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映画のコトやら何やら綴りませう
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さて懐かし映画ですが、その第一弾に選んだのがコレというのが・・・我ながら困ったものです。

その昔、私はとても不思議に思っていることがありました。例えば藤子不二雄氏の「怪物くん」の手下に何故フランケンと呼ばれる怪物が居るのか、例えばある東宝特撮映画のタイトルは何故「フランケンシュタイン対地底怪獣」(1965)なのか(この映画自体は大好きですけどね)。
フランケンシュタインというのは人造人間を作った博士の名前であり、これらの作品に登場するモンスターをフランケンシュタインと呼称するのはとんでもない間違いなのではないか。とても不満でした。けれど日本ではあらゆるメディアで怪物の側をフランケンシュタインと呼ぶのが当たり前のようでした。
気分的にはわからないでもありませんでした。いちいち「フランケンシュタインの怪物」とか「フランケンシュタインの人造人間」とか呼ぶのは長ったらしいし、フランケンシュタインという名前が「怪物の名前っぽい」というのも原因の一つだった気がします。だとしても、子供の頃から「ドラキュラ」シリーズと共にハマープロの「フランケンシュタイン」シリーズに慣れ親しんでいた身としてはやはり不満でした。
そして思ったのは、こんな風に博士と博士の創造物の名前を混同しているのは日本くらいなものなのだろうということであり、そのことが妙に悔しく思えたのでした。

本題の「悪魔の赤ちゃん」です。
監督は安いホラーやサスペンスものを撮らせたら超一流のラリー・コーエン。この「悪魔の赤ちゃん」とそのシリーズを始めとして「空の大怪獣Q」(1982)や「マニアック・コップ」(1988)シリーズ、そのフィルモグラフィーにはB級然としたタイトルがずらりと並んでいます。けれどそこが素晴らしい。低予算で(それなりに)面白い作品を撮ってしまう自らの嗜好に忠実な一流の娯楽監督なのです。

物語は病院の手術室から始まります。今まさに赤ん坊を出産しようとしている女性。ところが彼女を囲む医者や看護婦の顔が恐怖に引きつり、何者か(まぁもちろん生まれたばかりの赤ん坊なんですけど)によって全員惨殺されてしまうのです。赤ん坊は環境汚染(かなんか)が原因で醜い奇形の怪物として生まれ落ちたのでした。病院を飛び出して街に出た赤ん坊はさらなる殺戮を繰り返します。牛乳屋のバンの荷台に潜り込んで運転手を殺すシーンなど、ビンが割れて荷台から流れ落ちる白い牛乳がドバドバと溢れる運転手の赤い血によって取って代わられる演出も楽しいところです。
やがて、当然ながら警察に追われることとなった赤ちゃんは帰巣本能(!)に従って両親の家へと逃げ込みます。醜い殺人鬼であってもおなかを痛めた可愛い我が子だと匿おうとする母親。一方父親は警察へと通報したばかりか、憎しみを込めて赤ん坊を自らの手で殺そうとするのです。

「もし赤ん坊が凶暴な殺人鬼だったらどうする?」というワンアイデアで作られた典型的なB級モンスター映画。後に大御所特殊メイクアップ・アーティストとなるリック・ベイカーの仕事など見所もありつつ、しかし全体として(面白くはあるけれど)安い映画という印象は拭えません。ではどうしてこの映画に心惹かれるのか・・・。

終盤、下水道に逃げ込んだ赤ん坊を警察と共に父親も追います。引き留めようとする妻に、彼は唐突にこう言い出すのです。
かなりうろ覚えですが・・・。
『俺は子供の頃に「フランケンシュタイン」という白黒映画を観て、その後ずっとフランケンシュタインというのは死体を継ぎ合わせて作られたあの怪物の名前だと思っていた。げれど本当は怪物を作り出した博士の名前だった』
『俺は、あの人殺しの怪物が将来俺の名前で呼ばれることに耐えられないんだ!』

おうおう! 日本と同様、アメリカでも博士と人造人間の名前は混同されていたのだ!
本作で制作、脚本、監督と大活躍のラリー・コーエン監督。おそらくコーエン監督も周りの人間が人造人間をフランケンシュタインと呼ぶことを苦々しく思うホラーマニアな少年だったのでしょう。父親の台詞はあまりに唐突なものだったけれど、よくぞ言ってくれたと胸のすく思いでした。

さらに言うならこの映画の原題「IT'S ALIVE!」は米ユニバーサル社の作った「フランケンシュタイン」(1931)において、雷の電力を受けて人造人間が蘇った瞬間にフランケンシュタイン博士が叫んだ台詞そのままです。そして本作ラスト、相手を憎みきることの出来なかった父子の情愛を描く(ある種とってつけたような感もあるものの)感動的なシーンは、結局父親たる創造主に理解されることなく燃えさかる風車小屋の中で怪物が悲しげな悲鳴を上げる「フランケンシュタイン」のラストと実に好対照をなしているのです。
この映画はコーエン監督なりの「フランケンシュタイン」へのオマージュでした。コーエン監督はこのB級モンスター映画の姿を借りて、悲哀に満ちたフランケンシュタインの怪物に安らぎの最後を与えたのです。そしてそれは、かつてのモンスター大好き少年達の心にも何とも言えぬ感動を与えたのでした。

・・・もっとも・・・冷静に考えてみると、さんざん殺戮しまくっておいて最後は感動的に締めるという展開はちょっとどうかと思わないでもないですが(笑)。

ところで・・・
この夏公開の映画、劇場版「金色のガッシュベル/メカバルカンの来襲」の予告を見ていると、メカバルカンがそっと花をティオに差し出すというシーンがありました。このシーン、「フランケンシュタイン」(1931)の怪物と幼い少女が湖畔で出会うシーンとそっくりなんですよね。何か「フランケンシュタイン」のパロディ的要素があるのでしょうか。気になります。

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