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先日友人と電話で話していまして、いつしか映画の話題になりました。で、最近の映画はCGを使いまくりで、逆にリアル感を削ぐことが多々あるよね~、と。例えばヤン・デ・ボン監督の「ホーンティング」(1999)。屋敷の壁に彫り込まれた子供の顔がCGで面白いようにグリグリ動きますが、それがあまりにも動きすぎるんで作り物にしか見えず、リアル感も恐怖感も無し。
こういうのはむしろ目の前でグリグリ動きまくるより、ふと目を離して次に見ると徐々に変化しているなんて古典的な手法の方が怖いのではないか。とまぁ、そんな話になったときにまざまざと思い出したのがコレ。
「怪奇!真夏の夜の夢」(1969)
NIGHT GALLERY
「ミステリーゾーン(トワイライト・ゾーン)」(1959~1965) の脚本&解説でお馴染みロッド・サーリングが同じく脚本と解説を担当して「絵画」をテーマにした怪奇TVシリーズ「四次元への招待」ROD SERLING'S NIGHT GALLERY(1970~1973)のパイロット版として制作されたTVムービーであります。その昔には夏場になると何度もTVで放送されていたものでした。
3話のショートエピソードからなるオムニバス作品である本作ですが、上記の古典的手法で怖がらせてくれるのがその第1エピソードです。
画家である叔父を殺して遺産と屋敷をまんまと手に入れた主人公。屋敷玄関の広間には叔父の描いた墓場の絵が飾られているが、叔父の遺体はまさにその絵に描かれた屋敷そばの墓場に埋葬された。
さて嵐が近づき豪雨が屋敷を襲うある夜、主人公は広間に飾られた絵を見て愕然とする。描かれていた墓場が、いつの間にか掘り起こされたような絵に変わっていたのだ。いったい何物の悪戯なのか。だが彼が目を離し、そして再び絵を見たとき、絵には墓穴から這い出す死体の姿が描かれていた。
それから彼が目を向ける度に絵は変化していく。墓穴から這い出した死体は徐々に屋敷へと近づいてくるのだ。恐怖に怯える主人公。そしてついに絵の中の死体が屋敷の玄関にたどり着いた次の瞬間、激しくドアを叩き付けるドンドンドンドン!という音が響き渡った。
【ご注意、ここからラストのネタバレです】と、一応書いておこう(笑)。
主人公はあまりの恐怖に心臓麻痺を起こして死んでしまう(階段から足を滑らせてだったかも)。と、その様子を見て一人の人物がほくそ笑みながら姿を現すと、広間の絵を外して隠してあった最初の墓場の絵を元に戻した。彼は次の遺産相続者(たしか弟?)で、複数の絵を順次掛け替えることで主人公をショック死に導いたのだ。
まんまと遺産を手に入れたと喜ぶ男。だが彼は広間の絵を見て彼は愕然とする。絵の中の墓場が掘り起こされていたのだ。そんな馬鹿な。慌てて自分が用いた例の絵を調べるが、その絵は確かにその中にあった。どういうことかと再び壁の絵に目をやると、いつの間にか絵の中の墓穴から死体が二つ這い出そうとしている。そして彼の見ている前で、絵は目まぐるしく変化していく。二体の死体は屋敷へと近づき、玄関の前に立った。恐怖に怯えながら彼が玄関のドアに目をやった瞬間・・・
ドンドンドンドン!
