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新年からこっち、何故だかいろんな役者さんが演じる金田一モノをあれこれ見ていました。正月には中尾彬の「本陣殺人事件」(1975)、5日にはTVドラマですが稲垣メンバーの「悪魔が来りて笛を吹く」(2007)、んで先週末に実家で鹿賀丈史の「悪霊島」(1981)と渥美清の「八つ墓村」(1977)を続けざまに見てきました。
まぁ「悪魔が来りて」を除く劇場用3作品はいずれも過去に一度以上見たことのある作品ですが、特にずっと昔にTV放送されたのを一度見たきりだった「本陣殺人事件」と「悪霊島」は楽しく鑑賞できました。「悪魔が来りて」と「八つ墓村」については以前にも書きましたので、今回はこの2本について簡単に。
ネタバレありですんで、もしまだ未見で興味ある方はぜひ先にレンタル屋に走ってください。
「本陣殺人事件」(1975)
旧家一柳家当主の新婚初夜、かき鳴らされる琴の音と共に夫婦が何者かに惨殺される。二人が殺害された離れは時季はずれに降り積もった雪に足跡もなく、完全な密室状態だった。犯人はどこに消えたのか。そして事件前屋敷周りに出没していた三本指の男と、当主のアルバムに遺されていた「生涯の仇敵」の正体とは。
殺害された新妻の父は旧知の私立探偵金田一耕助を呼び寄せ、この奇怪な事件の捜査を依頼するのだった。
金田一モノとしてはあまりに有名な原作でありつつ、もう一つ映像映えしない地味さのせいか他の「犬神家の一族」等のように映像化されることの少ない作品でもありますね。空前の横溝ブームが巻き起こったのは翌年公開の石坂浩二版「犬神家の一族」(1976)以降ですから、本作がその直前にひっそりと公開されたというところも地味ですねぇ。
しかし、ミステリとしては飛び切りに面白いのですよ。傑作であります。
密室殺人と琴音の謎。三本指の男の秘密。何故猫の墓が掘り起こされたのか。何より密室が犯人の望まぬ形で成立してしまったという皮肉な設定が大好きなんですわ。旧家の因習のようなおどろおどろしさはさらりと流し、本格的な探偵モノの醍醐味が見事に映像化されています。映像の美しさも特筆したいところ。
監督脚本は高林陽一。典型的な低予算のATG作品ですが、低予算ならではの作品作りを良く心得ておられると感心します。市川崑シリーズのような金のかかったド派手さももちろん面白いですが、こういう渋い映画もまた楽し。
そしてこういう作品の場合役者さんの演技力が物を言うわけですが、主演の中尾彬ももちろん良いのですが、一柳家当主を演じる田村高廣が最高に素晴らしい。神経質で自尊心が高く何を考えているのか底を見せない一柳賢蔵という人物とその行動に、田村高廣の演技と存在感が確かな説得力を与えています。
ただ本作の時代設定が現代に移されていることは、これもまた低予算ゆえの仕方のない部分なのでしょうけれど、原作発表当時でさえ時代錯誤と言われることもあったという犯行動機が更に理解しにくいものになってしまったのではないかと、それは少々残念に感じるところです。
まぁ作品世界にどっぷりと浸ってしまえばさほど気にはならないとは思うんですけどね。
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