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映画のコトやら何やら綴りませう
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公開当時からわりと好評でそのうちに見なくちゃと思っていた一本。
ただ当時から「驚愕のラスト!」とか「あっと驚くどんでん返し!」とか言われていて、最初からどんでん返しがあると分かっていては素直に楽しめんなぁ・・・なんて思っていた上に、微妙なネタばらしを見てしまったのでとりあえずその印象が薄れるまで置いていたという次第。
というわけで公開から3年、地上波TVでは放送してくれそうにないのでDVDで鑑賞です。

「“アイデンティティー”」(2003)
IDENTITY

嵐の夜、郊外のモーテルにそれぞれの事情を抱えた10人の客が泊まることになる。豪雨によって道路が寸断されて身動きの取れなくなったモーテルの支配人を加えた11人。そんな彼らの内の1人が何物かによって殺された。元警官のエドと殺人犯護送中だった刑事のロードは捜査を始めるが、しかし理由も分からないまま1人また1人と殺されていくのだった。
犯人は誰か。目的は何なのか。そして彼らがこのモーテルに泊まることになったのは本当に偶然だったのか。この連続殺人の裏には恐るべき事実が隠されていた。

エドを演じるジョン・キューザックを始めとして地味ながら上手い個性的な役者を集めていて、それだけでも見応えはありますね。ストーリーについてここでは詳しく語ることはしませんが、ラストは結構衝撃的。ただ大きなストーリー上のネタバレを全体の2/3が過ぎたあたりでしてしまっているのはちょっと早いかな。もう少しモーテルを舞台にしたサスペンスを楽しませて欲しかったかと。

10人の男女がモーテルに集まってくることになるオープニングは快調。ここらの演出を見ていて思い出したのはヒッチコック監督の「サイコ」(1960)のオープニング。まぁ訳ありの人物が郊外のモーテルに泊まって殺されるというのはそのまんまなんですが、その設定だけでなく演出そのものがどことなくヒッチコックを思わせるのですね。
本作の演出はジェームズ・マンゴールド監督ですが、この人は結構なミステリやサスペンス映画好きなのかな。もしくは脚本のマイケル・クーニーか。
殺された被害者の側に必ずモーテルの部屋番号が刻印された鍵が落ちていて、その番号が被害者の数のカウントダウンになっているあたりは本編中でも少し言及されている通り、これまで数度にわたって映画化もされているアガサ・クリスティーの名作ミステリ「そして誰もいなくなった」を彷彿とさせます。また嵐の中で孤立するという設定も「そして誰もいなくなった」ですね。同時にこの孤立したモーテルという限定された空間で物語が進むあたりはやはりヒッチコック監督の得意とするところで、そういった意味では本作そのものが様々な先人達の名作に対するオマージュとも思えます。

ただ、本格ミステリを期待して見ると裏切られることになるので注意が必要ですね。あくまでこれはミステリ調のサイコ・サスペンスでありましょう。
監督の演出は不安感を煽るカメラワークを多用し、そのサスペンスの盛り上げ具合は見事。ランニングタイム90分という最近では短く感じる作品ですが、実に過不足無くまとめ上げていると感じます。また一見地味ながら要所要所に使われる視覚効果も良くできています。全体として完成度は高し、です。

ところで脚本のマイケル・クーニーという人はかつて自ら脚本を書いて「キラー・スノーマン」(1996)という作品を監督した人なのですね。これは日本劇場未公開ではありますが数年前にTVで深夜に放送されたのを見たのですが、実にバカバカしくも楽しい、そして奇怪なホラー映画でありました。以降監督作は無く、脚本でも「“アイデンティティー”」が最後のようなのが残念なことです。

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まぁ、すでに何度も見ているのにTV放送されるとついまた見てしまう。そんな映画って結構ありますが、これもそんな作品。
暗殺者と、暗殺から要人を護衛する老いたシークレット・サービスの対決を描いた骨太な一本です。