主人公に気づかれることなく絵を取り替えていくというのはかなり無理のあるトリックだとは思いますが、しかし恐怖感の盛り上げは演出もあいまって見事なもの。そして犯人の恐怖の表情や変化していく絵をスピーディーなカットバックで見せるラストはショッキングでありました。
さて、本作の第3エピソードもこれまた記憶に残る怖いお話です。
元ナチスの戦犯である主人公。彼は安アパートに身を潜めながら何時発見され逮捕されるかもしれないという恐怖に震え、夜もまともに眠れないような生活を続けていた。そんな彼の最近の日課は近所の美術館に出向くこと。そこには貼り付けになった血塗れのキリストを描いたようなおどろおどろしい絵画もあるけれど、その側に展示された風景画が彼の目当てだった。山々や緑の木々に囲まれた湖を描いた平和で美しい絵。その湖面には小さなボートが浮かび、一人の男がのんびりと釣り糸を垂れている。主人公はこの絵に心囚われ、出来ることならこの平和な絵の中の世界に逃げ込みたいと考えながら何時間も見入っていた。
そんなある夜、疲れでうとうととした彼は不思議な夢を見る。あの絵の中の世界が夢の中で現実となり、ボートの男がにこやかに笑いながら手招きしているのだ。目を覚ました主人公を待っているのは厳しい現実。絶望しながら再び美術館に向かった彼は、絵の中に描かれた男が実際に手招きするのを見た。それは夢の続きなのか、幻なのか。もしかしたら、強く念じ続ければ実際に絵の中に入ることが出来るのかもしれないと彼は思い始めた。
そんなある夜、突然彼のアパートのドアが激しくノックされた。ついに彼の居場所を突き止めた警察が踏み込んできたのだ。なんとかアパートを抜け出した彼は美術館へと逃げ込んでいた。真っ暗な館内。しかし通い慣れた彼は闇の中で問題なく例の絵へと向かった。彼を捜す警官隊の声が近づいてくる。彼は、闇のその向こうに有るはずの風景がに向けて祈った。どうか、自分をその絵の中に逃がしてくれと。
【ご注意、ここからラストのネタバレです】
翌朝、美術館の職員が昨夜の事件を語り合っていた。どうやら主人公は逮捕されることなく姿を消してしまったという。そういえば、と一人が言う。絵の掛け替えはもう終わったのかい? ああ、昨日の閉館後にやっておいたよ。ほら、あれだ。そこには壁から外された例の風景画が。では主人公はこの絵の中に逃げ込んだのではないのか。
風景画が掛かっていた壁には、今は別の絵が展示されていた。それはあの血塗れのキリストの絵。そのキリストの顔はいつの間にか主人公のものに変わっていた。
ふと、職員達はどこからともなく小さな男の悲鳴を聞いたような気がした。
このエピソードではとにかく前半の主人公の焦燥感の演出が恐ろしいです。そして平和な絵の中の世界に誘われる幻想の美しさが、ラストの強烈なオチを盛り上げます。そのあまりに悲惨なラストに、もうとにかく主人公が気の毒でならなかった記憶があります。
ところで、本作が意外と知られているのには理由があります。これがかのスティーヴン・スピルバーグ監督の商業デビュー作なんですね。
でも、あれっ? スピルバーグ監督の担当した第2エピソードの記憶がないですよ? 実は本作が日本でTV放送された際、時間の都合で第2エピソードがカットされたんですねぇ。日本で初放送されたのが1972年ということらしいんで、日本では出世作となる「激突」(1972)が公開される前。放送がもう少し後だったなら「あのスピルバーグの」ってんで売り出したところでしょうけど、当時としては無名の新人監督ということでワリを喰っちゃったわけですね。
さてロッド・サーリングですが、「ミステリーゾーン」や「四次元への招待」といった優れた怪奇TVシリーズを作る一方、多くの映画やTVムービーの脚本も担当しています。中でも「夜空の大空港」(1966)という作品が大好きだったりします。旅客機に一定の高度以下に下がると爆発する爆弾が仕掛けられて着陸できなくなるという、'70年代に大ヒットした「エアポート」シリーズの原点的な航空パニック作品です。そのサスペンスフルな展開はパニック映画好きなら必見であります。
あ~、「コマンドー」やってるなぁ~。
てな感じで何となくTVを付けっぱなしにしてながら見をしてしまう映画NO.1。
「コマンドー」(1985)
COMMANDO
