかもしれないけど見ていて嬉しくなっちゃうんですよねぇ。
惜しむらくは、もう少し作画が安定してくれるといいんですけどね。

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