「ザ・シークレット・サービス」(1993)
IN THE LINE OF FIRE

かつて、ダラスでのケネディ大統領暗殺の現場にいながら任務を果たすことが出来なかったことを後悔し続けるシークレット・サービスのホリガン。老いて今は要人護衛の任務から離れている彼に一本の電話がかかってきた。相手の男は大統領を暗殺するというゲームを持ちかけてきたのだ。ホリガンはもう一度、大統領護衛の現場に戻る決意をするのだった。

若い頃に犯してしまった大きな失敗を気に病みながら年老いてしまったホリガンを演じるのはクリント・イーストウッド。「ダーティ・ハリー」シリーズなどで若々しく荒々しいアクションスターを演じてきたイーストウッドも老齢の域に入って実に良い感じの演技派俳優さんになってまいりました。ことに自らの老いを作品に生かした諸作、まぁ「許されざる者」(1992)はあまり好きではありませんが「スペースカウボーイ」(2000)など実に良かったですね。で、本作も同様に年相応のイーストウッドが生き生きと描かれています。本作での役柄自体、若い頃からムチャやって上司の覚えも悪く、じいさんになっても相変わらずムチャやってるという・・・まぁハリー・キャラハンがそのまま歳を取ったっていうイメージですか(笑)。それにしてもイーストウッドの相棒の死亡率はめちゃくちゃ高いような気がします。

そして暗殺者を演じるのがジョン・マルコヴィッチですが、これがまたいい。狂気を感じさせつつも冷静沈着な暗殺のプロを見事に演じ、キャラクターのインパクトで見事にイーストウッドを喰っちゃってます。特に好きなのが湖で自作拳銃のテストをしているシーン。ここら「ジャッカルの日」(1973)の暗殺者エドワード・フォックスが思い出されたりします。
そしてこの男が元CIAの暗殺専門エージェントだったことが明かされるあたりで、映画の緊張感が一気に高まるのが楽しい。

この魅力的な二人の男の対決を演出したのがウォルフガング・ペーターゼン監督。その得意の骨太な演出で描かれた本作は「U・ボート」(1981)に次いで好きな作品となっています。ただ本作以降「アウトブレイク」(1995)や「エアフォース・ワン」(1997)「パーフェクトストーム」(2000)あたりを見ていますが、今一つピリッとしない作品が多いのが気になるところ。

ところでオリジナルでは128分ある本作、今日は40分ほどカットでの放送となってますね。ヒドいけど・・・でも妙にスピーディでこれはこれで良かったような気もしたり(笑)。昔、東京12ch系やローカル局の映画劇場は90分枠とかが普通で、これくらい当たり前にバサバサカットしていたんだよなぁとなんだか懐かしく感じてしまいました。

放送記録:2006年09月16日PM07:30~09:16サンテレビ「シネマスタジアム」

さてさてさて、黒の組織との息詰まる攻防を描いたブラックジャック先生の冒険編、堂々の最終回です。

ブラック・ジャック21
第17話「生命の尊厳」

原作エピソードは「99%の水(正しくは99.9%の水)」と「二人目がいた!」と表示されていましたが、いつもの通り本編にはまったく生かされていませんでした。逆に表示はされていませんが本編ラスト近くに原作の最終エピソード「人生という名のSL」を思わせる演出など入れて、ラストに最初のOPテーマ曲「月光花」を流したのも含めてまぁファンサービスといったところでしょうか。