元コマンド部隊隊長のメイトリックスは某国のクーデターを企てる組織に娘をさらわれ、暗殺を命じられる。メイトリックスは単身組織の秘密基地に乗り込んで娘を助け出す決意をするのだった。
はっきり言ってドラマは有って無きがごとし。暗殺のために旅客機に乗らされ、さてどう暗殺任務を誤魔化して舞い戻ってくるのか。始めて観た時はそこらへんの展開をどう見せてくれるのか興味津々だったりしたわけですが、メイトリックスは飛行機が離陸する前に早くもお目付役を瞬殺し、滑走路から飛び立った飛行機から飛び降りてあっさりと帰還。このスカし具合が最高。
その後はただただアクションのつるべ打ちで、まぁそれだけで楽しい映画ですよ。
ラストの戦いで敵役が感電して終わりかと思ったら何事もなかったように殴りかかってくる爆笑シーンとか大好きです。シュワルツェネッガー主演作の中ではわりとB級っぽい本作ではありますが、でも実はシュワ映画の中では一番好きだし(ドラマが無い分)破綻の少ない作品だと思います。
まぁもう繰り返し繰り返し観た映画ですが、それでもまた放送されることがあればながら見してしまうでしょう。本作はそういう退屈させない作品であります。
ところでメイトリックスの娘役のアリッサ・ミラノ、本当に可愛かったですね~。当時まだ13歳だったそうで。その後もいろいろと出演作がありますが、ほとんど見ていないか見ていても記憶に残らない作品ばかりですねぇ。成長してやたらとエロくて安い作品ばかりに出ているのはドリュー・バリモア同様、子役時代にブレイクしてしまってその後売れない女優さんの一つのパターンでしょうか。ドリューみたいにトップスターに返り咲くなんてのは珍しい例ですけどね。
とか思ってたら、アリッサさん今はTVドラマの方で頑張っているのですね。
「チャームド~魔女3姉妹~」、1998年にスタートして現在も放送中という長寿人気ドラマに三女役で出演中。日本ではNHK-BSで放送していたりしますが、ウチではBSが見られないのでどんなのか気になりますな。
放送記録:2006年03月05日PM9:30~11:25ABCTV「日曜洋画劇場」
もうここ数年はコンシューマーゲームってやってませんね。ゲーム機もPS2すら持っていませんし。でも以前はかなりやり狂ったものです。
で、20年ほど前に「ヴァリス」っていう横スクロールのアクションゲームがありまして、正直言ってそんなに出来自体は良くなかったものの、グラフィックの美麗さやキャラクターの可愛さもあって熱中したものです。PCエンジン用のソフトで「ヴァリスⅣ」まで今でも持ってますし。
で、その「ヴァリス」が第一作から20年を経て、なんと復活するとのこと。
実は制作会社の日本テレネットがまだ存在していたことに驚いたりもしましたが(失礼)、それよりも驚いたのは何と18禁のエロゲーとして制作されたとのことでした。
エエエエェェェェ(゜Д゜;)ェェェェエエエエ
以下関連サイト。18歳未満の方はご注意下さい。
日本テレネットOHP
http://www.telenet.co.jp/
「ヴァリスX~優子・もう一つの運命」告知ページ(18禁)
http://www.bb5.jp/pr/valis/
d-dream.com「ヴァリスX」ダウンロードページ(18禁)
http://www.d-dream.com/sofurin/tit_data.php?arg_tno=3578
『永き雌伏の時を経て、あの「ヴァリス」が艶やかに復活!!
優子が、麗子が、チャムが、ヴァルナが!
異界で恥辱と肉欲と白濁に溺れ、淫らな痴態を晒す!』
んだそうです。
うーん・・・まぁいまさらショックとかはありませんが、昔好きだったゲームやメーカーの落ちぶれ具合を見るのは辛いところですね。文字通り好きだった女の子が身売りしているのを見てしまったような?
ゲーム的には今のところよく分かりませんが普通のエロAVGになっているのかな? 昔ながらのアクションゲームならちょっと興味引かれるのですが。
それと優子の声が島本須美さんだったら買う気になっていたかもしれませんが(笑)。
どーでもいいですけど、久しぶりにPCエンジン引っ張り出して昔の「ヴァリス」をプレイしてみようかなぁ。
「ヴァリスX~優子・もう一つの運命」
2006年4月21日ダウンロード版発売開始です。さて。
