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さて来ました、先週に引き続いての爽快カーアクション第2弾です。
「トランザム7000VS激突パトカー軍団」(1980)
SMOKEY AND THE BANDIT II
マイアミからテキサスへ期限内に荷物を運べば20万ドル。例によってあの凸凹親子からの依頼を受けるバンデットとスノーマンだったが、恋人キャリーに捨てられたバンデットは数ヶ月前から酒浸りの日々だった。スノーマンはこちらも例によってジャスティスJrと結婚式真っ最中だったキャリーを呼び寄せ、なんとか立ち直っていくバンデット。再びチームを組んだ3人はマイアミに向かうが、請け負った荷物の中身は何と象だった。
巨大な象は妊娠中だということも発覚し、またジャスティス保安官の執拗な追跡もあって旅は難航を極める。そして業を煮やしたジャスティス保安官は兄弟を呼び寄せ、バンデットを荒野へと誘った。そこには100台ものパトカーが待ち受けていたのだった。
前作のメンバー勢ぞろいによるシリーズ第2弾です。前作同様ウェディングドレス姿で結婚式から逃げ出すキャリーやジャスティス親子のマヌケなやり取り、今回も仕事を依頼するイノス親子など繰り返しのギャグも楽しいところ。
クライマックスは何と言ってもパトカー軍団とトラック軍団の荒野でのド派手な対決ですね。次々と破壊されていくパトカーを見ていると後のことが心配になったりもします(笑)が、まぁここはコメディ映画と言うことで素直にその爽快なカーアクションを楽しみましょう。
しかし、映画としての構成が前作とさほど変わらないのが辛いところ。荷物が象だったり、多少アクションが派手になったりと新味を出そうとはしているものの、やっていることはほぼ前作の繰り返しにすぎないんですよねぇ。
またドラマによって前作にあった爽快感が減少しているのも残念。妊娠中の象を巡って3人が対立したり、象が旅に加わることでドラマ的に起伏が生まれたのは良いんですけど、どうしてもカーアクション映画としての疾走感はぶつ切りになってしまっています。
まぁ今回新たに旅の仲間となる象と、象の健康管理に無理矢理連れて行かれる変な医者を見てもわかる通り、本作は前作に比べて大きくコメディ映画寄りになっていることがわかりますし、お笑いを重視した結果あえてそういった疾走感を多少犠牲にしたというところでしょうか。
ところで今作のラスト、象やキャリーへの愛情のためとはいえバンデットが依頼された仕事を完遂できなかったというのは少々不満でしょうか。まぁこれはこれで心温まるちょっとイイ終わり方ではあったんですけどね。
放送記録:2006年11月22日PM07:30~09:15サンテレビ「水曜ザ・ムービー」
いよいよ後半戦に突入の第7話です。今回から本編に合わせてOPやED、予告に提供バックまで冬服仕様に変更となりましたが、こういう凝りようは好きです。しかしOPがやたらと黒々しくなりましたね(笑)。
乙女はお姉さまに恋してる
第7話「小っちゃな妹(かな)と大きなリボン」
奏ちゃんのリボンを巡る瑞穂ちゃん一派と生徒会の対立を描く期待の「十月革命」でしたが、まずは良い出来だったかと思います。
ただやはり1話でまとめるのには少々無理があったようで、細かな心理描写や演出の間といったものが省かれて原作エピソードの表面だけを撫でたような作りになってしまったのは仕方ないとは言え残念ではありました。まぁ登場人物が揃って早口だったり間が無いというのは1話からそうなんで、とにかく時間内にエピソードを押し込むだけで必死なのは本作が1クールで制作されると決まった時からやむを得ない事だったのでしょう。
原作ゲームが時にやや冗長とも思えるほどゆったりとした作品内世界を描いて成功しているだけに、アニメでの慌ただしさは作品の本当の楽しさが割り引かれているようで残念。と言いつつ、アニメ的テンポの良さは見やすくもありますし、これはこれとして楽しんではいるのですが。
