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映画のコトやら何やら綴りませう
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大映製特撮時代劇ですよ。

「透明剣士」(1970)

この作品、たしか「ガメラ対ジャイガー」と併映だったんで確実に劇場で観ているはずなんですが、まったく内容が記憶になかったもので新鮮な気持ちで鑑賞。たしか本作は「妖怪百物語」(1968)「妖怪大戦争」(1968)「東海道お化け道中」(1969)に続く大映「妖怪」シリーズの第4弾という位置づけだったと思うんですけど、盗賊団に父を殺された気弱な青年剣士が妖怪しょうけらから製法を教わった透明薬を使って敵討ちを果たすというお話。なんだけど、脚本はかなり適当。運と偶然だけであっという間に盗賊団の正体がわかり、誰が犯人かという謎解きの面白さは皆無。と言って明朗な剣劇アクション物としても微妙な出来です。死に神を上手く出し抜いたり、透明剣士が悪侍を翻弄したりと良いシーンも随所にあるのですが、映画全体としては散漫な出来かと。
まぁ「ガメラ」と併映ということからわかる通りあくまで本作の対象は子供なんで遊び心や楽しさには満ちてるんですけどね、もう少しストーリーにも気を遣ってほしかったというところです。

監督は「大魔神」シリーズや「妖怪」シリーズの特撮監督でお馴染みの黒田義之氏。本作でも監督自ら特撮も兼任していますが、実のところ特撮らしい特撮はほとんど無し。よほど制作費が低かったのだろうと想像しますが、ほぼ現場での特殊効果のみで処理しています。まぁそういう意味では特撮映画としての醍醐味は無いに等しいのですが、しかし金がないなら無いなりに様々なアイデアを駆使して透明剣士を表現しているのには感心させられます。いやいや流石は黒田監督であるなぁ。
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以前より見たいと思っていた一本。一昨年に亡くなった奇才、石井輝男監督の異色時代劇であります。

ポルノ時代劇 忘八武士道 (東映・1973)

人斬り死能の異名を持つ浪人明日死能。「生きるも地獄、死ぬもまた地獄」・・・流れるがままに生き、立ちはだかる者を斬り続ける死能は、捕り方に囲まれ川へと飛び込む。死する運命に身を委ねようとしていた死能を救ったのは、花街吉原を支配する忘八たちだった。
人の持つ八つの心を忘れ去った人でなしの集団、忘八。その元締め大門四郎兵衛は死能を殺し屋として雇い入れる。吉原の隆盛と権力を脅かす相手を斬って斬って斬りまくる死能。だがその一方で、死能は自分が用済みになった時に四郎兵衛が何を企むのかを理解していた。
やがて四郎兵衛と幕府老中の間で密約が交わされ、四郎兵衛は今や邪魔者となった死能を阿片と女漬けにした上で抹殺を企む。全て承知の上で自ら罠にかかる死能。死能は阿片の見せる幻覚に耐えながら女達を斬り捨て、四郎兵衛に逆襲すると待ちかまえる数十の捕り方の中へ単身切り込んでいくのだった。

いやもう、手足や生首が豪快に飛びまくるオープニングから実に快調(笑)。石井監督ならではのエログロ味満載のまさに逸品と言えましょう。原作は小池一雄&小島剛夕の「子連れ狼」コンビによるコミックですが、その「子連れ狼」が同年に萬屋錦之介主演でTVドラマ化され、そちらでも石井監督が演出を手がけています。両作の雰囲気の共通性などを楽しむのも良いですね。

本作の主人公明日死能を演じているのが、やはり昨年亡くなった丹波哲郎。全ての感情を失ったように淡々と人を斬りながら、一方で奇妙な独自のモラルを持つ不思議なアンチヒーローを見事に演じています。まぁ、元々演技派とは言えない丹波さんですから、この淡々とした演技は演じやすかったのかもしれません(笑)。しかしそんな死能が自分を慕っていた忘八の一人姫次郎の無惨な死に際して初めて感情を顕わにするシーンは、胸を打つ名シーンでありました。
しかし本作の同年に東宝の「日本沈没」で人情派の総理大臣を重々しく演じていたりして、気に入ったならどんな役でも引き受ける丹波さんらしい話ではあります。