フェニックス病の治療法が解明できない中、BJはこのままウィルスを満載したスカイホスピタル(SH)が東京に向かうのは大規模なバイオ・ハザードを引き起こす危険があると考え、白拍子医師に進路を北極圏に取るように指示する。寒冷地ではウィルスの活動を最小限に食い止められるからだ。
北極圏の広大な雪原に着陸するSHに、アラスカの米軍基地からの通信が入った。司令官の言うには、全世界の科学者が協力してフェニックス病の解明に取り組んでいるのだと言う。組織の極秘事項だったフェニックス病ウィルスのことも、現在のBJやSHの置かれた惨状もいつの間にか全世界の知るところとなっていたのだ。
基地から送られた膨大なデータの解析に取りかかるBJと白拍子医師。だがウィルスに感染した人間は21時間しか持たないのだ。BJの体にも感染症状が現れる中、刻一刻とタイムリミットが迫る。
そんな大変な状況の中、突然SHに蓮花が現れた。
えっ?
中国から北極圏の雪原のど真ん中まで、しかも10数時間でやって来るってどんな行動力だよ!
蓮花の目的はフェニックス病のウィルスと治療法を手に入れること。そしてBJに復讐することだった。彼女は自分の顔を奪ったBJを憎んでいたのだ。
って・・・大火傷で二目と見られない顔だったのをBJが整形手術で綺麗にしてくれたんじゃない。その新しい顔が気に入らない事情があったにしても、少なくとも普通に傷跡一つ無い美人顔に治してもらっておいてそりゃないんじゃない?
まぁ紆余曲折ありまして・・・
BJを殺そうとする蓮花を止めようとした全満徳は脳天を撃ち抜かれて死に、蓮花もまた重傷を負う。蓮花の命を救おうと緊急手術を始めるBJ。蓮花の胸の中にはBJの父が組織で作った人工心臓が埋め込まれていた。その人工心臓が何故か動きを弱めているのを見て、BJはフェニックス病治療の糸口を見つけた。人工心臓はオリジナルのフェニックスウィルスによって動いているが、それと異常進化したウィルスを掛け合わせることで双方を打ち消すことが出来るのだ。
一方、感染者死亡のタイムリミットまでのこり数時間となったのを見て米軍基地ではSHの周囲1kmを完全に焼却気化させるミサイルを発射することにした。何故かはわからない。別にウィルスがSH外部に漏れる心配があるわけでもなし、まだ感染者が生きているわけだし、ミサイルはタイムリミットを超えてからでも遅くないのではないか? それより前にSHと通信して状況を確かめるべきではないか。
ほ~ら、心配していた通りミサイル発射の直後にSHから治療成功の通信が入って大慌てするハメに陥る米軍基地であった(笑)。
オーロラの発する電磁波によってミサイルの自爆装置が働かない! って、現実のミサイルもそんなにショボイんですかね? ともあれ着弾まで後数秒というところで白拍子医師がSHを緊急発進させて事なきを得るのだった。
殺人ウィルスの危機は去った。長い旅を終えて日本に帰ってきたBJとピノコを迎え、新シリーズに入ってからすっかりないがしろにされていた準レギュラーの面々の顔には満面の笑顔があった。
かつての家の残骸がいまも残されている岬に立つBJとピノコ。またここで、一からやり直しだな。そう言うBJの顔には微笑みが浮かんでいた。

まぁ今回のお話もツッコミどころは山ほど有るわけですが、前回があまりにもアレでしたんで比較すると結構まともに見えてしまうという(笑)。実際これだけハチャメチャな話をよく30分で纏めたなぁと感心したりもしています。その点ではよく頑張りました、と。
しかしまさか「ブラック・ジャック」というアニメで、こんな「どこかで見たような」SFパニック風味のクライマックスを見せられることになるとは思いませんでした。やはりマコちゃんの趣味なのかな。

とにもかくにもTVアニメ「ブラック・ジャック」は終了。見ていてイライラしたり失笑したりすることの多かったシリーズですが、これからちょっとは寂しくなるかな~とか思ったり(笑)。しかしマコちゃんのブログにはまたイヤなことが・・・。

Tezka Macoto'6D 手塚眞ブログ
「SEE U BJ」09/04/2006

http://tzk.cocolog-nifty.com/blog/2006/09/__0524.html

今日(4日)の放送で『ブラック・ジャック21』はシリーズ終了。

(中略)

これで2年続いた『BJ』のシリーズは、しばらくお休みになります

(中略)

目標だった「『BJ』をファンにとっての名作から、世間一般にとっての名作として認知させる」ことが達成できたので、任務終了という感じ。

(中略)

もちろん、これからも機会あるごとに『BJ』アニメはやりますよ。
今度はブームというのじゃなく、定番モノとして。

(後略)