ただキャラクター描写や心理描写の省略によって、それぞれの登場人物達の行動が唐突に見えたり本意が伝わり切れていないのではないかなと、ちょっと心配になったりもします。今回のエピソードは転入以来周りに流されるままに来た瑞穂が初めて「姉」や「エルダー」の自覚を持って自ら行動を起こす、まぁいわば成長エピソードだったわけですけど、そこら辺の含みがあまり感じられなかったような気も。
特に気になるのはやはり貴子さんでありまして、規律に厳しいことに加えての瑞穂に甘える奏への嫉妬心の部分が省略されてしまい、今話だけ見ると単なるイジワルな生徒会長に見えてしまうような。ところで貴子さん、今回まりやと激しく対立するわけですが、やはり前回プール対決での笑顔の二人に違和感が。
それにしてもここ数話での貴子さんの存在感と、逆に紫苑さんの存在感の無さっぷりは気になりますね。残り5話、どういうクライマックスを迎えるのか読めなくなってきただけに楽しみです。
結界師
第七話「最高のケーキ!」
地味に出来がいい「結界師」、ここのところ見るのが楽しみになってきていますよ。原作単行本も一気読みしてしまいましたし(笑)。で、今回も大変面白ぅございました。
さて、第五話で登場したパティシエの浮遊霊が今回早くも成仏。アニメでは原作のエピソードの順番をかなり激しく前後させていますね。まぁアニメ的には今後展開する敵対組織とのバトル物に出来るだけ早く持って行きたいので構成を弄っているのでしょうけど、まず今のところは良い展開かと。今回の話は原作でも良い話でしたが、アニメの方でもジワッと泣かされてしまいました。
前話の霊感少女の話も面白かったし、この作品は妖怪退治バトルとしてよりさりげない日常を描いている部分の方が楽しいんですよね。
しかしスタッフの頑張りに比べ、何でも視聴率的にはかなり苦戦しているそうな。うーん、やはり子供を引きつけるには少々地味すぎるのか。派手なバトル物に一刻も早く突入したい気持ちもわかりますが、出来ればもう少しこのゆったりとした日常の空気を楽しませていただきたいところです。
名探偵コナン
第457話「園子の赤いハンカチ(前編)」
OPが変わりました。ラップ調ですね。ラップ自体は嫌いじゃないんですが、でもこの新OPはいかがなものか・・・。
内容無いけどとにかく派手だぜ!大味大作映画なら任せとけ!でおなじみローランド・エメリッヒ監督、渾身の一作。「GODZILLA」(1998)に続くニューヨーク・シティ受難の一幕でありますね。
「デイ・アフター・トゥモロー」(2004)
THE DAY AFTER TOMORROW
刻々と悪化する温暖化が、ついに全地球規模の気象異常を引き起こした。襲い来る巨大竜巻や大津波、そして大寒波。人類絶滅の危機かと思われたが、メキシコの国境を越えるとそこは平和だった。
ああ、エメリッヒ監督らしい映画だ。ストーリーらしいストーリーは無く、人間が描けてないのでドラマ的盛り上がりも皆無。しかしド派手な特撮映像を見ているだけで十二分に楽しく、2時間はあっと言う間のパニック超大作です。内容はツッコミどころ満載ですが、まぁいいまぁいい。いちいち上げてたら切りがないですしね(笑)。
ところで本作のストーリー、序盤の流れは「日本沈没」(1973)そっくりなんですねぇ。これくらいの映像で「日本沈没」もリメイクされたなら、それだけで価値があったのですが。
放送記録:2006年10月29日PM09:00~11:09ABCテレビ「日曜洋画劇場」
「フレッシュ・ゴードン」(1974)のDVDを見ました。かの「フラッシュ・ゴードン」を始め、様々なSF映画をパロった愉快なSFソフトポルノです。これを'78年に日本で一般作として公開された時に劇場で鑑賞して以来なのですが、当時の公開版がボカシとカットだらけでズタズタだったのに対して今回はヘア無修正版と言うことでボカシは最小限。前から見たいと思っていたのでとても満足でした。