大門四郎兵衛配下で忘八者のリーダーを演じるのが「水戸黄門」の格さん役等時代劇ではお馴染みの伊吹吾郎。これがまたいい。人でなし集団のリーダー役に相応しい凄みのある演技で、ヘタすれば主役を喰ってしまいそうな勢いです。
吉原の利権を一手に握る大門四郎兵衛には、やはり時代劇の悪役でお馴染みの芸達者、遠藤辰雄。憎々しくも愛嬌のある悪役ならこの人って感じで、妖怪じみた四郎兵に存在感を与えています。

さて、多くの人が興味を惹かれるであろうタイトルの「ポルノ時代劇」という部分ですが、実のところさしたる物ではありません。確かに女の裸はいやってほど出てきますが時代が時代ですからね、ポルノ的描写に関しては昨今のAVなどを見慣れた人にとってはぬるすぎると感じることでしょう。
ですが本作が一部好事家から絶賛されるのは、この裸を晒しまくる女達の中にある女優さんが居るのが大きな理由の一つでありましょう。本作のヒロインであり、女忘八のリーダーお紋を演じるのが、かのひし美ゆり子嬢なのです。
ひし美ゆり子と言えば「ウルトラセブン」(1967~1968)のアンヌ隊員や「地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン」 (1972)のお姉さんとして、かつての特撮少年の憧れを一身に受けた女優さんでありますね。かく言う私もそんな少年の一人でしたが。 ほんの少し色っぽくなったアンヌ隊員が美しい全裸を惜しげもなく晒しまくるわ、大の字に縛りつけられてエロジジイたちに品定めされるわ、小さめのオッパイをいいように揉みしだかれるわ、まぁかなり堪らんものがあるのは確かなわけです。アンヌ隊員の愛らしさ純情さに惚れていた身としては、少々複雑な気分もあるんですけどね。もっとも'70年代のひし美さんと言えば本作だけでなくいろんな映画で裸を晒していたわけですが、その中でも本作での脱ぎっぷりの良さがピカイチではあります。

さて、阿片の幻覚を振り払うために自らの体を傷つけつつ捕り方の群れに切り込んでいくクライマックス。再び宙を舞いまくる腕、脚、生首。この病的とも言える壮絶な美しさよ。'60年代に「網走番外地」シリーズを大ヒットさせ、'70年代にはエログロの巨匠と呼ばれた石井輝男監督の面目躍如たる強烈な殺陣です。しかしどんな狂気に満ちた映像を撮りながらでも、常にカメラの目線が冷静に感じられるのが石井作品の特徴であり面白いところですね。

'60年代から'70年代にかけて映画界全体の観客動員数の減少によって邦画各社は生き残りをかけての試行錯誤をし、異常性愛シリーズ等の所謂東映ポルノが誕生。本作もそんな東映ポルノ路線の一本だったわけですが、しかしそんな枠を超えてこれは見事なまでに石井監督らしいキワモノ的な、同時に見事な娯楽時代劇でありました。

間開きましたが、25日の続きです。

まぁ金田一耕助というキャラは過去現在と様々な役者さんが演じていますね。役者さんや監督によってずいぶん解釈が違っていたりしてそれぞれに面白い。
特に好きなのは最初に見た金田一ということもあるでしょうが、やはり石坂浩二。TVの古谷一行金田一も大好きですが、流石に近年は老けすぎで辛いところ。原作ファン及び原作者にも不評であった片岡千恵蔵金田一は、確かにまぁ金田一耕助か多羅尾伴内だか見分けが付かなかったりもしますが(笑)これまた好きだったりします。
ちゅうか皆それぞれに個性的で、どうしても好きになれなかったのは片岡鶴太郎金田一くらいですか。片岡金田一シリーズは演技も酷かったけど作品も酷かったなぁ。
さて鹿賀丈史金田一ですが、独特な風貌とそのわりに軽い雰囲気で印象に残る金田一さんですね。登場作品の出来はさておいて、一作だけで終わらすのは惜しい金田一さんでした。

Akuryotou 「悪霊島」(1981)

瀬戸内海に浮かぶ刑部(おさかべ)島に行方不明者捜索の依頼を受けて向かう金田一耕助は、途中奇妙なヒッピー青年五郎と知り合う。彼もまた何かの目的を持って刑部島に向かうようだ。刑部神社の祭りが近く帰省者や観光客でごった返している島。肝心の行方不明者はすでに死体となっていたが、こときれる直前に「鵺(ぬえ)の鳴く夜に気を付けろ」という謎の言葉を遺していた。