うーん・・・まぁ自分に自信があることは良いことです。ただもう少し客観的に見ることも覚えてはどうか。そしてマコちゃん的には「ルパン三世」みたいに年1回とかで「BJ」2時間スペシャルなんてのを希望しているのでしょうか。まぁレギュラーでTVシリーズをやるよりは良いとは思いますが、出来ることならマコちゃんにはもう手塚作品には関わって欲しくないというのが本音ですねぇ。と言うか、もう手塚マンガのアニメ化自体希望しませんが。
マコちゃんブログにもありますが、2003年のアトム誕生年から無理矢理手塚ブームを引き起こそうとしたのかフジの「鉄腕アトム」NHKの「火の鳥」、そして今回の読売TVの「BJ」と立て続けに手塚作品が新作アニメとして制作されました。が、いずれもファンを失望させる代物だったように思います。出来ることならもうそっとしておいてほしいというのは贅沢な望みでしょうかね?

今後の展開としては2007年公開の実写映画「どろろ」が控えています。ここらあたりが内容の無かった手塚ブームにとどめを刺してくれそうでしょうか。
心配なのは浦沢直樹氏の「PLUTO」でしょうか。これは今後今後映像化される確率がとても高いと思うのですが、その際にまたマコちゃんがしゃしゃり出て来そうな悪寒。「PLUTO」好きなんでそれだけは勘弁してください。
そーいえば根も葉もない噂でしょうけど「ゲド戦記」(2006)原作者からも含めて酷評されまくりの宮崎吾朗監督が「PLUTO」を監督するなんて話も聞きました。ものすご~く嫌ですけど(笑)、実現したらゴローちゃんとマコちゃんの夢のコラボか。

や、以前にシリーズ第1弾「ファイナル・デスティネーション」(2000)のエントリーでも書きましたが、私ゃこの作品が好きであります。
しかしまさか本作が地上波ゴールデンタイムに放送されるとは。流石テレビ東京、流石木曜洋画劇場。

「デッドコースター」(2003)
FINAL DESTINATION 2

とにかく最高の見せ場は最初の交通事故シーン。編集の見事さもあってその壮絶さは素晴らしい。
で、前作同様主人公の予知夢によって命を救われた人々が、しかし運命から逃れることは出来ずに次々と不条理な死に方をしていきます。この次々と死んでいくシーンのエゲツなさが本シリーズの売りなわけです。
実に単純明快なストーリーにして、悪趣味きわまりない映像の数々。
ドラマ的には疑問点が無いわけではありませんが、しかしそんなことは物ともしない強引な勢いが本作にはあります。前作から大きくパワーアップした、そりゃあり得ないだろーと思える残虐で奇をてらったキャラクターたちのハイテンションな死に様には、いつしか笑いさえこぼれてしまいます。
物語が単純なだけに、この前作以上の派手なショーアップは大成功。
死に様のパワーアップしたシリーズ2作目というと、ふと「オーメン」(1976)に対する「オーメン2 ダミアン」(1978)を思い出したりするわけですが、こちらは逆にそれで物語的な面白さを削いでしまった感が強かったので、まぁ単純にショーアップと言っても難しいわけなんですねぇ。

しかし今回本作を地上波で放送したテレビ東京さんの英断には拍手しますが、それでもやはりと言うべきか登場人物が死ぬシーンそのものはバサバサとカットされていましたね。
本作の最大の売りであるシーンをことごとくカットされては作品の魅力は半減以下。ということで、今回の放送で本作が気に入った方にはぜひDVDなどで再見していただきたいところです。

さて久しぶりに本作を見たところで、シリーズ第3弾「ファイナル・デッドコースター」(2006)がますます楽しみになってまいりました。

それはそれとして、やはり本作ラストの爆発シーンは何度見ても「モンティ・パイソン」を思い出して爆笑してしまふ(笑)。

放送記録:2006年09月07日PM09:00~10:54テレビ大阪「木曜洋画劇場」

さぁてそろそろ寝るべえか、と思ってたところにこんなニュースが。

痛いニュース
・TV放映から10年…「エヴァンゲリオン新劇場版」が4部作にて製作決定!