と言うことで今回は「フレッシュ・ゴードン」の感想でも書こうかと思いつつネット散策をしていたところ、漫画家石川賢さんの訃報を目にしてしまいました。
まだ各新聞社の訃報欄には載っていないようですが、高千穂遥さんのweb日記に詳細が出ていましたので残念ながら事実のようです。
Takachiho-Notes
http://www.takachiho-haruka.com/
かつての永井豪信者として、またダイナミックプロ作品を読みふけった少年時代を過ごした私にとって、そのダイナミックな活劇漫画と共に石川賢さんは決して忘れ得ぬ作家でありました。特に氏の「魔界転生」は原作や映画版と比べても最も好きな作品でした。
心よりご冥福をお祈り致します。
とか書いていたらasahi.comに訃報が出ていたようですね。
asahi.com
『「魔界転生」などの漫画家、石川賢さん死去』
http://www.asahi.com/obituaries/update/1116/002.html
> 石川 賢さん(いしかわ・けん=漫画家、本名・賢一=けんいち)が15日、急性心不全で死去、58歳。通夜、葬儀の日取りは未定。
> 69年に漫画家永井豪さんのダイナミックプロに入り、アシスタントを務めるかたわら「ゲッターロボ」(永井さんと共著)、「魔界転生」などを発表した。
58歳ですか・・・本当に惜しまれます。
軽快にして爽快。'70年代を彩るカーアクション・ブームの中で生まれた傑作を久々に再見。
「トランザム7000」(1977)
SMOKEY AND THE BANDIT
テキサスからアトランタまで、28時間以内に往復して荷台一杯のビールを運べば8万ドル。この仕事を受けた伝説のトラック野郎バンデットと相棒のスノーマン。トラックをスノーマンに任せ、自らはトランザムに乗り込んで警察を翻弄するバンデット。しかし途中でウェディングドレス姿の女性を拾ったことが原因でスモーキーことビフォード・T・ジャスティス保安官の執拗な追跡を受けることになるのだった。
とストーリーを書くと「ダーテイ・メリー/クレイジー・ラリー」(1974)のような重めの作品に思えますが、実のところはコメディタッチのアクション作品です。全編に流れるカントリーミュージックもそぐわしい明るく楽しい、最後まで退屈することのない逸品。
バンデットを演じるのは男臭さと笑顔がまぶしい名アクションスターのバート・レイノルズ。本作は米版「トラック野郎」なんて言われたりしますが、レイノルズ自身はトランザムに乗ってトラックの走行を補佐する役所。常にかぶっているカウボーイハットのバッチリ決まって格好イイし、途中で同乗することになる元気の良い女性を演じるサリー・フィールドとの掛け合いも楽しい。この二人、当時は恋仲だったということもあってか本当に楽しそうなんですよね。ここらへん「ガントレット」(1977)他多数で共演したクリント・イーストウッドとソンドラ・ロックの関係にも似ていますかね。
それと「トランザム」シリーズのもう一人の顔とも言うべき鬼保安官ジャスティスを演じるジャッキー・グリーソンもまた実に良し。マジになればなるほど笑えてくるトンマな保安官ぶり無くして、本作はこれほど笑える作品にはならなかったでしょう。
ストーリーは単純明快で、小粋なドラマとド派手なカーチェイスシーンのつるべ打ちが楽しい。これを撮ったのがハル・ニーダム監督ですが、本作のヒットで名を上げた後は「グレートスタントマン」(1978)や本作続編「トランザム7000VS激突パトカー軍団」(1980)、「メガフォース」(1982)、「キャノンボール」(1980)とその続編等を監督していて、まぁカーアクション物やメカアクションが本気で好きなのだなぁと感じます。「トランザム7000」におけるカースタントの見事さも当然と言ったところでしょうか。しかし正直言って本作以外の監督作は映画として今一つなのも事実。'90年代以降は「トランザム7000」のTVムービーシリーズ程度しか撮っていないのが悲しくもあります。