なんともおどろおどろしいタイトルの作品ですが、その昔はちょくちょくTVで放送されていたものです。私も2~3度は見ましたが、初めて見終わった時は何とも奇怪なゾンビ映画のバリエーション作品を見たものであったなぁと少しブルーな気分で思ったものです。舞台はほぼ高層マンションの中だけに限定された見るからに低予算作品でしたが、しかし妙に心に残る映画でもありました。
この作品がデビッド・クローネンバーグ監督の初長編作品「シーバース」だと知ったのは「スキャナーズ」(1981) が日本で公開され話題になっていた頃でしょうか。
「シーバース」(1975)
SHIVERS
舞台はカナダ、モントリオールからほど近い島に建つ新築の高層マンション。いきなりTV画面に映し出されるのはパンツ一枚以外は全裸の少女がテーブルの上に横たわっている姿。眠っているのだろうか、それとも死んでいるのか。そこに被るTV邦題「SF人喰い生物の島」。上半身裸のハゲデブのオッサンがテーブルの向こうに立っている構図が何とも奇妙で興奮を誘う。が、予想に反してオッサンは手に持ったメスでいきなり少女の腹を切り開く。そしてその中に何かの薬品を注ぎ込んだ後、オッサンは自らの首をメスで切り裂いて自決するのだった。
ショッキングなオープニングです。この少女、非常に可愛らしくて小さめのオッパイも綺麗で、その点も本作が記憶に残る大きなポイントでもあります。が、その少女の可愛さが余計にこの(映像として傷口などは映らないものの)グロテスクなシチュエーションを引き立てます。
この映画、所謂スプラッターシーンなどの映像としての残酷さエゲつなさはかなり控えめです。その代わり、精神に来るグロテスクさは実に強烈。
オープニングで自殺したオッサンは少女を殺す為に彼女の腹を切り開いたのではないということが展開と共に明らかになってきます。彼は生物学者で、人の不全な内臓の代役を果たす寄生虫の研究をしていました。それは内臓疾患を持った人々にとって大きな福音となるはずでした。しかし徐々に狂気に犯された彼は、人間そのものの生命力や生存本能を活性化させたいと考え始めていたのです。人類が本来持っている本能を埋もれさせたのは後天的な常識やモラルである。ではそうしたものを取り払えばいいではないか。
彼は動物の最も根元的な欲望である性欲を強烈に高める寄生虫を生み出し、教師時代の教え子である少女の肉体を使って実験しました。予想通り少女はモラルを失いマンションの他の住人と次々に関係を持っていき、実験は成功に思えました。しかし彼の予想できなかった事態が密かに進行していたのです。寄生虫は少女の腹の中で増殖し、性交や口づけを介して関係を持った相手に感染することが分かったのです。彼は少女の腹の寄生虫を薬品で殺した後、自らも自殺することで研究の全てを闇に葬ろうとしました。しかし、すでに寄生虫はマンションの住人達の間で猛烈な勢いで増殖しつつあったのです。
寄生虫は体外に出されると強酸性の体液を滲ませながら凶暴化したりするものの、TV邦題にあるような「人喰い生物」ではありません。おそらくは寄生されてモラルを失った人々の姿がゾンビのようにも見えるところからこのタイトルが付いたのでしょうか。日本でゾンビの名を一躍知らしめたジョージ・A・ロメロ監督の「ゾンビ」(1978)よりも本作は前の作品ですが、性衝動に突き動かされるまま老若男女を問わず襲いかかっていく感染者の描写は同じロメロのゾンビシリーズ第一作「生ける屍の夜/NIGHT OF THE LIVING DEAD」(1968)の影響を受けていることは明らかでしょう。
自らの繁殖のために寄生した人間達を性欲にまみれさせる寄生虫。そして活性化させられた性本能のままに他の住人達に襲いかかり蹂躙する人々。映画では女性の胸の露出がけっこうあるものの直接的なSEX描写などは無く、多くを見る人の想像に任せています。しかしそのシチュエーションのアンモラルなエロティシズムとグロテスクさは恐るべきものです。
美しい若妻に迫る友人の女性やパンツ一丁でマンション内を徘徊する男性同士のカップルといったレズゲイ描写はほんの手始めで、愛らしい娘を自慢げに抱きしめる父親、首輪を付けられ四つんばいになって喜々として犬のように散歩させられる二人の幼い少女、幼女の目の前でレイプされる母親、管理人室での乱交やマンションのそこここで起こる集団レイプ、等々。モラルを失った人々が生み出す恐怖と嫌悪と興奮がない交ぜになった感情が見る者を襲います。