「鵺の鳴く夜は恐ろしい」のコピーとビートルズの歌を主題歌にしたことで公開当時大きな話題になった作品です。
古い因習の残る瀬戸内海の孤島で起こる連続殺人、と言うことで「獄門島」(1977)と印象がかぶりますね。佐分利信が本作にも出演していることでなおさらその思いが強くなります。まぁ見終わった時の印象はずいぶんと違うのですが、原作がわりと後期の作品と言うこともあってかいささか新味に乏しい筋立てではありますね。双子というのが本作の重要なテーマになっていますが、双子が禍々しい事件の発端となる物語は古来より多々ありますし、双子を利用した一人二役トリックも今となっては目新しいモノではありませんし。

篠田正浩監督の映像は美しく見応えあります。しかし脚本の混乱ぶりが見ていて少々辛いところ。それでなくても人間関係が複雑ですんなりと理解しづらい物語がなおさら複雑怪奇に。市川シリーズのように分かりやすく整理することをしなかったのは「あえて」のようでもありますが、そのことで作品自体の印象を薄めてしまっている気がします。それにしても犯人が誰かを知り、そのことをひた隠しにしようとする人物がどうしてわざわざ金田一を呼び寄せたのかといった、筋の通らない部分はなんとかしてほしかったものです。

役者陣はなかなかに豪華。特に本作の真の主役と言えるヒッピー青年を演じる古尾谷雅人さんがいいですね。この人はどんな役柄でも上手く演じる好きな役者さんで、本作での飄々としていながら何かしら心に秘密を抱えた青年は見事です。すでに亡くなられているのが本当に惜しまれます。
そしてもう一人、妖艶にしてどこか無邪気な御寮人を演じる監督夫人でもある岩下志麻が実に良い。思えば岩下志麻さんの主演作品ってほとんどまともに見たことがないんですよね。「極道の妻たち」シリーズとか、あまり興味がないもので。しかしこれほとどに上手い方だとは思っていませんでした。

ところで最後に、今回見たDVD版に対する大きな不満を一つ。
使用権が切れたのでやむを得なかったという事情は理解できますが、それでも作中のビートルズの歌が他の歌手によるカバーに差し替えられていたのは本当に残念なことでした。ラストに流れる主題歌「レット・イット・ビー」など、あまりにパンチ力が無さ過ぎて昔見た時に比べて印象は大きくマイナスになってしまいました。事情はあるとは言えやはり改ざんは改ざんですし、なんとかオリジナル版での再発売はできないものか。

新年からこっち、何故だかいろんな役者さんが演じる金田一モノをあれこれ見ていました。正月には中尾彬の「本陣殺人事件」(1975)、5日にはTVドラマですが稲垣メンバーの「悪魔が来りて笛を吹く」(2007、んで先週末に実家で鹿賀丈史の「悪霊島」(1981)と渥美清の「八つ墓村」(1977)を続けざまに見てきました。
まぁ「悪魔が来りて」を除く劇場用3作品はいずれも過去に一度以上見たことのある作品ですが、特にずっと昔にTV放送されたのを一度見たきりだった「本陣殺人事件」と「悪霊島」は楽しく鑑賞できました。「悪魔が来りて」と「八つ墓村」については以前にも書きましたので、今回はこの2本について簡単に。
ネタバレありですんで、もしまだ未見で興味ある方はぜひ先にレンタル屋に走ってください。


「本陣殺人事件」(1975)

旧家一柳家当主の新婚初夜、かき鳴らされる琴の音と共に夫婦が何者かに惨殺される。二人が殺害された離れは時季はずれに降り積もった雪に足跡もなく、完全な密室状態だった。犯人はどこに消えたのか。そして事件前屋敷周りに出没していた三本指の男と、当主のアルバムに遺されていた「生涯の仇敵」の正体とは。
殺害された新妻の父は旧知の私立探偵金田一耕助を呼び寄せ、この奇怪な事件の捜査を依頼するのだった。

金田一モノとしてはあまりに有名な原作でありつつ、もう一つ映像映えしない地味さのせいか他の「犬神家の一族」等のように映像化されることの少ない作品でもありますね。空前の横溝ブームが巻き起こったのは翌年公開の石坂浩二版「犬神家の一族」(1976)以降ですから、本作がその直前にひっそりと公開されたというところも地味ですねぇ。
しかし、ミステリとしては飛び切りに面白いのですよ。傑作であります。
密室殺人と琴音の謎。三本指の男の秘密。何故猫の墓が掘り起こされたのか。何より密室が犯人の望まぬ形で成立してしまったという皮肉な設定が大好きなんですわ。旧家の因習のようなおどろおどろしさはさらりと流し、本格的な探偵モノの醍醐味が見事に映像化されています。映像の美しさも特筆したいところ。

