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深き霧の中、ガス灯の灯りだけがボウと浮かぶ。
19世紀末期のイギリス・ロンドンへの想いは以前のエントリーでも書きました。シャーロック・ホームズが、ドラキュラ伯爵が、そして謎の殺人鬼切り裂きジャックが闇の中を徘徊する街。
さて、謎に包まれた実在の連続殺人鬼切り裂きジャックを扱った映画は過去にもいろいろありますが、その中でも本作はかなり出来が良い部類に入るでしょう。
「フロム・ヘル」FROM HELL(2001)
舞台は1988年のロンドン。後に切り裂きジャックと呼ばれる殺人鬼のイーストエンドでの最初の娼婦殺しから始まります。このロンドンの貧民街や遠景でのロンドンの街並みを描いた美術がまずなかなかに良い。「100年前のロンドン好き(笑)」にとって、ある種の郷愁すら感じさせてくれます。
そして連続する娼婦殺しはかなり史実に忠実に描かれている感じですね。もっともTV放送では残酷なシーンは大幅にカットされているようでしたが。
しかし史実を元にしながらも、本作はあくまでフィクション。史実の中に上手く溶け込むようにウソを混ぜ込んでいく作りはなかなか巧妙です。
でも主人公である事件を捜査する警部が一種の超能力者という設定は今風ですね。この設定は折角のリアルなドラマからやもすれば現実感を奪っているし、しかしその一方でドラマ的な面白さも醸し出しているところが見ていて微妙でもあります。
それにしてもこの警部の能力がTVシリーズ「ミレニアム」の主人公の能力と(その表現法も含めて)かぶっているなぁ。おそらく参考にしたんだろうなぁ(笑)。
警部を演じているのがジョニー・デップ。役柄的に「スリーピー・ホロウ」(1999)を思い起こさせますが、やはり上手い役者さんですね。彼と、もう一人イアン・ホルムの存在感がこの作品を引き立てています。
切り裂きジャックが何者だったのかは結局史実の上では明らかになりませんでしたが、その正体を追った数々の研究書や小説が書かれています。本作はそれらの様々な犯人予想をよく研究しているようでした。映画の中で様々な容疑者が浮かんでは消えていくところは切り裂きジャックに興味を持っている人には面白く、興味深いところでしょう。王室関係者の犯行という説も古くから多くありますが、そこまで踏み込んだところは立派。でも、逆に言えば当時の誰か実在の個人を犯人に仕立てるわけにもいかないんで、ありがちで誰からも文句の付かないお上の責任とした気もしますが。
しかしこの作品で一つ大きな不満があるとすれば、ジャックが(個人の暴走はあったにせよ)組織的な犯行という設定でしょうか。私的にはジャックはあくまで協力者のいない個人による殺人だったと想像していたもので、そこらへんには少々違和感は感じてしまいました。
まぁでも様々な犯人像を取り入れつつ、映画的娯楽作品を作るにはこの設定は最適だったのだろうとは思います。
放送記録:2005年8月27日PM9:00~10:54TV大阪木曜洋画劇場
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