それにしても'70年代はスーパーカーブームもあってか、やたらとカーアクション映画が公開されました。私の好きな前出の「ダーテイ・メリー/クレイジー・ラリー」(1974)や「バニシング・ポイント」(1971)、後に「「60セカンズ」(2000)としてリメイクされた「バニシングIN60」(1974)等々。時期的にアメリカンニューシネマの流れを汲んでか重めのラストを迎える作品も多く、それも魅力の一つではありましたが、しかし本「トランザム7000」はクリント・イーストウッドのお気楽トラック野郎「ダーティファイター」(1978)と並んで突き抜けた楽しさのある映画でありました。
さて次週のサンテレビ「水曜ザ・ムービー」は続けてシリーズ第2弾「トランザム7000VS激突パトカー軍団」の登場ですよ。楽しみ楽しみ。
放送記録:2006年11月15日PM07:30~09:15サンテレビ「水曜ザ・ムービー」
と言うわけで全12話の半ばまで来ました。5話までは快調でしたが、う~ん今回はちょっと微妙かな。
乙女はお姉さまに恋してる
第6話「夏の日の狂想曲(カプリッツィオ)」
梅雨も明け水泳授業が始まったが、実は男の瑞穂ちゃんはこればかりは出るわけにはいかない。やむを得ず女の子の日を理由に授業を見学することにするが、さすがに3回連続で休んだ頃には生徒達の間に不信が広がりつつあった。瑞穂の真意を問いただすためにやってくる生徒会長貴子。まりやは咄嗟に瑞穂が水恐怖症というウソをでっち上げた。さらに突っかかるまりやに怒りを顕わにする貴子。二人には過去の因縁ゆえの対立があった。
瑞穂の問題もうやむやの内に水泳勝負で決着を付けることになった二人。そして夏休みの初日、学園のプールで水上障害物競走が開催される。激しく競い合う二人の顔には、いつしか笑みが浮かんでいた。
原作ゲームでは幽霊の一子ちゃんが瑞穂に憑依することで一時的に女性に変身という裏技で切り抜けた水泳授業ですが、アニメではもう少し現実的にウソついて休むことに変更。それにプラス水泳大会でメインキャラ達の水着姿も披露するという、この手のアニメでは恒例の水着回となってますね。
まぁ女体化瑞穂ちゃんのスク水姿を見たかったというのもありますし原作の展開が好きだったこともありますが、しかしできるだけご都合主義を排するという意味で今回のオリジナル展開も悪くないとは思います。
というわけで賑やかで楽しい回ではありました。
しかし端々の展開で気になる点が。
まずもって瑞穂ちゃんのプールサボり問題がうやむやのままというのがマズい。これでは瑞穂が「水恐怖症(これもウソですが)というのを隠すために生理などと嘘を付いて授業をサボった」というのを認め、全校生徒もそう認識したということになります。学園の伝統守り生徒の規範となるエルダーが自分都合でウソをついて授業をサボるというらしからぬ行為を行ったこと(が周知の事実となったこと)は瑞穂ちゃんのエルダーとしての格を大きく下げたことになりますし、伝統を大切にする貴子さんがそれをうやむやにすることなど考えられません。
本来このエピソードは原作では瑞穂ちゃんが水着の危機をいかに回避するかと、結果的にエルダーの格をさらに高めるという部分に面白みがあったと思うのですが、アニメでの瑞穂は回りに流されるままで結果的にも逆の方向に行ってしまったのは残念です。
その他、ここ数話で盛り返していたものの貴子さんにまた品のない言動をさせたり、自分に自信のない奏ちゃんが喜々として水泳大会の解説をしていたりと、これまでの5話で感じていたスタツフの原作キャラへの理解度が大きく後退した感じ。まぁ原作とアニメではキャラ設定が違うのだと言われるとどうしようもありませんが、少なくとも過去5話ではこれほどに違和感は感じなかったのですが。まりやと貴子さんの過去の因縁もショボすぎて泣けてきます。