監督脚本は高林陽一。典型的な低予算のATG作品ですが、低予算ならではの作品作りを良く心得ておられると感心します。市川崑シリーズのような金のかかったド派手さももちろん面白いですが、こういう渋い映画もまた楽し。
そしてこういう作品の場合役者さんの演技力が物を言うわけですが、主演の中尾彬ももちろん良いのですが、一柳家当主を演じる田村高廣が最高に素晴らしい。神経質で自尊心が高く何を考えているのか底を見せない一柳賢蔵という人物とその行動に、田村高廣の演技と存在感が確かな説得力を与えています。

ただ本作の時代設定が現代に移されていることは、これもまた低予算ゆえの仕方のない部分なのでしょうけれど、原作発表当時でさえ時代錯誤と言われることもあったという犯行動機が更に理解しにくいものになってしまったのではないかと、それは少々残念に感じるところです。
まぁ作品世界にどっぷりと浸ってしまえばさほど気にはならないとは思うんですけどね。

潜水艦モノにハズレ無し、なんてことを良く聞きますな。「眼下の敵」(1957)「レッドオクトーバーを追え!」(1990)「U・ボート」(1981)等、確かに傑作多し。しかし実際の所ダメな潜水艦映画も多々あるわけでして、まぁ本作もそんな中の1本と子供の頃に見た時には思ったものです。
で、それから数十年ぶりに再見。昔見た時の記憶を再確認するつもりが、いやいやこれはなかなか面白いんでないの?

「原子力潜水艦浮上せず」(1978)
GRAY LADY DOWN

それはブランチャードにとって艦長としての最後の任務の日だった。何事もなく平和な航海を続けていた原子力潜水艦ネプチューン号は、突然深い霧の中で民間の貨物船と衝突してしまったのだ。沈没するネプチューン号は深い海溝の入り口に引っかかる形でなんとか水圧による圧壊をまぬがれたものの、乗員の半数以上を失う大惨事となってしまった。しかも頻発する地滑りによっていつ海溝の底に引きずり込まれるかわからない状況だ。
すぐさま派遣された救助部隊による救出活動が行われるものの、ネプチューン号に次々と危機が襲いかかる。小型潜水艇の艇長ゲイツ大佐は救出活動成功のため、決死の行動に出るのだった。

まさに'70年代ならではのパニック大作であります。'70年代的と言うのはつまり、大味で捻りのないストレートなドラマ展開だけどそれゆえに面白いというところですね。直球ド真ん中な物語を一気呵成に見せられるのは心地良いものです。特撮シーン主体のパニック作品なもので、人間ドラマが上っ面でしか描かれていないのは映画に奥行きが無さ過ぎではありますが、まぁそれはそれで潔いとも言えるかな?
ネプチューン号の乗員を救うために命をかけるゲイツ大佐は、演じるデヴィッド・キャラダインのキャラクターもあって魅力的な人物です。規律正しい海軍の中で一匹狼的な人物像というのは軍隊モノや刑事モノでは実にありふれた類型的なキャラクターなんですけど、やはりメリハリがあって面白いんですよね。ついでに当時の軍隊モノと言うことでヘタに女子供が物語に絡んでこない、まことに男臭い作品に仕上がっているのも嬉しいところ。
特撮に関しては'70年代の作品としてもいささかチャチいのが悲しいところですが・・・。
とにもかくにも、後世に残るような作品ではまったくありませんし監督の演出力にも疑問を呈したい部分はあるものの、とにかく2時間の上映中は楽しませてやろうというまことに正しいパニック映画ではありました。

それにしても俳優陣もなかなか豪華ですな。主演のネプチューン号艦長に'70年代パニック映画の顔とも言うべきチャールトン・ヘストン。上記のデヴィッド・キャラダインに加えてネッド・ビーティ、ステイシー・キーチ、ロニー・コックス等が助演。まぁヘストン以外は少々小粒かもしれませんが。
ところで見ていて、救助艦の司令室に居るどこかで見た様なさわやか顔の下士官に気が付きました。なんだかクリストファー・リーヴに良く似た人だなぁと。調べてみると「スーパーマン」(1978)でブレイクするより以前のご当人でした。本作でのチョイ役で映画デビューし、その直後にスーパーマン役に抜擢されたというまことに幸運な映画デビュー年であったわけですねぇ。その後の事故や早すぎる死を思うと悲しくもなるのですが。