http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/788406.html

ニュータイプ10月号からの情報らしいですね。
まぁ詳しくはリンク先を見ていただくとして、TVシリーズ放送当時に結構熱中していた身としてはそれなりに見てみたいという思いはあります。けど、やっぱりどうして今更という思いも強いですね。
制作側としては記事中にある・・・

>・現状のアニメ業界に対するアンチテーゼとして、エヴァから始まった時代に幕を引くというのが制作側の心構え。

と言う思いなのかも知れませんが、この上から見下ろしたような偉そうな物言いもさておき、そもそも前の「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 まごころを、君に」(1998)において散々ファンを小バカにするような作品に仕上げておいて何を言うかという気分です。
しかし庵野監督ももう「エヴァ」みたいな作品は作らないと言っていた気もするのですが、やはり劇場版「Zガンダム」の予想以上の成功を見て行ける!と思ったのでしょうかね。アンチテーゼとか幕引きとか格好良いこと言わず、素直にもう一儲けしたいって言ってくれた方が気持ちいいんですけどね(笑)。
それに4部作というのは長すぎるような。最後まで客を引っ張るだけの自信はあるんでしょうけど。むしろ「アニメ業界に対するアンチテーゼ」と言うなら全12話とかで深夜にTV放送した方がいいような気がしたり。
まぁ最近では「トッブをねらえ!2」みたく良くできた作品も作っていますし、「昔のとは全く違う」エヴァがいかなるものか興味はあります。今となっては劇場まで行く気にはなりませんが、DVDが出たら見てみましょう。

それにしても数年前に話題になってたハリウッドでの実写リメイクの方の企画は完全にポシャっちゃったのかな?

清水崇監督と言えば「呪怨」シリーズだけでハリウッドまで行っちゃったという監督さんです。まぁ実際にはTVなどを中心に他にもちらほら撮っているわけですが、でもメインはいつも「呪怨」、デビューから延々と「呪怨」です。それでハリウッドまで行ってセルフリメイク「THE JUON/呪怨」(2004)を大ヒットさせちゃうんですから大したものですし、私自身「THE JUON/呪怨」を含めた「呪怨」シリーズを高く評価しています。
ですが、その一方で清水監督の真価を確認する意味でも「呪怨」以外の本格的な映画作品を見てみたいと思っていました。

「輪廻」(2006)

「感染」「予言」(2004)に続く「Jホラーシアター」の第2弾として今年頭に公開されたのが本作です。輪廻転生をテーマとした恐怖作品はこれまでにも多々あり「リーインカーネーション」(1975)や「オードリーローズ」(1977)など印象深い作品でしたが、清水監督がそのテーマにどういう切り口で挑んだのか楽しみでありました。

35年前にあるホテルで11人が無差別に惨殺された。その事件の映画化作品で主役に抜擢された新人女優杉浦渚は奇妙な夢を見ると共に、付きまとう少女の霊に怯える。同じ頃、女子大生木下弥生もまた奇怪な夢に悩まされて今は廃墟となったホテルへ向かうのだった。

今回の清水監督はお化け屋敷映画として高い完成度を誇った「呪怨」と違った、ドラマ性を重視した作品作りに挑んでいます。タイトルの輪廻自体にはさほど重きを置かずに魂の普遍と復讐を正面から描いたドラマは面白く、救いのないラストまで一気に見せてしまう監督の力量はやはりなかなかなもの。メイン3人が誰の転成なのかというミスリードも堂に入ったもので見事に騙されましたね。登場人物達にとって理不尽すぎるストーリー展開も「呪怨」シリーズ的ですが、輪廻転生を絡めることでより悲劇性が増しているところも良し。
まぁ理に落ちすぎる展開と複数存在する疑問点が不満と言えば不満ですが、それはさしたることでも無いでしょう。それよりも優香扮する杉浦渚と香里奈扮する木下弥生という2人のヒロインのドラマが映画の中で一切絡むことなく両立していることが映画のバランスをやや居心地悪くしているのが問題かなと。しかし監督の並以上の力量を確かめることが出来た良い作品でありました。