アニメ化に際してオリジナルエピソードを入れてくることには問題ないと考えます。しかし原作のタイトルを冠する以上はキャラクターだけは大切にしていただきたい。
次回は奏ちゃんのリボンを巡る、原作で言う「十月革命」のエピソードですね。ここでまた貴子さんとまりやの対立もあるわけですが、今回のラストであたかも二人が和解したかのような展開が次回どう生かされるのか、あるいは生かされないのか、気になります。
ホラー映画好きではありますが、基本は英ハマープロなどのゴシック・ホラー好きが原点なもので苦手とするジャンルがけっこうあったりします、私。例えば「ギニーピッグ」のようなエゲツないグロテスクなものとか、ミミズやナメクジみたいな軟体系が大量に襲ってくるのとか、「ジャンク」とかの本物の死体系とか、あまり積極的に見たいとは思いませんですね。
で、同様に苦手なのが食人族の系統。同じ人喰いホラーでもゾンビ映画なんかは大好きなんですけど、食人族系の妙な生々しさがイヤなんですよね。
まぁしかし、一度は見ておかないといけないかなぁなんて作品もありますし、ここらへんのジャンルも少しずつでも見ていこうかとは思っています。
ちなみに過去に見たことのある食人族映画は、昔劇場で見た「猟奇変態地獄」(1977・ビデオ題「アマゾンの腹裂き族」)とDVDで見た「食人帝国」(1980)くらい。かつて日本でも食人ブームを巻き起こした大御所「食人族」(1981)はいずれ見なくちゃいけないなぁ。
さて今回のお題は食人族だけでなく、ゾンビにマッドサイエンティストまで登場するググッとホラー寄りの作品。ゾンビ好きとしては見てみたかった逸品ですが、かな~りエゲツないとも聞いていましたので少々ビビりながら鑑賞です(笑)。
しかしこの作品と言うとその昔、神戸新開地の映画館で「人喰族」(1984)と食人映画2本立てで公開されていまして、劇場前のグログロ看板が見たくなくて前を通るのを躊躇していた記憶がありますねぇ。
「人間解剖島/ドクター・ブッチャー」(1981)
ZOMBI HOLOCAUST
病院の死体安置所で手や心臓など死体の一部が何者かに盗まれる事件が続発。盗んだ心臓を喰おうとしていた犯人は病院の看護士だったが、彼は窓から飛び降りて自殺してしまう。胸の入れ墨から犯人は今なお食人の風習を残す原住民の暮らすとある島の出身者と判明。人類学者のピーター率いる調査団が現地へと向かうことになる。
現地で研究所を持つ知人のオブレロ博士の協力を得て調査を開始するピーターたちだが、さっそく食人族の襲撃を受けて次々と仲間を殺されていく。そんな食人族たちを追い散らしたのは、突如出現したゾンビだった。
ピーターは救出に来たオブレロ博士の行動に疑問を感じ、その動向を調べようとするがゾンビの群れに捕らえられてしまう。一方ピーターと共に調査に来ていた女医のローリーはゾンビの手を逃れたものの、食人族に捕らえられ、生け贄にされようとしていた。
まぁ要は「モロー博士の島」なわけですよ。孤島でゾンビを作り続けるキチガイ博士に食人族まで詰め込んで、実にサービス精神旺盛な設定と言えましょう。しかしそのために恐怖の対象が定まらず、ホラー映画としては全体的に薄味で散漫な印象を与えることにもなってしまっています。何でも盛り込めばいいってもんじゃないですよねぇ。
グロに関しては食人族によるお食事シーンやキチガイ博士による脳移植シーンなど、個々のシーンは恐ろしいもののシーン自体が短いのでやはり全体として薄味。ゾンビもメイキャップはなかなか良いものの、博士に命じられて動くだけのブードゥゾンビ的な存在なのも残念。しかし調査団に同行する女性カメラマンが脳移植の為に頭皮を剥がされた姿で拘束され、悲鳴を封じるために声帯を切除されるシーンは結構くるものがありましたね。