デビッド・クローネンバーグが本作の脚本を書き、監督したのが32歳の頃ですか。低予算の限界もあったろうし荒削りな部分も多々見られるものの、後の作品に続く奇怪で優れた才能が光った作品であります。
主人公は舞台となるマンション内で診療所を開く医者。彼はいち早く寄生虫の存在に気づくものの、その対応が後手後手に回ったことと寄生虫の拡散のあまりの早さになすすべもなく、一夜のうちにマンションの住人も恋人も寄生されてしまいます。そしてマンションから脱出しようとする彼も・・・。
この重くて鬱になる展開とエンディングは'70年代ホラーの特徴と言ったところでしょうか。
ところでクローネンバーグ監督のインタビューによると監督の名が知られて本作が海外で上映されたりした頃、「エイリアン」(1979)のパクリではないかというクレームをよく受けたとのこと。「スキャナーズ」(1981)や「ビデオドローム」(1982)の成功で知名度が上がった頃の話でしょうか。
寄生虫が人間の腹の中に巣くっていたり(腹を食い破って体外に出てくる描写もあり)、強酸性の体液だったり、人間の顔に張り付いて口から進入したり、とまあ確かに「エイリアン」との共通点がありますね。しかし制作年を見れば分かるとおり本作は「エイリアン」より古い作品です。むしろ「エイリアン」の原作者であり脚本を書いたゾンビ映画好きのダン・オバノンが本作を見ている可能性が高く思えます。
それと上のシチュエーションで書いた若妻に迫る友人の女性を演じているのがバーバラ・スティールだったりします。「血ぬられた墓標」(1960)や「恐怖の振子」(1961)など多くの古典ホラー映画に出演していた女優さんです。その独特な美貌にホレていた人は数知れず。こうした往年の怪奇スターを自作に呼んでくるのはティム・バートンやジョー・ダンテ、ジョージ・ルーカス等のオタク監督の共通項かなぁ、なんてちょっと面白く思ったりもしますね。そう言えばスティールはダンテ監督のデビュー作「ピラニア」(1978) にも出ていましたね。
ところでところでTVで本作を見た当時、オープニングは上記のように裸の少女が殺されるシーンから始まり、ラストは主人公の医師が室内プールで住民の群れに追いつめられるシーンで終わっていたものですが、近年ようやくノーカット版を見るとその前後に本当のオープニングとエンディングがあったのですね。当時見た映画枠は深夜やお昼の映画劇場等1時間半枠(実質本編75分前後)での放送でしたので本編内も含めて結構カットされていたわけです。真のオープニングは新築高層マンションの夢のような生活を紹介するCMから始まって上記のシーンに繋がるわけですが、このオープニングはその後の地獄絵図を際だたせるためにも重要なものだったと思います。
しかし今はこういった作品も気軽にDVDとかで見られるのは幸せなことですねぇ。「ビデオドローム」の海外版ビデオを探し回っていた頃が夢のようですよ。
子供の頃、何度もTVで放送され何度も繰り返し鑑賞した思い出深い映画っていろいろあります。特にSFや怪奇作品が好きだったわけですが、SFに限って上げるなら「禁断の惑星」(1956)「宇宙戦争」(1953)「宇宙水爆戦」(1954)「SF人喰いアメーバの恐怖(マックィーンの絶対の危機)」(1958)「地球は壊滅する」(1965)「アンドロメダ・・・」(1971)等々等・・・。その他もろもろ、いずれ劣らぬ大好きな作品が数多くあるのですが、そんな中でも不思議な印象を後々まで残す作品が2本あります。
1本はドラキュラ等怪奇映画でお馴染みだった英ハマープロ制作の傑作、クォーターマス博士シリーズの第3作「火星人地球大襲撃」(1967)。
そしてもう1本が・・・
「人類SOS!」(1962)
THE DAY OF THE TRIFFIDS
ある夜、無数の流星雨が流れる素晴らしい天体ショーに世界中の人々が見入っていた。しかし翌朝、流星雨を目にした人々が皆失明していたのだ。同時に流星雨に乗って地球上にばらまかれたとおぼしき食肉植物トリフィドが急成長し、根を使って地上を徘徊しながら人間を襲い始めた。盲目になった人々はトリフィドの餌になるしかないのか。トリフィドを絶滅させ、人類を救う術はあるのか。失明を免れた僅かな人々のサバイバルが始まる。