それにしても最初主演が優香だと聞いたときにはかなり不安でした。どうしてもバラエティタレントというイメージでしたし。しかし本作を見て立派な女優さんじゃんと認識を改めました。

後細かい事ですが、
かつて惨殺事件のあった古いホテル、どこまでも続く赤絨毯の廊下、幼い少女の幽霊・・・と来たところで当然ながら「シャイニング」(1980)を思い出します。映画好きの清水監督らしいお遊びでしょうか。
本作で重要な(怖がらせ)アイテムとして出てくる人形の不気味さは「サスペリアpart2」(1975)の自動人形に匹敵するなぁ。でも人形の不気味な造形はちょっとやりすぎ且つわざとらしすぎかも。
35年前の事件の唯一の生き残り役を演じるのは大ベテランの三條美紀さん。出番は少ないものの流石の迫力。

そんなわけで、清水監督の次回作にも期待します。次はハリウッド版「THE JUON2」ですかね。

1996年アメリカのコロラド州で起きたジョンベネ・ラムジー殺人事件を記憶している方も多いかと思います。当時マスコミに大々的に取り上げられたのは、当時6歳の少女が被害者ということ、また彼女が複数の美少女コンテストで優勝していた美少女であったこと、彼女の家族の中に犯人が居ると考えられたこと、彼女が殺害される以前より性的虐待を受けていたこと、など多くの要素がありました。この6歳の美少女がレイプされ殺されたことももちろんですが、彼女が「性的に開発されていた(当時の報道のまま)」なんていう報道にはショックでしたね。
実際私も連日ニュースやワイドショーに取り上げられる彼女の生前の映像を見ながらその可愛らしさに目を奪われつつ、その悲惨な事件に衝撃を受け、またその謎めいた事件の背後が気になっていたものでした。

しかし犯人が逮捕されたというニュースもないままやがて報道熱も下火になり、この事件がワイドショーで取り上げられることも無くなっていきました。そして私は、時々この事件を思い出してはどうなったのだろうかと思っていたものです。

事件から10年。突然この事件の容疑者が逮捕されたとのニュースが飛び込んできました。
個人的にもとても気になっていた事件でもあり、ここに記しておきます。

・ジョンベネ殺人事件 - Wikipedia(事件概要)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%99%E3%83%8D%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6

読売ONLINE
・ジョンベネちゃん殺害、容疑の元小学校教師タイで逮捕
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060817i405.htm
・ジョンベネちゃん殺害、容疑者の男は殺意否認の供述
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060817i212.htm

産経Web
・ジョンベネちゃん殺害事件、タイで米国人男性を逮捕
http://www.sankei.co.jp/news/060817/kok029.htm

朝日.com
・ジョンベネちゃん殺害容疑者「彼女を愛していた」
http://www.asahi.com/international/update/0817/007.html

YAHOO! NEWS
・ジョンベネちゃん殺害事件 (報道まとめ)
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/world/jonbenet_ramsey_murder/

っとその前に、
「機動戦士ガンダム」のブライトさん他、数々のアニメに出演されていました声優の鈴置洋孝さんが亡くなられました。「無敵鋼人ダイターン3」の破嵐万丈とか「戦国魔神ゴーショーグン」とか「キャプテン翼」とか「イッパツマン」とか・・・好きな声優さんのお一人でした。56歳か、まだ若いなぁ。
ご冥福をお祈りいたします。