ところで本作の「都会で事件発生→孤島のジャングルへ」という導入部がゾンビ映画の名作「サンゲリア」(1979)に類似しているとの声があります。本作のロケ地が「サンゲリア」と同じ場所だということらしいですし、主演俳優も同じ方ですし、まぁいろいろと関連はあるらしいです。
けど「都会の病院で食人事件発生→犯人の出身地判明→調査団が現地のジャングルへ」と考えると、どちらかと言うと「猟奇変態地獄」の導入部にそっくりだったりしますね。
まーここいらのイタリア製ゾンビ映画や食人映画はパクりパクられですし、そもそもスタッフもいろいろと被っていたりするので驚くにはあたらないような気もしますが。
そんな感じで本作、いろんなジャンルを詰め込みまくってストーリーもグダグダですが、しかしテンポ良く進むドラマに次々と登場する残酷シーンに退屈することなく最後まで一気に見てしまいました。娯楽性は高いですよ。
最後に、本作を見ていて思わず「そりゃないだろー!」と突っ込んだ最大のトホホシーン。
序盤の病院で窓から飛び降りた犯人の看護士。そのまま地面に叩き付けられた彼の片腕がちぎれ飛んだ! が、次のシーンでアップになると普通に腕が付いてますよ???
地面に叩き付けられるシーンの犯人は見るからに人形丸出しでして、腕が外れてしまったのも予想外の偶然だったのでしょうけれど・・・人形落とすシーンくらい撮り直そうよ・・・。
おや懐かしや。'70年代パニック映画ブームの中で人気を博した航空パニック「エアポート」シリーズの第4弾にして最終作の登場です。
「エアポート'80」(1979)
THE CONCORDE-AIRPORT '79
パリ経由でモスクワへと向かう超音速旅客機コンコルド。巨大軍需企業の社長は兵器密売の証拠資料を持って乗り込んだ乗客もろとも、そのコンコルドの破壊計画を企てた。飛来する誘導ミサイルや国籍不明の戦闘機の攻撃を、コンコルドはくるくる宙返りしながらひょいひょいとかわすのだった。
前作「エアポート'77/バミューダからの脱出」(1977)は当ブログで以前に紹介しましたが、ジャンボ旅客機が墜落し海底に沈んでどうしようっていう航空パニック映画と言うより「ポセイドン・アドベンチャー」(1972)みたいな海洋アドベンチャーという作りでした。そこら辺の反省があったのか、今作はシリーズ中でも最もハデな超音速アクションが展開します。
中継地のパリへと向かうコンコルドをまず襲うのは最新鋭の誘導ミサイル兵器。これをコンコルドは宙返りでかわして事なきを得ます。続いては国籍不明のF4戦闘機。戦闘機の発射する熱源誘導ミサイルの1発目をまたまた宙返りで避け、2発目は背面飛行をしつつコクピット脇の窓をガラリと開けて腕を突き出して(注:超音速で飛行しています)照明弾を撃つことで誤誘導を誘って爆発させます。3発目4発目はコンコルドのエンジンを全て止めることで熱源をカットし、ミサイルに目標を見失しなわせます。しかしそのままきりもみ落下して墜落しそうになるコンコルドですが、海面すれすれでなんとかエンジン始動。一方コンコルドを追尾していた戦闘機はそのまま海面に突っ込むのでした。
ようやくパリはド・ゴール空港に到着するコンコルドでしたが、戦闘機の攻撃によってブレーキが故障。緊急停止用のネットを次々と突き破りながら、滑走路を飛び出す寸前でようやく停止することに成功するのでした。
まぁなんちゅーか・・・やりすぎ感が溢れる展開です(笑)。しかもその超音速バトルが何ともバカバカしい。真面目な航空パニック映画として見ていると呆れかえってしまうところですが、しかし見方を変えればこの突き抜けた展開はなかなか面白くもあります。
何と言っても宙返りする度に機内がエライことになってる中、コクピットの連中がやたらと冷静なのが奇妙で笑えます。着陸した後も普通なら誰が何のためにコンコルドを狙ってきたのかを気にしそうなところを、実際に気にするのは翌日の飛行が予定通りに行えるかとホテルでのお姉ちゃんとのアレくらいというのはどういう神経なのでしょう。