放送記録:2006年12月20日PM07:30~09:15サンテレビ「水曜ザ・ムービー」

さて来ました、先週に引き続いての爽快カーアクション第2弾です。

「トランザム7000VS激突パトカー軍団」(1980)
SMOKEY AND THE BANDIT II

マイアミからテキサスへ期限内に荷物を運べば20万ドル。例によってあの凸凹親子からの依頼を受けるバンデットとスノーマンだったが、恋人キャリーに捨てられたバンデットは数ヶ月前から酒浸りの日々だった。スノーマンはこちらも例によってジャスティスJrと結婚式真っ最中だったキャリーを呼び寄せ、なんとか立ち直っていくバンデット。再びチームを組んだ3人はマイアミに向かうが、請け負った荷物の中身は何と象だった。
巨大な象は妊娠中だということも発覚し、またジャスティス保安官の執拗な追跡もあって旅は難航を極める。そして業を煮やしたジャスティス保安官は兄弟を呼び寄せ、バンデットを荒野へと誘った。そこには100台ものパトカーが待ち受けていたのだった。

前作のメンバー勢ぞろいによるシリーズ第2弾です。前作同様ウェディングドレス姿で結婚式から逃げ出すキャリーやジャスティス親子のマヌケなやり取り、今回も仕事を依頼するイノス親子など繰り返しのギャグも楽しいところ。
クライマックスは何と言ってもパトカー軍団とトラック軍団の荒野でのド派手な対決ですね。次々と破壊されていくパトカーを見ていると後のことが心配になったりもします(笑)が、まぁここはコメディ映画と言うことで素直にその爽快なカーアクションを楽しみましょう。

しかし、映画としての構成が前作とさほど変わらないのが辛いところ。荷物が象だったり、多少アクションが派手になったりと新味を出そうとはしているものの、やっていることはほぼ前作の繰り返しにすぎないんですよねぇ。
またドラマによって前作にあった爽快感が減少しているのも残念。妊娠中の象を巡って3人が対立したり、象が旅に加わることでドラマ的に起伏が生まれたのは良いんですけど、どうしてもカーアクション映画としての疾走感はぶつ切りになってしまっています。
まぁ今回新たに旅の仲間となる象と、象の健康管理に無理矢理連れて行かれる変な医者を見てもわかる通り、本作は前作に比べて大きくコメディ映画寄りになっていることがわかりますし、お笑いを重視した結果あえてそういった疾走感を多少犠牲にしたというところでしょうか。

ところで今作のラスト、象やキャリーへの愛情のためとはいえバンデットが依頼された仕事を完遂できなかったというのは少々不満でしょうか。まぁこれはこれで心温まるちょっとイイ終わり方ではあったんですけどね。

放送記録:2006年11月22日PM07:30~09:15サンテレビ「水曜ザ・ムービー」

軽快にして爽快。'70年代を彩るカーアクション・ブームの中で生まれた傑作を久々に再見。

「トランザム7000」(1977)
SMOKEY AND THE BANDIT

テキサスからアトランタまで、28時間以内に往復して荷台一杯のビールを運べば8万ドル。この仕事を受けた伝説のトラック野郎バンデットと相棒のスノーマン。トラックをスノーマンに任せ、自らはトランザムに乗り込んで警察を翻弄するバンデット。しかし途中でウェディングドレス姿の女性を拾ったことが原因でスモーキーことビフォード・T・ジャスティス保安官の執拗な追跡を受けることになるのだった。

とストーリーを書くと「ダーテイ・メリー/クレイジー・ラリー」(1974)のような重めの作品に思えますが、実のところはコメディタッチのアクション作品です。全編に流れるカントリーミュージックもそぐわしい明るく楽しい、最後まで退屈することのない逸品。

バンデットを演じるのは男臭さと笑顔がまぶしい名アクションスターのバート・レイノルズ。本作は米版「トラック野郎」なんて言われたりしますが、レイノルズ自身はトランザムに乗ってトラックの走行を補佐する役所。常にかぶっているカウボーイハットのバッチリ決まって格好イイし、途中で同乗することになる元気の良い女性を演じるサリー・フィールドとの掛け合いも楽しい。この二人、当時は恋仲だったということもあってか本当に楽しそうなんですよね。ここらへん「ガントレット」(1977)他多数で共演したクリント・イーストウッドとソンドラ・ロックの関係にも似ていますかね。