原題を見て分かるとおり、これはジョン・ウィンダムの書いたSF小説の古典「トリフィドの日」の映画化作品です。しかしこの映画化作品では原作を大胆にアレンジし、人間とトリフィドとの行き詰まる戦いをストレートに描いたスケールの大きな一級のサスペンス作品に仕上げられています。
主人公は目の手術で包帯を巻いていたために流星雨を見ることを免れた船乗り。駅で拾った孤児の少女と共にロンドンを脱出し、フランスからスペインへとサバイバルを繰り広げることとなります。それと平行して描かれるのは海の真っ只中の岩礁に建つ灯台で暮らす科学者夫婦で、こちらは隔絶された小さな世界で徐々にトリフィド達が迫り来るという密室サスペンス風味。ここらへんの構成が上手い。様々なタイプのサスペンスシーンが息も切らせず展開していきます。
監督はフレディ・フランシスとスティーヴ・セクリー。フレディ・フランシスと言えば傑作「がい骨」(1965) を始め「残酷の沼」(1967)「テラー博士の恐怖」(1964)「帰って来たドラキュラ」(1968)等多数のホラー映画を撮ってきたホラー映画界の大御所監督で、なるほど本作の迫り来る怖さも納得。また傑作古典ホラー「回転」(1961) やデヴィド・リンチ監督の「エレファント・マン」(1980)「砂の惑星」(1984) 、「グローリー」(1989)や「ケープ・フィアー」(1991)等々で撮影を担当した人でもあります。
一番強く印象に残っているのは終盤、主人公と少女がたどり着いた盲目の夫婦が暮らす農家で金網の柵に電流を流してホッとしたのもつかの間、翌朝起きてみると柵の向こうに見渡す限りに無数のトリフィドが集まってきていたというシーンです。これは子供心に本当にゾッとしたシーンでしたし、当時の特撮技術を考えても映像的に素晴らしいものでした。
中盤では森の中の屋敷で失明した多くの人の世話をする老婦人が登場しますが、その屋敷がトリフィドの群れに襲われた時に失明した人々を見捨てて婦人だけを連れて逃げる主人公の素早い決断にも、もはやこのサバイバルの中では盲目の人々は足手まといでしかないというそれまでの映画にない冷徹さが感じられて衝撃的でありました。
それにしてもこうした古い作品がTVで放送されることがめっきり少なくなり、本作も長らくもう一度見てみたいものだと思っていました。それが何と昨年ですがDVDになったのですよね。2作品を1枚のDVDに収めた2in1というやつで画質ははっきり言って良くありませんが、本作との再会は感動的でもありました。
今回再見して記憶を新たにしたのは、序盤で失明した人々がさまよい歩くロンドン市街のシーンや、後半のそこら中に車が乗り捨てられている無人のパリ市街のシーン。この市街の寒々としたシーンは見事で、どうやって撮影したものか。そしてまず頭に浮かんだのは数年前に公開された「28日後...」(2002)での無人のロンドン市街のシーンでした。思えばロンドン市民に奇病が蔓延する中、主人公が入院していたおかげで無事でいられるという設定からしても、「28日後...」が本作の影響を受けている可能性は高そうに思えます。
それと、「人類SOS!」には主人公達が立てこもる家に食人のトリフィドたちが迫り来るというシーンが何カ所かあります。これはジョージ・A・ロメロ監督の「生ける屍の夜/NIGHT OF THE LIVING DEAD」(1968)におけるゾンビの群れに襲われる一軒家という設定との大きな共通点と言えます。昨年出た2in1のDVDで本作と共に収録されているのが「生ける屍の夜/NIGHT OF THE LIVING DEAD」の原点と言われる古典SF「地球最後の男」(1964)であるというのもよく考えられたカップリングだと思えますね。
ところで本作と「火星人地球大襲撃」はどちらもイギリス作品なんですよね。SFにしろホラーやミステリーにしろ、不思議とイギリス製のものが妙に肌に合うと言うか気に入ることが多いです。米国製のどこかおおらかで脳天気な作品も悪くないのですが、英国製のどこか生真面目で理詰めな作風が好きなんですね。
ちょっと近況。
一昨日、雨降りしきる駐車場ですっ転びました。