さてこのコクピットメンバーですが、パイロットを演じるのはアラン・ドロンとジョージ・ケネディ。通信士にデビッド・ワーナー。ついでにチーフスチュワーデスに「エマニエル夫人」(1974)ことシルヴィア・クリステル。何とも豪華な搭乗員ではあります。
さて一夜明け、一晩の内に修理を完了したコンコルドは予定通りモスクワに向かって飛び立つことになります。昨日と同じ乗員乗客を乗せて離陸するコンコルド。しかし悪の社長によって買収されていた整備士の工作によって、飛行を続けるコンコルドには空中分解の危機が迫っていた。
機体に亀裂が走っていくコンコルド。機長はアルプスの雪原への不時着を決行。何とか乗員乗客全員が脱出した直後、コンコルドは大爆発したのでした。
この後半のシークエンスで一番驚かされるのは、前日あれだけ何度も死にそうな目に遭いながら誰一人キャンセルしていない乗客のみなさんにでしょうか。どんだけ肝が据わっているのかと(笑)。
まぁこういう部分も含めて本作の最大の欠点は、人間がまったく描かれていないという部分でしょうか。前作までの「エアポート」シリーズのみならず、パニック映画の醍醐味と言えば(大特撮もそうですが)危機的状況の中での様々な人間ドラマにあったわけです。ところが本作ではまともなドラマが一切無し。普通は乗客たちの中に様々なドラマを仕込んでおくものじゃないか?
超音速アクションに特化した作りを狙ったのもわからないではないですが、そのキャラクター描写の薄さはあまりにあまりではないかと。おかげで映画を見ていて誰一人として感情移入出来るキャラが居ないという、まことに珍しいパニック映画に仕上がっています。
ちなみに出演者は前出の乗務員に加えて、悪の社長にロバート・ワグナー、乗客にエディ・アルバートやスーザン・ブレイクリーと実に豪華。その豪華な配役がまったく生かされていないのは勿体ない限りです。
とまぁ、映画としてはヒドい出来の本作ですが、それでもわりと好きな作品ではあります。少なくともシリーズ中4番目くらいには(笑)。ド・ゴール空港着陸やラストの不時着シーンなどのミニチュア特撮もお気に入りですし。
しかし何と言っても本作の最大の売りは、本物のコンコルドをイヤってほど見ることが出来る点でしょう。
世界初の超音速旅客機コンコルドは、そのデザインの格好良さも相まって当時の男の子たちにはスーパーカーと並んで大人気でした。そのコンコルドが映画館の大画面で飛び回るのが見られるという、それだけでも本作は期待の一作だったわけですよ。
しかしそのコンコルドも後の2003年に運行停止、就航していた全機が退役となりました。その直接の原因となったのが2000年にド・ゴール空港で起きた炎上墜落事故でしたが、実はその事故機が「エアポート'80」において撮影に使われた機体であったとは知りませんでした。何か妙な因縁を感じますね。
Wikipedia:コンコルド墜落事故
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%B3%E3%83%AB%E3%83%89%E5%A2%9C%E8%90%BD%E4%BA%8B%E6%95%85
最後に「エアポート」シリーズ全作のリスト。
第1作「大空港」(1970)
第2作「エアポート'75」(1974)
第3作「エアポート'77/バミューダからの脱出」(1977)
第4作「エアポート'80」(1979)
この他に「エアポート○○」(○○には年代が入る)なタイトルの作品がレンタル屋などに行くとやたらと並んでいたりしますが、これらは全て日本で勝手にタイトルを付けただけのシリーズとは関係ない作品なので注意が必要ですね。航空モノというだけで何でも「エアポート」って付けられるのは困りものです。
放送記録:2006年11月08日PM07:30~09:15サンテレビ「水曜ザ・ムービー」
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