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「羊たちの沈黙」(1990)「ハンニバル」(2001)に続くご存じハンニバル・レクターシリーズ第3弾にして始まりを描く。
「レッド・ドラゴン」(2002)
RED DRAGON
連続猟奇殺人の捜査をするFBI捜査官グレアム。彼はその捜査に協力していた精神科医レクター博士こそが犯人と突き止め、重傷を負いながらも逮捕する。この一件の後現役を退き、家族と共に平和に暮らすグレアム。だが新たな連続殺人事件の発生に現場に呼び戻されることとなる。嫌々ながらも捜査を始め、そしてのめり込んでいくグレアム。だが捜査に行き詰まりを感じた彼は終身刑で収監されているレクターの元に助言をもらいに行くのだった。
オープニング、レクターの開く晩餐会からグレアムとの死闘の末の逮捕に至るあたりの流れが良いですね。個人的にはレクターがどうして人肉食に興味を持つことになったのか彼の心理的な側面も見たかった気はしますが、まぁそれは抜きにしても興味を引きつける悪くないオープニングです。
さてアンソニー・ポプキンスの当たり役となったハンニバル・レクター博士ですが、今回はあくまで脇役です。とは言え、その存在感をもって登場の度に空気を一気に引きつけてしまうのは流石。
ただ逆に言えば脇役のレクター博士に作品の空気を持って行かれるほど、本筋の方がいささか凡庸な筋立てだとも言えるのですが。
本作のサイコサスペンスとしての出来は決して悪いものではありません。ですがあまりに驚きのない王道的な展開に収まってしまっているのが少々勿体なし。レクターと捜査官の関係が「羊たちの沈黙」と同様の設定なだけに、わざと「羊たちの沈黙」と違った方向性を展開や犯人の設定等に持たせたのはわかるのですが・・・。特に終盤の犯人の屋敷爆発からグレアム一家の危機あたりの展開は凡百のサスペンスホラー等で飽きるほど見せられたもので、どうして今更こんな脚本を、といった感じ。
と言いつつ、ええ、なかなかに怖かったですよ。目新しさの薄いこの脚本を緊張感のある作品に仕上げた監督の腕はなかなか。ブレット・ラトナー監督と言うとジャッキーの「ラッシュアワー」(1998)シリーズは今一つ感がありましたがその他様々なジャンルの作品をそつなくこなすタイプの監督さんでしょうか。シリーズ最新作「X-MEN:ファイナル ディシジョン」(2006)もこの監督さんと知って俄然見たくなってきました。
また作品の緊張感を高めたのにはグレアム捜査官役のエドワード・ノートンと犯人を演じたレイフ・ファインズの熱演も忘れてはなりませんね。ポプキンスとこの二人を始め上手い役者さんを集めてます。
それにしてもFBI上司を演じているハーヴェイ・カイテルさんは良いですよねぇ。すっかり老けちゃいましたけど今も活躍している脇役中心の上手い役者さん。昔は印象的な悪役を多々演じられておりました。あまり賛同は得られないかもしれませんが(笑)、特に強烈な印象だったのが「スペース・サタン」(1980)。本作ではイマイチ地味な役回りに終わったのは残念かな。
放送記録:2006年10月05日PM09:00~11:14テレビ大阪「木曜洋画劇場」
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