それと「トランザム」シリーズのもう一人の顔とも言うべき鬼保安官ジャスティスを演じるジャッキー・グリーソンもまた実に良し。マジになればなるほど笑えてくるトンマな保安官ぶり無くして、本作はこれほど笑える作品にはならなかったでしょう。

ストーリーは単純明快で、小粋なドラマとド派手なカーチェイスシーンのつるべ打ちが楽しい。これを撮ったのがハル・ニーダム監督ですが、本作のヒットで名を上げた後は「グレートスタントマン」(1978)や本作続編「トランザム7000VS激突パトカー軍団」(1980)メガフォース」(1982)キャノンボール」(1980)とその続編等を監督していて、まぁカーアクション物やメカアクションが本気で好きなのだなぁと感じます。「トランザム7000」におけるカースタントの見事さも当然と言ったところでしょうか。しかし正直言って本作以外の監督作は映画として今一つなのも事実。'90年代以降は「トランザム7000」のTVムービーシリーズ程度しか撮っていないのが悲しくもあります。

それにしても'70年代はスーパーカーブームもあってか、やたらとカーアクション映画が公開されました。私の好きな前出の「ダーテイ・メリー/クレイジー・ラリー」(1974)「バニシング・ポイント」(1971)、後に「「60セカンズ」(2000)としてリメイクされた「バニシングIN60」(1974)等々。時期的にアメリカンニューシネマの流れを汲んでか重めのラストを迎える作品も多く、それも魅力の一つではありましたが、しかし本「トランザム7000」はクリント・イーストウッドのお気楽トラック野郎「ダーティファイター」(1978)と並んで突き抜けた楽しさのある映画でありました。

さて次週のサンテレビ「水曜ザ・ムービー」は続けてシリーズ第2弾「トランザム7000VS激突パトカー軍団」の登場ですよ。楽しみ楽しみ。

放送記録:2006年11月15日PM07:30~09:15サンテレビ「水曜ザ・ムービー」

おや懐かしや。'70年代パニック映画ブームの中で人気を博した航空パニック「エアポート」シリーズの第4弾にして最終作の登場です。

「エアポート'80」(1979)
THE CONCORDE-AIRPORT '79

パリ経由でモスクワへと向かう超音速旅客機コンコルド。巨大軍需企業の社長は兵器密売の証拠資料を持って乗り込んだ乗客もろとも、そのコンコルドの破壊計画を企てた。飛来する誘導ミサイルや国籍不明の戦闘機の攻撃を、コンコルドはくるくる宙返りしながらひょいひょいとかわすのだった。

前作「エアポート'77/バミューダからの脱出」(1977)は当ブログで以前に紹介しましたが、ジャンボ旅客機が墜落し海底に沈んでどうしようっていう航空パニック映画と言うより「ポセイドン・アドベンチャー」(1972)みたいな海洋アドベンチャーという作りでした。そこら辺の反省があったのか、今作はシリーズ中でも最もハデな超音速アクションが展開します。

中継地のパリへと向かうコンコルドをまず襲うのは最新鋭の誘導ミサイル兵器。これをコンコルドは宙返りでかわして事なきを得ます。続いては国籍不明のF4戦闘機。戦闘機の発射する熱源誘導ミサイルの1発目をまたまた宙返りで避け、2発目は背面飛行をしつつコクピット脇の窓をガラリと開けて腕を突き出して(注:超音速で飛行しています)照明弾を撃つことで誤誘導を誘って爆発させます。3発目4発目はコンコルドのエンジンを全て止めることで熱源をカットし、ミサイルに目標を見失しなわせます。しかしそのままきりもみ落下して墜落しそうになるコンコルドですが、海面すれすれでなんとかエンジン始動。一方コンコルドを追尾していた戦闘機はそのまま海面に突っ込むのでした。
ようやくパリはド・ゴール空港に到着するコンコルドでしたが、戦闘機の攻撃によってブレーキが故障。緊急停止用のネットを次々と突き破りながら、滑走路を飛び出す寸前でようやく停止することに成功するのでした。