それはもう小学生以来かと思うほど思いっきりに・・・。
強打した胸あたりがズキズキ痛むんですよね。骨が折れている風はないのですが、まだ痛みが続くようなら近日中に医者に行ってきます。
さて、すっかり世間とは隔離された感のあるこのブログですが(笑)、一応現在開催中の冬季オリンピックなぞもちらちらと見ています。
ただどうしても中継が日本人選手の出ている&活躍が期待されそうな競技ばかりに偏っているのが、仕方ないとは思いつつも残念ですね。日本人選手が出ていなくても見たい競技や興味ある競技もありますし。昔はオリンピックともなれば各局朝から晩まで延々とあらゆる競技を中継していたものですが、今はスポーツ中継全体が視聴率落ちていると聞きますしやむを得ないのでしょう。
しかしこれは昔から変わらないところですが、オリンピックが始まるとやたらとメダルメダルとTVや新聞で騒ぎ出すのがちとウザイです。で、今回みたいにまったくメダルが取れないとなるととたんに責める口調になってきたりね。日本選手もそりゃ頑張って欲しいですが、個人的にはメダルの数なんぞに興味はないですし、それよりも世界のスポーツの頂点というものを楽しむ余裕が欲しいところです。
と、各局の放送姿勢には多少の苦言はありますが、でも下記のような反応を見せられると退きます。
[AML 6051] 愛国心をあおるオリンピックについて
http://list.jca.apc.org/public/aml/2006-February/005752.html
>あまりどうでもいいことなのかもしれませんが、毛利さんの非戦つうしんを読ませていただいたら、赤旗で以下のような記事が掲載されているのを見て、何だろうと思いました。
>これを見ると、赤旗も日本出身の選手がオリンピックでたくさんメダルを取るべきだという立場のように感じます。
>NHKをはじめとしたオリンピック報道は、日本選手が世界一になる、メダルを取ることしか考えていないようです。
>かれらが愛国心にまみれるのは勝手ですが、彼らのそういう報道は知らず知らずのうちに日本民族の優越心への欲望を扇動しています。スポーツが国家イデオロギーの注入の道具になる典型的な姿だと思います。
>私たちはベルリンオリンピックがナチスドイツにおいて行われたことをあらためて想起すべきだと思います。
>小泉「改革」の破綻が明るみに出始めた時期にNHKがオリンピックを使って愛国心を扇動しているということに、嫌悪感を感じます。ましてや「赤旗」が日本出身選手がメダルを取れないことに(スポーツを通じた親交ならそんなことどうでもいいんじゃないですか?)政府に苦言をいうというのは、国際主義の視点からは、理解できない立場です。
AMIと言うと結構有名な社会運動グループだと思いますが、その活動内容はともかくとして、どうしてこの手の左巻きの方達の思考ってこうも極端なんでしょ。日本のTV局が日本選手を応援するのは差別を助長するからダメですか、そうですか・・・。次の夏のオリンピックは「国家イデオロギー」の塊みたいな中国での開催ですが、この人たちは中国に対しては何も言わないのでしょうね、いつも通りに。小学校の運動会とかで順位を付けず最後はみんなで手を繋いでゴールなんてことが行われていると数年前から聞きますが、オリンピックでもそうすべきという考えなんでしょうね。まー正直こういう思想はまったく理解できません。
上でTVの報道姿勢がウザイとか書きましてこの方達と似たような意見に思われるかもしれませんが、実質はまったく方向性が違いますので誤解しないでください。お願いしますお願いします(笑)。
さてさて、
最近このブログに書いている映画のほとんどがホラー映画ばかりだと気づき、今更ながらに(わざとらしく)驚いてみたり(笑)。もう少し偏り無くいろんなジャンルを書くべきだろうなぁ・・・と思いつつ、次もおそらくホラーです。
まぁ名作とされる一般作なんかは山ほどレビューサイトなどがありますし、そういうのと被らないマイナーな作品をなるべく取り上げようと言う気持ちもあるもので仕方ないですな。と言うわけで、次回はクローネンバーグの初期異色作「シーバース」(1975)か古典SF映画の傑作「人類SOS」(1962)あたりで宜しく。ん? どちらも意外とメジャーかな?