・声優の鈴置洋孝さん死去 「ガンダム」のブライト艦長役
http://www.asahi.com/obituaries/update/0810/002.html


さて「妖怪大戦争」です。
「妖怪大戦争」と言えばかつて大映が「妖怪百物語」(1968)に続いて同年に放った妖怪シリーズ第2弾でして、西洋から飛来した吸血妖怪ダイモンと日本妖怪連合の戦いをダイナミックに描いた娯楽特撮映画でした。いや~、大映特撮と言えば「ガメラ」シリーズより「大魔神」シリーズやこの「妖怪」シリーズの方が好きだった子供時代。私が時代劇好きというのもあったと思いますが、特撮や物語の緻密さが楽しめるのはやはりこちら方面だったと。数多くの時代劇で培った当時の大映京都の実力がかいま見えます。
で、何かと言えばリメイクばかりの昨今の映画界ですが、突然この「妖怪大戦争」がリメイクされるの報を聞いてちょっとビックリしたものです。

「妖怪大戦争」(2005)

さて完成したのは、オリジナルとはまったく関係のないタイトルを借りただけの作品でした。その時点でかなりガッカリ。現代が舞台で時代劇でもないしなぁ・・・。これを「妖怪大戦争」のリメイクと呼ぶのは詐欺に近いのではないか。むしろ敵役を魔人・加藤保憲と設定したことで「帝都物語」(1988)の番外編的側面を持たせた事の方が興味深いことでした。

魔人・加藤は人間に捨てられた廃品たちの恨みを利用して東京壊滅を企む。気の弱い少年タダシは伝説の英雄である麒麟送子に選ばれ、否応なく加藤と対決するハメに陥っていく。だが彼をサポートする妖怪達はイマイチ頼りないのだった。

加藤が捕らえた妖怪をスクラップと合体させ、メカメカしいロボット妖怪を量産するというのは今風で面白い。妖怪達のほとんどがまるで戦う気がないというのも反戦の意図を込めたのか、それとも現在の日本を皮肉っているのか、まぁ悪くはない。けど、結局「大戦争」が無いというのはタイトルに偽り有りではないか。
とにかくストーリー全部が行き当たりばったりでドラマの体をなしていないのが見ていて辛い。どうしてタダシが伝説の英雄に選ばれて加藤と戦わねばならなかったのか、どうして妖怪達は仲間が次々と加藤に捕らわれているのにかかわらず戦おうとせずにつまらないギャグを連発するのか。
ショボいCG、ショボい演技、寒いギャグのつるべ打ちは本当に辛い。主役の神木隆之介くんと川姫を演じる高橋真唯さんの熱演ぶりが逆に浮きまくって気の毒でならないのです。

最終的に加藤を倒したのも行き当たりばったりなギャグによるもので、血塗れで頑張ったタダシくんがバカみたい。もちろん苦心の末に強大な敵を倒したという爽快感も欠片もなし。「帝都」ファンとしては加藤をこういうギャグキャラにしてほしくなかったなぁ。

全体として子供向けを意識して作られたのはわかります。でもその一方で何の説明もなく加藤保憲を敵に設定するなど子供の観客には説明不足感が多々あるのも少々疑問。そして薄すぎるドラマと適当すぎる展開。
これがTVスペシャルとして作られたのなら「頑張ったね」って言えるのですが、金を取っちゃダメだろ(笑)。

上記の通り神木くんは上手い。ただやたらと驚く演技ばかりが連続するのは脚本に難あり。高橋真唯さんもいいね。栗山千明さんはわりとご贔屓の女優さんですが、今回の役所はあまり面白みがなかったかな。それにしてもせっかく加藤を出すなら無理をしてでも嶋田久作氏に演じて貰うべきだったと、これは真剣に思います。
それと、やたらとフトモモに固執した演出は何か深い意味でもあったのか?(笑)

ところで今回の放送ではラストがバッサリとカットされていたようで、そこらへんはTV局の誠意を疑いますね。放送だけ見ると結局スネコスリは死んだままなように見えますし、宮迫博之演じるジャーナリストの存在も意味不明。カットするにしてももっと他に消せる部分があったろうに。

まぁしかし、今回最大の不満は旧「妖怪」シリーズの醍醐味だったラストの百鬼夜行が無かったことですね。元々無かったのかカットされたのか知りませんが。

放送記録:2006年08月11日PM09:00~10:54読売テレビ「金曜ロードショー」

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