まぁなんちゅーか・・・やりすぎ感が溢れる展開です(笑)。しかもその超音速バトルが何ともバカバカしい。真面目な航空パニック映画として見ていると呆れかえってしまうところですが、しかし見方を変えればこの突き抜けた展開はなかなか面白くもあります。
何と言っても宙返りする度に機内がエライことになってる中、コクピットの連中がやたらと冷静なのが奇妙で笑えます。着陸した後も普通なら誰が何のためにコンコルドを狙ってきたのかを気にしそうなところを、実際に気にするのは翌日の飛行が予定通りに行えるかとホテルでのお姉ちゃんとのアレくらいというのはどういう神経なのでしょう。
さてこのコクピットメンバーですが、パイロットを演じるのはアラン・ドロンとジョージ・ケネディ。通信士にデビッド・ワーナー。ついでにチーフスチュワーデスに「エマニエル夫人」(1974)ことシルヴィア・クリステル。何とも豪華な搭乗員ではあります。

さて一夜明け、一晩の内に修理を完了したコンコルドは予定通りモスクワに向かって飛び立つことになります。昨日と同じ乗員乗客を乗せて離陸するコンコルド。しかし悪の社長によって買収されていた整備士の工作によって、飛行を続けるコンコルドには空中分解の危機が迫っていた。
機体に亀裂が走っていくコンコルド。機長はアルプスの雪原への不時着を決行。何とか乗員乗客全員が脱出した直後、コンコルドは大爆発したのでした。

この後半のシークエンスで一番驚かされるのは、前日あれだけ何度も死にそうな目に遭いながら誰一人キャンセルしていない乗客のみなさんにでしょうか。どんだけ肝が据わっているのかと(笑)。
まぁこういう部分も含めて本作の最大の欠点は、人間がまったく描かれていないという部分でしょうか。前作までの「エアポート」シリーズのみならず、パニック映画の醍醐味と言えば(大特撮もそうですが)危機的状況の中での様々な人間ドラマにあったわけです。ところが本作ではまともなドラマが一切無し。普通は乗客たちの中に様々なドラマを仕込んでおくものじゃないか?
超音速アクションに特化した作りを狙ったのもわからないではないですが、そのキャラクター描写の薄さはあまりにあまりではないかと。おかげで映画を見ていて誰一人として感情移入出来るキャラが居ないという、まことに珍しいパニック映画に仕上がっています。
ちなみに出演者は前出の乗務員に加えて、悪の社長にロバート・ワグナー、乗客にエディ・アルバートやスーザン・ブレイクリーと実に豪華。その豪華な配役がまったく生かされていないのは勿体ない限りです。

とまぁ、映画としてはヒドい出来の本作ですが、それでもわりと好きな作品ではあります。少なくともシリーズ中4番目くらいには(笑)。ド・ゴール空港着陸やラストの不時着シーンなどのミニチュア特撮もお気に入りですし。
しかし何と言っても本作の最大の売りは、本物のコンコルドをイヤってほど見ることが出来る点でしょう。
世界初の超音速旅客機コンコルドは、そのデザインの格好良さも相まって当時の男の子たちにはスーパーカーと並んで大人気でした。そのコンコルドが映画館の大画面で飛び回るのが見られるという、それだけでも本作は期待の一作だったわけですよ。

しかしそのコンコルドも後の2003年に運行停止、就航していた全機が退役となりました。その直接の原因となったのが2000年にド・ゴール空港で起きた炎上墜落事故でしたが、実はその事故機が「エアポート'80」において撮影に使われた機体であったとは知りませんでした。何か妙な因縁を感じますね。

Wikipedia:コンコルド墜落事故
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%B3%E3%83%AB%E3%83%89%E5%A2%9C%E8%90%BD%E4%BA%8B%E6%95%85

最後に「エアポート」シリーズ全作のリスト。
第1作「大空港」(1970)
第2作「エアポート'75」(1974)
第3作「エアポート'77/バミューダからの脱出」(1977)
第4作「エアポート'80」(1979)

この他に「エアポート○○」(○○には年代が入る)なタイトルの作品がレンタル屋などに行くとやたらと並んでいたりしますが、これらは全て日本で勝手にタイトルを付けただけのシリーズとは関係ない作品なので注意が必要ですね。航空モノというだけで何でも「エアポート」って付けられるのは困りものです。

放送記録:2006年11月08日PM07:30~09:15サンテレビ「水曜ザ・ムービー」

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