1年ぶりの新作、ということで今日は豆腐を買ってきまして、湯豆腐を突きながらの鑑賞といたしました(笑)。
落ち着いた演出や作品の雰囲気がやはり良し。こうした作品がレギュラーで見られないところが現在の時代劇ドラマの厳しいところですね。こんな調子だと、いずれは本当の時代劇を撮れる演出家も演じられる役者もいなくなってしまうのでしょう。
さておき、随所に資金不足的?安さはかいま見られるものの、昨今の時代劇ドラマとしては十二分に満足のいく出来でした。
放送記録:2006年02月17日PM19:57~21:54 関西テレビ 鬼平犯科帳スペシャル~兇賊「時代劇の金字塔!待望の新作」
ところで最近よく良い評判を聞くアニメ「蟲師」の1~2話を見てみました。
なるほど良い出来。こうした日常芝居をアニメで描くのはアニメーターさんには大変なことでしょう。地味な画面を作ると言うことは誤魔化しがきかない分大変なのですよね。原作の雰囲気を見事に移した演出もいい感じ。
ただ、こうした完成度の高いアニメとして見たとき、漆原友紀氏の原作をTVの画面で再現することは不可能だと言うことも確認してしまいました。絵の上手い下手ではなく、原作の漫画「蟲師」はその画面の構成や広がりが素晴らしいのだと。そもそも表現方法が違う漫画とアニメですが、これまで数々の原作付きアニメを見てきて、これほどアニメ版に違和感を感じたのは久しぶりでした。
アニメ版はアニメ版で完成度は高いですが、しかしただ絵に色が付いて動かしてみたという以上の物が無く、ただ表面的な部分だけを移し替えてみただけのものに留まっているのが残念と思いつつ仕方のないことだったのだろうと思います。原作を大事にしつつも囚われることなく、アニメならではの表現方法も見せてもらえるのなら続きも見てみようと思いますが。
ニューヨークで子供達の間に謎の奇病が蔓延していた。この奇病を媒介するゴキブリを絶滅させるため昆虫学者のスーザンはゴキブリの天敵となる新種の昆虫を遺伝子操作で生み出し、街に放った。ゴキブリは全滅し、奇病の発生も収まった。新種の昆虫も一世代だけの生命しかなく、やはり絶滅したはずだった。
それから3年、あの新種の昆虫は突然変異を繰り返して高度な知能と人間への擬態能力を身につけていたのだ。彼らは今は使われていない地下鉄跡の地下坑道で繁殖し、人間を食料にしながらコロニーを増やしつつあった。
「ミミック」(1997)
MIMIC
この作品が公開される少し前に「レリック」(1997)という似たタイトルのモンスター映画も公開されたりして紛らわしかったですね(笑)。
「レリック」がわりと正統派の怪獣パニック映画に仕上がっていたのに対し、この「ミミック」はホラー色の強いモンスター映画でした。
昆虫が敵となる映画って沢山ありますが、高い知能を持った昆虫との対決というとあのウィリアム・キャッスルが制作した異色作「燃える昆虫軍団」(1975)を思い出します。ヒッチコック作品などのタイトルデザインを手がけたソウル・バスが監督した「フェイズ IV 戦慄!昆虫パニック」(1973)なども不思議な後味を残す奇妙な作品でした。共に好きな作品です。
一方地下坑道での巨大昆虫VS人間の傑作と言えば「放射能X」(1954)でしょうか。核実験の影響で突然変異した蟻の群れと軍隊の下水道での対決がサスペンスフルです。同年の「ゴジラ」(1954)同様、ある意味人類が生み出してしまったモンスターによって人類が危機に陥る設定は、本「ミミック」にも通じるところ。
さて「ミミック」をこうした作品と比べるとどうもピリッとしない。自らが生み出したモノにしっぺ返しをくらう展開も、人間に擬態するという設定ももう一つ上手く使ってくれていないのですね。物語はあくまでサスペンスホラーの常道といった感じに進みます。それはそれで悪くない出来ではあるものの、折角の突然変異をした怪物という美味しい設定が生かされていない、展開に驚きが無いというのは勿体なし。
メキシコ出身のギレルモ・デル・トロ監督のハリウッド進出第一作となる本作の演出は落ち着きがあって安心して見ていられます。が、物語的にまで安心させられては困るんですよね。良い点は多々あるのに残念です。
もう一つ残念な点と言うと、展開や画面作りが「エイリアン」(1979)に似すぎているところ。オーソドックスな演出を心がけるとどうしても似てしまうのは分からなくもないですが、これは本作に対する印象をかなり落としてしまっています。終盤、無数の卵が蠢く産卵室を爆発で焼き払うところや、最後に残ったエイリアンクイーンならぬオスの昆虫から子供を護るために主人公の女学者が大活躍するあたりは「エイリアン2」(1986)のパロディかと思ってしまいました。いやまぁオマージュのつもりなのだとは思いますが、ちょっとやりすぎかと。
ところで公開当時、本作のタイトルデザインをカイル・クーパーが担当したことで話題になったものですが、今日の放送ではスパッとカットされていたような・・・。昨年末の「ゴジラ FINAL WARS」(2004)の放送でも同様でしたが、クーパーさん日本のTV局に嫌われてんのかって思ったり(笑)。
放送記録:2006年02月16日PM9:00~10:55TV大阪「木曜洋画劇場」
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